フランがシスコン過ぎて困っています。いや嬉しいですけどっ 作:かくてる
私達は一度脱いだ服を着直していた。裸で行為をしていたので、暑さは感じなかったが、いざ行為を終えて我に帰るととんでもない暑さが飛び込んできた。着替え終えた私はベッドの上に寝転がる。同じくベッドの上で服を着ていたフランは私の背中を見る。
「お姉様ぁ……あっつい……」
「我慢しなさいフラン…………私も暑いから……」
「意味わかんないよぉ……」
真夏日。太陽の下でも無いのに十分暑い。こんなの吸血鬼じゃなくても灰になってしまいそうだ。
「水浴びしたぁい……」
「……あなた吸血鬼よ? 流水なんか浴びたら……」
「分かってるけどさぁ……こう……なに? ばっしゃあんっ! って大胆に浴びたいよねぇ……」
「それくらいなら大丈夫だけど……私はパスね」
「ええぇ……」
吸血鬼には弱点がある。太陽と流水の二つだ。太陽の光は吸血鬼を灰にするし、流水は皮膚を溶かす。どんな妖怪よりも恐ろしいものだ。
「太陽の光はパチェの魔法で何とかなるけど、流水は無理だって言ってたじゃない」
「うぅ……んもー! 汗がベトベトする! お風呂行ってくるね!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
私の自室。先程までフランと交わりあっていた場所。毎回ここでイチャついているのだが、そろそろ色んなことに挑戦したいと思う自分がいた。
「まぁ……別にこのままでも楽しいけど……」
どうせなら、もっと色んな場所で、色んなことしたい。別にえっちなものじゃなくても、フランと二人で知らない世界に飛んでみたい。
「はぁ……早く帰ってこないかしら……」
フランがこの部屋を出て数分、どうやら私はもうフラン一色に染まっていた。
シュルシュル……
服が肌と擦れる音だけが私の耳に入り込む。更衣室にいるのは私一人だけ。最近はお姉様と入ることが多く、一人でいることが珍しくなっていた。
沸かされているお風呂のお湯を桶で掬って全身にお湯を流す。そして、足から肩まで全身が湯船に浸かる。
「ふぁあぁ……」
我ながら情けない声が出てしまう。仕方がない。昨日はお姉様と捗りすぎてほとんど眠れなかったのだから、これくらいは勘弁して欲しい。
「…昨日も……気持ちよかったなぁ……」
無論、昨日のお姉様との行為の事だ。二日に一度はああやって肌を重ねている、その度に幸せを感じられるのだからどれほど今の生活が充実しているかが分かる。
数分後、シャワーを浴びて体をくまなく洗った後、私はお風呂から出る。真夏日とは思えない冷気が露わにしている私の素肌を刺激する。
「この後も汗をかくんだろうなぁ……」
「これだから夏は嫌いなんだよぅ」と呟きながら私はふとした疑問を浮かべる。
「流水がダメなのに、なんでシャワーとか湯船は大丈夫なんだろ?」
矛盾している吸血鬼の体質に今更疑問を抱いた。495年間、何も考えないまま当たり前のようにお風呂に入っていた。
「…流水ってそもそもなんだろ?」
…………哲学的な考えだ。しかし、答えは単純明快、「流れる水」の事だ。
「流れる……水…うーん…」
流れる? 流れるって一体なんだろう。
「…………ああっ!!」
電流が走ったようにすごい発見をした私は更衣室を出てお姉様の部屋の扉をバァンッと勢いよく開ける。
「お姉様ぁ!」
「どぅわぁあ!!?」
お姉様がお姉様らしくない叫び声を上げた。どうやら机で本を読んでいたらしく、驚いたお姉様の膝と机が見事にマッチし、激痛を走らせていた。
「いったた…な、何よフラン……てかあなた裸よ!?」
着替えずに飛び出してきてしまったため、服や下着も身につけていない。全身が露わになってしまっていた。お姉様の顔は湯気が出るほど熱くなっていた。
「ありゃ? お姉様顔赤いよ? 興奮した?」
「し、してないっ……から……早く服きて……」
語尾が弱まるお姉様は両手で顔を隠して、出来るだけ私の身体を見ないようにしていたが、指と指の間が少しだけ開いていて、チラチラと私の身体を見ているのがわかった。
いつもの服を着て、気を取り直す。
「コホン……お姉様! 私すごい発見しちゃったぁ!」
「……」
「その顔やめてよ……」
お姉様は「どうせろくでもないことなんでしょうね……」と呆れるような眼差しを送ってくる。しかし、今回の発見はそんな目で見れるほどちんけなものじゃない。
「お姉様、私達って流水を浴びると皮膚が溶けて死ぬんだよね?」
「……さっきもそう言ったじゃない」
「じゃあ、どうして私達ってお風呂に入れるんだろうね」
「…………?」
お姉様は私の言っていることが分からなかったらしく、首を傾げる。それどころか、顔をしかめて可哀想な目をしている。
