フランがシスコン過ぎて困っています。いや嬉しいですけどっ 作:かくてる
この作品を読む前に目次から前作に飛んでいただけると飛んで喜びます。
この話からだと、ところどころ意味不明な事もありますが、レミフラのただのイチャイチャだけならこちらでも多分大丈夫です。
1話 スカーレットの恋人
最近は夜よりも昼の方が好きだ。夜に光る月も美しいものだが、何もかもを光輝かせてくれる太陽はもっと素晴らしい。それは何も空に浮いている太陽だけとは限らない。
現に、今私の隣で添い寝していた太陽のように輝かしい少女が笑っているから。
「お姉様、おはよっ」
彼女はフランドール・スカーレット。私、レミリア・スカーレットの実の妹だ。
「おはよう、フラン……」
「えへへっ、またお姉様の寝顔堪能しちゃった」
「飽きないものねぇ……」
「飽きないよ。だってお姉様の顔だよ? いつまでも見てられるもん……」
「……そう……んっ……」
そう言って、私は目を閉じる。フランはそれを察したのか、「ふふっ」と小さく笑って顔を近づけた。そして、互いの唇が優しく触れる。
「ちゅ……朝は絶対にキスから始まるよねー」
「だって……フランとしたいんだもの……」
「はいはい、じゃあもっかいしよ?」
この通り、フランは私の妹にして恋人である。
女の子で、しかも実の妹と恋仲になれるのは全てを受け入れてくれる幻想郷だからこそだと思う。もちろん、私達が交際するのを反対した者がいなかった訳では無い。しかし、それを乗り越えて来たからこそ、私達の関係があるのだと思う。
ひとしきり2人で楽しんだあとは、そのまま食堂へと向かう。これももう日課に近くなっている。
「おはようございます。お嬢様……フラン様」
銀髪のメイド、十六夜咲夜が今日の朝食を持って食堂にいた。
「おはよー」
「おはよう、咲夜」
私達はそれぞれ個々の席に座り、朝食を待つ。その間、私はフランと談話して時間を潰す。
「咲夜も、「フラン様」って呼ぶのだいぶ慣れたよね」
「最初の方は変な感覚だったけれど」
私とフランが恋仲になってから、咲夜はフランのことを「妹様」と呼ばなくなった。というのも、フランが嫌がったらしい。
フラン曰く、「いつまでもお姉様の妹じゃいやっ!」だそう。呼び方ひとつで変わるものなのかと疑問だったが、これが意外とフランには嬉しかったらしく、咲夜や美鈴に呼ばれる度にニコニコしていた。
「私は妹様の方がやっぱりしっくりするわね……」
「そぉ? 私は名前呼ばれる方が好きだからなぁ」
確かに、言われてみれば名前を呼ばないのは少し他人行儀すぎるかもしれない。私は顎に手を当てて「ふむ……」と少し考える。
「私も、レミリア様にしてもらおうかしら」
「これ以上咲夜を困らせたら頭破裂しちゃいそうだね」
「あら、咲夜ってもしかして頭悪いのかしら?」
「馬鹿になさらないでくださいっ」
「おっと」
少し怒りを混じえた咲夜が私達の前に朝食を置く。置いたあと少し頬を膨らませ、拗ねる咲夜は可愛らしかった。それを見た私達は「ふふっ」と笑ってしまう。
「ごめんなさいね咲夜……あなたの反応が可愛くて……」
「ね、お姉様、今日、久しぶりにこいしちゃんとさとりに会うんだけど、お姉様も来る?」
「あ、そういえば最近会ってないわね……行きましょうか」
古明地姉妹は私とフランが恋人同士になることが出来た恩人だ。紅魔館の面子以外で深く関与したのはこの2人だろう。
長い間フランとの2人きりの時間が多かったので、たまにはこいしやさとりと遊ぶのも悪くないだろう。
「久しぶり! 2人とも!」
人里まで降りて、待ち合わせ場所でフランが笑顔で手を振った先には、緑銀髪と紫髪の少女が同じように手を振っていた。
「フランちゃん! レミリアちゃん! 久しぶりだねぇ」
「お久しぶりです。あまりお変わりないようで」
「ほんの2ヶ月だもの。大した時間じゃないわよ」
