Evening calm〜燃える夕焼けと静かな嘘つき〜 作:白ノ暇潰
バレンタインに何も貰って無いんで関係無いんですけどね...
「お待たせしました。ショートケーキです」
「ありがとうございます」
茶髪の店員、羽沢さんが椅子で小説を読んでいた僕に注文していたショートケーキを運ぶ。
ここ、羽沢珈琲店には幼なじみ達と来て以来頻繁に訪れている。目的はケーキ。一度食べてからすっかりハマってしまい、小説片手に入り浸っていたりする。
今日もライトノベルの新刊が出たので買ってきて読んでいる。が、先程から全く集中して読めていない。
(すごい見られてるなぁ...)
理由は単純。少し離れた席に座る人達がこちらを見てはひそひそ話してるから。すっごい気になる。時折羽沢さんも話している辺り友人だろうか?
何か注目されるような事をしたか頭を巡らせてみるが思い当たる節はない。動画撮るときは顔隠してるし...う~ん…
気にはなるものの何かしたって訳じゃないだろうし大丈夫でしょう。
ケーキ美味しい。
「あ、あの...」
「?...はい、何でしょう?」
ショートケーキを食べ終わった頃に羽沢さんに声を掛けられる。エプロンを着けてないということはバイト終わったのかな?
「凪さんってLiarsのナギさんだったりしますか?」
「え?」
どこでバレた?初めて会ったときサラッと歌い手したりしてるとは言ったもののそれだけで特定されるものか...
「何故そう思ったんです?」
「前、CiRCREに居ましたよね?その時に歌ってるのを聴いて...」
「なるほど...でも僕の歌はどうやって...あ、」
あの時僕の歌を聴いたのはまりなさんだけだ。ただ、まりなさんを捜していた女子高校生らしき集団。彼女らが来たタイミングによっては聴かれたかもしれない。
「あの時、羽沢さんも居たんですね」
「はい」
「...じゃあしょうがないですね。えぇ、僕がLiarsのナギですよ」
「良かった!皆!やっぱりそうだったよ!」
羽沢さんがこっちを見ていた集団に声を掛ける。なるほど、そうゆうことか。
報告を受けて安心したのか集団がこちらへと来る。
赤メッシュを筆頭にダウナーな感じの女の子、赤髪の姉御感のある人、THE JKって感じのでっかい子(何がとは言わない)。
...その辺で会ったら不良だと勘違いしそうだな。
「さっ、サイン下さい!」
ピンクのバインバインの子(見てしまうのは不可抗力)が色紙を差し出す。よく持ってたな...サインなんてバンドしてたとき以来か...
「いいですよ。名前も入れます?」
「じゃ、じゃあ«ひまりちゃんへ»ってお願い出来ますか?」
「分かりました」
そう言ってペンを走らせる。サインを求められるのは悪い気はしない。
「これでいいですか?ひまりさん」
「はい!ありがとうございます!」
「いえ、こちらこそ」
色紙を受け取るとひまりさんは「やったよ~!ともえ~!」と嬉しそうに赤髪の子へ飛び付き周りからは「やったな!ひまり!」「良かったね~、ひーちゃん」と声が掛けられる。仲が良いのだろう。見てて微笑ましい。
「仲が良いんですね」
「はい、私達幼なじみで...一緒にバンドもやってるんです!」
「ほぉ、それは興味深いですね」
「良かったら今度ライブ来ます?」
「え!?ら、蘭それは...」
赤メッシュの子がそんな提案をしてくる。この子達がどんな音楽をするのか気になるところではあるし、説明を受けるより聴いた方が早い。百聞一見にしかずってね。
「では是非」
これが僕と彼女達Aftergrowの初めての会話だった。
そういえばお気に入りが8件に増えてUAも1000を越えて、ありがとうございます!
これからも頑張って行きたいです!
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