「……だから、お風呂なのになんで皮膚が溶けないんだろうって話!」
「……まぁ、言われてみれば……」
「じゃあさ、皮膚が溶けるものってさ……」
私はビッとお姉様を指さして、今世紀最大の発見を告げる。
「「流れてくる水」だけなんじゃない!?」
「…………流水の意味を説明しただけじゃないそれ?」
「…………まぁそうなんだけど……とにかく、流れない水なら大丈夫じゃないかなって」
「……プールとか?」
「そう!」
流れなければ大丈夫なのだ。つまり、川なんかいくと溶け溶けになってしまうが、プールのようなただ水が張られている場所では吸血鬼でも大丈夫なのだ。
「ということで! 私穴場のところ知ってるから行こ!」
「い、今から!? 今日はゆっくり……」
「やーだ。まだまだ遊び足りないもん……」
「え、ええ……」
私はお姉様の腕を掴んでこの部屋を出る。外はもうジワジワとセミが鳴いていて少し耳障りではあった。
「やっぱり外も暑いねぇ……」
私達はパチュリーに日光遮断の魔法をかけてもらい、外に出る。日光が射していなくても、充分暑い。下のコンクリートや空気が熱されていて、イライラが止まらない。
「これさ、レーヴァテインの方が熱いのかな」
「今レーヴァテイン出したらシャレにならないからやめなさい」
確かに、今レーヴァテイン使ったら私達はもうこんがりと焼けてしまいそうだ。
「さてさて、こっから穴場まですぐだからさ、早く行こっ」
「ええ」
歩くのは少々めんどくさいので、ひとっ飛びで行ってしまおう。どうせすぐなんだし。そして、数分でそこに着く。
「お姉様、ここ! ここ!」
「ここって……」
「あら? 知ってる?」
「ええ、フランとこいしが以前遊んでたところじゃない」
そう、この泉は私とこいしちゃんが前に遊んだ時に偶然見つけた泉だ。水がとにかく冷たくて、天国のようなものだった。
そして、ここで私は初めてこいしちゃんとキスをした。というのも、まだ私とお姉様とこいしちゃんの3人で三角関係を築いていた時だ。(前作6話参照)
「よく覚えてたね」
「ええ、だってこいしがフランの上に乗ってあんなあまーいキスをしてたんだもの」
「えっ、あれ、そこまで見てたの!?」
「ええ、見ないふりをしたけどね。あの時はこいしをフランに奪われてキレそうになったもの……」
「あ、あはは……」
お姉様の「キレそうになった」は割とシャレにならない。幻想郷最強の妖怪として名高いレミリア・スカーレットの怒りはきっと地図を書き換えなきゃいけないくらいの破壊力だろうから。
「まぁ、とりあえず水着に着替えよ」
「そうね」
私達は服を脱ぎ、水着に着替える。別に今の仲じゃ裸を見られることに抵抗はない…………はずだが、先程のように不意打ちで裸になられると、私もお姉様も緊張してしまう。
「……いつも思うのよね、フラン。あなた私よりも大きくない?」
「え? どこのこと?」
お姉様は自分の胸を触りながら、私の胸と見比べる。
「だから……胸」
「胸? ああ、おっぱいね」
「そ、そこまで躊躇いもなく言われると、躊躇してた私がバカみたいじゃない……」
「そうかな? お姉様、何カップ?」
「な、なんで教えなきゃいけないのよ……フランから教えなさい」
「私はBだよ」
「…………」
私は黄色の紐ビキニの上から自分の胸を揉む。しかし、少しふっくらしてるくらいで、咲夜や小悪魔のような柔らかさは持ち合わせていない。
お姉様の顔が暗くなる。どうやら、お姉様は自分の地雷を私が踏んでしまったらしい。
「だ、大丈夫だよお姉様……胸の成長なんて人それぞれだからさ」
「で、でも……妹よりも小さいって……」
「だ、大丈夫だよ。ほら! お姉様にも私よりも優れてるところあるでしょ?」
「……例えば?」
既に涙目のお姉様。やばい可愛い。
私は必死に別のものを考える。
「えっと……し、身長とか……私、147センチなんだ! 前に測った時は小さくてびっくりしたよぉ……」
「……145……」
「あっ……」
やばい、二度目の地雷だ。やってしまった。お姉様はどんどんいじけていく。紅魔館の主といえど、まだ幼い少女だ。
「身長も胸も負けてるなんて……」
「あ、あー……まぁ、カリスマ性はお姉様の方が上だよ」
「……ほんと?」
あーもー。上目遣いやめて欲しいなぁ。何その「私の事襲いなさいよ」感。卑怯だよなぁ、襲っちゃっていいかなぁ。
「う、うん……さすが紅魔館の主だよね。尊敬するよ……」
「ま、まぁ、それほどでもないわっ」
ちょろい。ちょろリア・スカーレットって名前にしようこれから。
「さ、入ろ入ろ!」
「そうね」
私達は恐る恐る足先から浸かる。すると刺激が足先から伝わり、全身に冷気が染み渡る。