2ヶ月もの間、お互いの予定を上手く合わせられなくて、会えない日々が続いた。
しかし、地霊殿の仕事も紅魔館の仕事もちょうどひと段落ついたところで、こうしてまた会うことが出来た。
「地底はどう? また土地問題で揉めてるって噂聞いたわよ?」
「この頃は特に多いですね……最近は勇儀さんにも協力してもらって解決出来てはいるんですけど……それ以上に依頼が飛び込んでくるので、キリがないんですよ……」
がっくりと肩を落とすさとり。地底は狭い割に人口が年々増えていっているので、やはりそういった揉め事は避けては通れないみたいだ。
紅魔館の執務よりも大分辛そうだ。紅魔館は主に紅魔館管轄内の資金の出回りなどしか確認しないから、地霊殿に比べたらかなり楽な仕事だ。
「まぁ、今日は久しぶりのオフですし、息抜きしますよ」
「そーそー! とりあえずお腹空いたから何か食べようよ」
「まだ10時だけど……」
お腹をさするこいしに少し驚くフラン。今日朝ごはん食べていないのだろうか。
「最近、こいしの食べる量が何故か格段に増えてですね……かなり太ったらしく、以前よりも……」
「わーわー! お姉ちゃん! なんで言うの?!」
「ふふっ、こいし、顔真っ赤よ?」
フランは顔を真っ赤にして必死に止めに入るこいしを見て可愛いと思った私の手の甲をつねる。
「……悪かったわよ。フラン」
「むぅ……」
以前、私がフランを悲しませてしまった時から、フランは不満があると私の手をつねる癖がついたようだ。フラン曰く「おしおきっ」だそう。可愛い。
「さて、どこに行きます?」
「人里ブラブラしましょう、久しぶりに来たし」
フランの名案に私たち3人は頷く。新しい甘味処や雑貨屋も沢山できているはずだ。
「っと、早速新しいお店はっけーん!」
「……洒落た店ねぇ……」
こいしが指さした先は恐らく雑貨屋だろう。装飾なども丁寧に施されていて一瞬入るのを躊躇う。
店内は落ち着いた雰囲気で、ランタンが灯されていたりと、外見と似通ったものが見られた。
「……あっ、お姉様、これ綺麗!」
「……これは……ブレスレットね……」
フランが私に見せてきたものは紫色の宝石が光るブレスレットだ。まるでフランの羽のような色鮮やかなものが、全て紫色の凝縮したようなもので、思わず魅入ってしまう。
「……綺麗……」
「でしょでしょ! でも、どうせ買うなら、お姉様に選んで欲しいな!」
「……私が払うわよ?」
「やーだっ、私のものだもん。お祝い事じゃない時は自分で買うよ」
「そう……」
フランも大人になったものだ。以前まではあれもこれも買ってと言うわがまま星人だったくせに、今ではフランの方が気を遣っていて、少し申し訳なさが出てくるくらいだ。
「あ、これ…………」
私は一際輝く七色のクリスタルがついたブレスレットを見つけ、手に取る。ライトに照らすと、太陽のように輝いていて、ずっと見ていたくなる。まるで、フランの羽根のような高貴で美しい雰囲気を醸し出している。
「ね、フラン。これつけてみてよ」
「うん、分かった」
フランは少しニヤニヤしながらそれを着けた。私は少し距離を置いて、全身を見る。思わずニヤついてしまう口を抑え、気持ちを噛み締める。
「綺麗……可愛い……美しい……抱きたい……」
「なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたけど」
「可愛いわフラン!」
どうやら、フランよりも私の方がテンションが上がってしまったらしい。まさか、ブレスレット一つだけで、こんなにも可愛くなるとは思わなかった。
「ふふっ、お姉様がこんなにはしゃぐのも珍しいね。じゃ、次は私の番っ」
「え? 私は良いわよ……」
「だーめっ、私だけ満足してもつまらないもん」
「私はフランが笑ってくれれば満足なのだけど……」
「……どうしてそういうことサラッと言えちゃうのかなぁ……」
