side アスナ
私たち攻略組はリナちゃんを残して撤退していた。
あの子は確かに強い。
でも……流石に一人でフロアボスなんて……無理だよ。
あの子は足止めをするって言ってたけどまだ帰ってこない。
多分彼女は倒す気だろう。
やっぱこのままリナちゃんを見殺しにするなんて出来ない!
「あの……ディアベルさん」
「彼女を助けに行くのかい? 無理はするなよ」
「はい、分かりました」
side リナ
アステリオス王に対して私はソードスキルを叩き込んでいた。
何分……いや、何時間か……もう時間が分からない。
敵のブレスを右に跳躍して避ける。
そして硬直したアステリオス王にホリゾンタル・アークを撃ち込む。
それからスキルコネクトでバーチカルさらにホリゾンタルそしてホリゾンタル・スクエアをほぼ膠着無しで撃ち込む。
<いつまで、手抜きをしているの?>
そんな声が聞こえてきた気がした。
何のことだろうか?
私は本気でやっているはずだが……
<本当に?>
……私は何度このクソゲーをプレイしただろうか?
何万か?
何十万?
いや……もう良いや。
少なくとも元いた世界の事を忘れてる程には繰り返した。
残念ながら再走してしまえばデータは消える。
ソードスキルやリジェネスキルは消えてしまう。
しかし本当に何も引き継がれないのだろうか?
否、純粋な技量は引き継がれる。
そう、もし1週程度で極めた技量程度ではだがが知れているが……それが何千何万ともなると……
「そうだね、ソードスキルを使ってる時点で手抜きだね」
私は無意識のうちに手抜きをしていたらしい。
私は決して手抜きしてはいけないのに……
キリトみたいに私が殺してしまった人……その分いやそれ以上の働きをしなきゃいけないというのに……
私は剣を鞘に納める。
「アステリオス……そろそろ君は見飽きたよ。死に晒せ」
アステリオスはつい先ほどまでいたはずの私を何故か見失う。
「ここにいるよ」
私はアステリオスの後ろに1秒ほどで移動していたのだ。
システム外スキル、縮地。
SAOのプロト心意システムを使用したインチキ高速移動である。
そしてアステリオスが振り向くまでの3秒間に40連撃の斬撃を放った。
通常攻撃ではあるものの、チリも積もれば云々。
アステリオスの残りHPが0になりポリゴンの粒子になり消滅した。
私は剣を納める。
「ね? 生きて帰れたでしょ、アスナ?」
私を助けるために帰ってきたのであろうアスナに顔を向けてそう言う。
……もしかしてあのインチキ心意システム使ってるの見られたかな?
そしたら少しまずいんだけど。
「本当に一人で倒したのね……どうやったのよまったく」
良かった。あのインチキ高速移動と高速斬撃を見られた暁には私の招待が茅場だと勘違いされるからね。
「企業秘密って感じかな?」
「何それ……」
「まぁ良いじゃん。とりあえず三層に行こ」
「……分かったわ」