「ふぁあぁ……つめたぁい……」
「ほんと……つ、冷たいわね…………」
「お姉様? そんなにビビらなくても大丈夫なのに……」
私はもう既に肩まで冷水に浸かっているが、お姉様はゆっくりと膝を曲げていた。ニヤリと不敵に笑った私はお姉様の肩を両手で掴み、思い切り下に押した。
「んひゃん!? ちょ、ちょっとフラン!」
「あはは! お姉様変な声出てたよ!」
どうやら、お姉様も冷水に慣れたようだ。
「しかし、フランらしくないわね。こんな大発見するなんて」
「フランらしくないは余計かなぁ…………前にこいしちゃんと遊んだ時は不思議に思わなかったんだけど、そういえば変だなって思ってさ……」
「こいし……ねぇ……」
「な、何……」
お姉様が睨みつけるように私を見ている。しばらくすると、お姉様は拗ね出して、そっぽを向いてしまった。
「お、お姉様?」
「別に悔しいなんて思ってないし、私が知らなくてこいしが知ってるのがムカつくなんて思ってないし、こんな所でイチャイチャしててイライラするなんて思ってないし、水着でキス出来るなんて羨ましいなんて思ってないし」
「そ、それ全部本心だよね……」
「違うし……」
お姉様が拗ねるなんて珍しい。そう思った私は愛おしくなってお姉様を後ろか抱きしめた。
「ふ、フラン?」
「んぅーっ、お姉様が可愛い……」
「ちょ、やめてよ恥ずかしいから……」
「やだね、嫉妬するお姉様が可愛いのがいけないんだよ?」
「何よそれ……」
口では文句を言いながらも、一切抵抗もしない、満更でもないようだ。
「じゃ、お姉様ともキスしよっか」
「い、今!?」
「うん、今」
一度お姉様から離れ、目を見る。私はお姉様をずっと見つめていた。するとお姉様は恥ずかしくなったのか、目をそらす。
「い、いいけど……」
「けど?」
「……こいしとキスした時よりも凄いこと……して?」
「す、凄いこと?」
「うん……」
「何それ……」
お姉様の言う「凄いこと」というのがよく分からない。というのも、お姉様と行為をする時以上のものを私は知らなかった。
「わ、分かんないんだけど……」
「んもー!」
「ちょ、お姉様…………わっ!?」
お姉様はイライラが最高潮に達したのか、私を泉のサイドに押し倒す。石のひんやりした感触が私の背中に伝わる。
そして、私の上に四つん這いで私を見つめるお姉様がいた。
お姉様の髪は肌にへばりついていて、口にはしないが、とても綺麗だった。まつ毛から水滴が垂れ、私の頬が受け止める。
「こいしとも……こうやってキスしたんでしょ?」
「え、えと……」
私はこいしちゃんとどうやってキスをしたかを思い出す。確かこんな感じだった。私が滑って転びそうになって、こいしちゃんが守ってくれた挙句にこういった体制になった。
「でも……こいしは唇を合わせるだけのキスを……したのよね?」
「う……うん……」
「じゃあ、私が舌を入れたキスをしたら、私の方が上よね?」
「え? どういう…………んむっ!?」
私の返事を聞かずに、お姉様は私の唇を塞ぐ。そして、一瞬でお姉様の舌の侵入を許した。
「んっ……ちゅ……じゅるっ……れろ……」
「……おねえ…………さま……ちゅぅ……」
唇を合わせるキスをしたり、舌を絡める濃厚なキスをしたり、交互に行うように長いキスをした。
「ちゅっ…………ぷはぁ……」
ようやく口が離れる。私とお姉様の口の間には銀色の糸が重力に従って落ちる。そして、その唾液の糸は私の頬に落ちる。
「つめたっ……」
「あら……」
「…………んもー、拭き取らなきゃ」
「待って」
お姉様はいつもよりも蕩けた顔で私を見ていた。いつもは私がリードしてるからか、お姉様のこんな顔は珍しい。
「……私が舐めとってあげる……」
「えっ……」
あれなんかデジャヴ……。そう思う頃には、お姉様の舌が私の頬を這っていた。
「ひゃぁ……お姉様の舌……生ぬるい……」
「ふふっ…………フランのほっぺ柔らかいわね……れろ……」
以前、こいしちゃんにも舐められたが、その時よりもなんか気持ちが良かった。お姉様の舌は頬だけでなく、耳まで伸びていた。
「やっ……そこは……ダメっ……」
「ふぅん……耳、弱いのねフラン。いい発見だわ……」
そう言って、右耳を舐め始める。新しい感覚に、私はビクビクと身体を震わせてしまっていた。舌で舐めたり、時にはハムハムと甘噛みしたり。
「はぁ……はぁ……お姉様ぁ……」
「……今日は私の番よ?」
「……今日「も」の間違いだよ……」
「じゃあ……今日もよろしくね? フラン……」
「ぅん……」
真夏日。水浴びすることも忘れ、イチャイチャしてた私は結局咲夜に見つかってこっぴどく怒られた。
そして、最後は3人で楽しく水浴びをした。