顔を真っ赤にして、顔を隠すフラン。私はなんのことだか分からなくて首を傾げるが、後ろで古明地姉妹がクスクスと笑っているので、何となく気恥ずかしくなった。
「……さ、さて、お姉様は個人的にネックレスをつけて欲しいのよね」
「ネックレスねぇ……」
オシャレに無頓着という訳では無いが、そこまで気を遣わない。それこそピアスやネックレスはあまり着けようとは思わない。咲夜はピアスを開けているが、何かと痛そうなので、あまりやりたくない。
「お姉様って、あんまり装飾品無いよね。これを機に何かつけようよ!」
「……そうねぇ……」
「そうですね。フランさんの言う通りです。レミリアさん可愛いからきっとなんでも似合いますよ?」
「か、可愛い……」
さとりに何気なく言われたことに少し恥ずかしくなってしまう。
「さとり、お姉様口説いてるの?」
「そのつもりはありませんが……」
「お姉様は私のなんだからね!」
「では、力ずくで奪ってみせましょう」
「だ、ダメ! お姉様は渡さない!」
さとりの冗談に怯えたのか私に抱きついて所有を主張するフラン。その必死さが余計に可愛さを引き立てていて、思わずキュンとしてしまった。
「ははっ、冗談ですよ。さて、選びますか」
「うぅ……」
「さーさー、選ぼーよフランちゃん」
古明地姉妹に背中を叩かれ、頬を膨らませて拗ねるフラン。私は苦笑いをしながら、3人のやり取りを見ていた。
「おっ、これなんか似合いそう!」
意外と早めに見つけたようだ。持ってきたのはコウモリの銀の羽根に紫色の宝石をはめたネックレスだ。意外と小さめで、目立つことはないとは思うが、とても美しい色だった。
「形もお姉様の羽根っぽいし、紫色だし。完璧じゃない?」
「……よく見つけたわね……綺麗……」
このネックレスが綺麗なこと以上に、フランが選んでくれたということが何よりも嬉しかった。やはり恋人からの贈り物は特別なものだと改めて実感できた。
「じゃ、買いに行きましょ。フラン」
「はーい!」
2人でレジへ歩いていくのを後ろから見守っていたさとりが口を開く。
「……随分仲良くなったわね。あの二人」
「ね! 前に紅魔館行った時はなんかぎこちなかったけど、今じゃ遠慮なくイチャイチャするんだね」
「……少し……羨ましいわ」
「およ? お姉ちゃんもついに恋に目覚めちゃったの……?」
驚きながら茶化すようにニマニマするこいし。さとりはそれに動じず、微笑みながら口を開く。
「まだ相手がいないわよ。地霊殿の主に相応しい人がやってくるのを待つわ」
「もー、奥手なんだからぁ……」
「こいしもよ。切り替えて新しい恋もしてみてもいいんじゃない?」
さとりの提案に首を振る。まだ、こいしの中にそんな気は全くと言っていいほど無かったのだ。
「まだ……いいかな、当分の間はフランちゃんの事を忘れられないしね」
まだこいしの中にフランの存在は大きかったみたいで、フランを諦めたものの、やはりまだ想いはフランに向いているのだ。
「……そう…………まぁ、こいしらしくていいんじゃない?」
「わ、私らしいって何よ……」
「自分で考えなさい。さ、行くわよ」
「わ、待ってよー!」
さとりは先に店の外に出ようとする。それを追うように、こいしは小走りでさとりや私達の後に続いた。
「今日は楽しかったわ」
「また遊ぼ!」
私たちは手を繋いで古明地姉妹に手を振る。久しぶりに遊べたことからつい夜まで人里で過ごしてしまった。楽しいことはあっという間だと聞くが、これのことだろう。
「では、また」
「さとり、土地問題が厳しかったら、紅魔館にも協力させてちょうだい」
「え、でも、地底の方でもないのに……」
「いいのよ。またあなた達と遊びたいしね。それに、紅魔館は今暇なのよ。協力させなさい」
「……では、お言葉に甘えますね。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げるさとり。これで、地霊殿の負担が少しでも減れば良いという私の考えだが、上手くいくかどうかは分からない。
