白の祓魔師   作:紗代

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一難去って……

なんとか手続きを全て終えて制服も長友さん経由で渡した。入学式も何事もなく終わってよかった……。

なんて思って気を抜いていた自分自身に合掌。

 

今日は入学式だけで終わりなので祓魔塾の開始時間もその分早まる。確か今日は雪男君の授業だけで「魔障を受けて悪魔を見えるようにすること」と塾や祓魔師についてのさわりだけだったはず。うん、それだけなら心配することもないかな。今日は何事もなく終われそう……

 

ドオン!ガッシャーン!!

 

じゃなかった。音のした方……雪男君と塾生の使ってる教室じゃなかったっけ?

 

「初日からこれとか……勘弁して」

 

思わず頭を抱えたくなりながら私は爆発音のした教室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

教室に近づくと塾生たちはみんな廊下に避難していた。

 

「皆さん無事ですか?」

「あんたは……」

「私は白代萼。ここで講師をしています。皆さんのカリキュラムでは今日は魔障を受けて悪魔を視認できるようにすることだけだったと思うんですけど……」

「悪魔たちがなんや妙に興奮してはったみたいで……って白代?あー!」

「とりあえず結界張っておきますね」

 

ピンクの髪の子は何か思い出したようにしていたけど、長く話し込んで二次被害が出てはまずいので先に結界を張らせてもらう。みんな驚いてくれるのはありがたい。でもこれ簡易結界だから私が離れると効果が切れちゃうんだよね。残念なことに。

 

「なんや志摩、知っとるんか?」

「知っとるも何も坊、あれですよ!ほら、金兄たちが言うとった偉い別嬪なんやけど見た目に反してごっつ強いゆう白代先生ですよ!」

「こん人があの……」

 

志摩で金……あ。

 

「もしかして君、金造君の……」

「はい!弟の志摩廉造言います!いやーそれにしてもあの白代先生がこんな美人なお人やったなんて驚きですわ」

「あはは、一体君のお兄さんは私をどう伝えていたのか気になるけど……まあいいか」

 

そろそろ外の教室も静かになったことだし、長居は無用だろう。

 

「じゃあ私はもう行くから。近いうちにまた会うことになるだろうけど、その時はよろしくね!」

「はーい♡おおきにー!」

 

そんなわけで

 

「はーぁ~」

「落ち着きましたか?」

「はいぃ~、でももうちょっと……」

「……」

 

私は心優しい(元をたどればこいつのせいだと思わなくもないが)雇用主のテリア犬バージョンを膝に抱えてモフっている。いろいろ事後処理に追われてやっと報告にきた私を見て同情してくれたのか、無言で変身して近寄ってきたので甘えて抱き上げてモフる。見た目を裏切らない……いや、見た目以上のモフモフにぷるぷるプニプニの肉球……

 

「……最高」

「ご満足頂けたようで何よりです」

「あ」

 

テリアは器用に私の拘束から抜け出して床に降り立つと元の人間の姿に戻ってしまった。残念。

 

「さて、休憩はここまで☆仕事に戻りますよ」

「──……はい」

 

切り替えて、というよりは切り替えざるおえない状態にされたことで背筋を伸ばす。

 

「一先ず、奥村講師の授業はその後つつがなく終了しました。この事故による負傷者は塾生・講師共になし。破損箇所については手配しましたので、明日の授業には響くことはないかと」

「なるほど、ご苦労様でした☆」

「それと―――奥村兄弟についてですが、兄に対して奥村講師の情報開示がされていなかったそうで」

「それが発端なのではないのかと?」

「なくはないかと。まだ覚醒したばかりの力加減も分からない加工されていない原石だと考えれば――その感情の振り幅に影響を受ける悪魔も出てくる可能性も否めません」

 

あくまで私の推論の範囲ではあるが。

 

「――ふむ、そうですねえ。今はまだ奥村先生で抑えられる範囲にとどまっているでしょうが―――ああ、そうだ!ならこうしましょう!」

 

いい案が浮かんだとばかりに胡散臭い笑顔でこちらを見るフェレス卿。その瞬間私の三年間で培われた慣れによる勘のようなものが言った。

――ああ、絶対に碌な事じゃないよこれ。

 

「白代萼上一級。あなたに任務を言い渡します」

「……はい」

 

 

「奥村雪男中一級とともに奥村燐の監視をお願いします☆―――もちろん受けてくださいますよね?」

「―――了解、致しました」

 

どうやら拒否権はないようだ。

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