「じゃ、またね!」
手を振りながら、私達は紅魔館までの帰路をたどった。やはり、大切な友人と遊ぶことは何事にも変え難いものだと改めて感じた。
コンコンと木製の扉が軽快な音を立てる。
「はい」
「お姉様、私。入っていい?」
「いいわよ」
ゆっくりと扉を開けたのは、寝巻き姿のフランだった。最近マイブームの編み物をしていたからか、時間をあまり気にしていなかった。時計を見ると、もう11時を回っていた。
「どうしたの?」
「今日、さとりやこいしちゃんと遊んだから、お姉様とイチャイチャ出来てない」
「……そういう事ね……来なさい」
私は編み物を片付け、ベッドで両手を広げる。そこに、フランは吸い込まれるように私の懐に顔を埋めた。
「すぅぅ…………お姉様の匂いって、なんかフワフワしちゃうんだよね……」
「な、何それ……」
「なんか…………えっちな匂い」
コツンと、軽いゲンコツを脳天に落とす。
「あいたっ」
「あなた……それをするための口実にしては雑すぎるわよ……」
「えっへへ……」
最近、フランは無理やりそういう雰囲気を作ろうと、意味不明なことをたまに口走って自分で恥ずかしがってしまうことが多々ある。その度に頬を紅潮させるフランがとても愛おしかった。
「……今日は、フランが甘える番ね」
「わ、私がリードするの?」
「うん。だって、お姉様毎回私に任せてるじゃん。そろそろお姉様らしい所を見せて欲しいなぁって……」
「…わかったわ……」
そう言って、私は優しく唇を重ねた。
「んっ……」
優しく、だけども強く、離さないように。唇だけを使ったふんわりとしたソフトなキス。
「ふぅ……」
「お姉様ぁ……」
フランはもう蕩けていた。息も荒くなり、上目遣いで見るその蕩けた目はどう見たって反則級だった。思わず、もう一度唇を塞ぎ、舌を入れる。
「ちゅぅ……じゅる……れろ……ふら……ん」
「んんっ……おねえ……しゃま……」
1分ほどキスを続けた後、ようやく私達は唇を離した。お互いの舌からは銀色の糸が伸びて、私とフランの間に落ちる。
「あら……? フラン……ここ……もうこんなになってるわよ?」
「ま、毎回こうなの…」
「ふふっ……可愛いわね……」
「かくいうお姉様も…………その……染みてるよ?」
「えっ……あぁ……やっちゃった……」
私は少しショックを受ける。以前にも同じことをして、洗濯物をしていた咲夜に赤面しながら怒られたことがあった。
「明日は私が洗濯物をするしかないわね……」
「じゃあ、じゃあもう服着たままでも変わらないよね……」
「そうね…………じゃあフラン。服脱いで……」
「お姉様……話聞いてた?」
「聞いてるわ。でも、私はフランの生身の体が見たいの。服なんて邪魔よ」
「……えっち……」
「フランに言われたくないわ」
そう言っているうちに私はもう服を脱ぎ、下着姿になった。フランも不服そうだが、すぐに服を脱いだ。暗くてよく見えないが、毎回フランは赤面するので、飽きるなんて事は無いだろう。
私はフランの上に覆いかぶさり、顔を近づける。すると、フランは何かに気づいたのか、私の首元に手を伸ばす。
「やっぱり……私の見立て通り……お姉様に似合う……」
「そりゃあ、フランが選んだんだもの。可愛くならないはずがないわ」
今日、雑貨屋で買った紫色のネックレスだった。私はフランの右手に目をやる。すると同じように、フランもブレスレットを付けていた。
「……フランも……大人の女性って感じね」
「えへへ……今はあなたの妹だよ……」
「そうね……」
「じゃあ、エスコートよろしく……レミィ……」
「ええ……任せなさい……フランドール……」
もう一度唇を合わせる。そのキスの間、私達は指を絡め、手を繋ぐ。
このひとときが私にとって最大の幸せだ。
まぁ、ネタ切れ早そうだよね。