ハイスクール・フリート〜空の覇者〜   作:たはまらたはまさまたらた

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次話も鋭意製作中です。なるべくシリアスになるようにしてみました。なっているかは不安です。


帰還

長い汽笛と入港ラッパが鳴らされ周りの艦が次々と入港準備に入る。時間は深夜の2時。こんな未知の大型艦を人目に晒すわけに行かないという判断なのだろう。今現在自分がやることはない。船の原子炉は起動に時間がかかるし人も足りない。補助機関だって燃料が心許ないため使えない。そんな訳で牽引されながら来たわけだが話には聞いていたが本当に海に沈んでいるとは思っていなかった。胸ポケットに入れた箱を振って飛び出てきた一本を口に咥えて火をつける。

吸い終わってしばらくしてからもう一度見るともうすぐ下船というところまで来ていた。急いで幹部常装第一種夏服の上着を着て整える。

しばらく待っているとタラップが掛けられ遂に横須賀の土を踏んだ。

目の前に何かの制服を来た女性がいた。

こちらを見ると

「こんにちは、ブルーマーメイド安全監督室情報調査室長兼一等保安監督官の宗谷真霜です」

と自己紹介してきた。挨拶は基本だ。更に階級章や肩書を見る限り私より階級は上であることが予想される。

「ずいかく艦長日本海軍谷風色葉大佐であります。宗谷真霜ブルーマーメイド安全監督室情報調査室長兼一等保安監督官」

「そんなに固くしなくて大丈夫よ。真霜さんとかでいいのよ?谷風色葉ちゃん」

「しかし宗谷真霜殿は階級上恐らく上官です。そのように気安く呼ぶのは「いいから、いいから、ただ少し話を聞きたいから着いてきて」了解」

不安だらけではあるがついていく以外の選択肢はなさそうだ。周りにいる宗谷真霜の部下と思われる者達の肩が片方少し下がっている。銃の入っている証拠だ。

言われたとおりワゴン車に乗りしばらく無言で走っていると唐突に宗谷真霜が話し始めた。

「宗谷真霜個人としての質問なんだけど貴方、人を殺したことある?」

いきなりなんだとも思うが答える。

「あります、大量に殺しました。ただし法律で許された殺しです。まぁ大抵の人は戦争と呼びますが」

「そう、貴方これからどうするの?」

「どうするかは決めていません。どうにかしないといけないのは分かっているんですけど。まぁそこら辺で仕事を探します。幸い国から補給品が切れたとき用のドルは渡されてますし。それになんと言うかここは私の知っている日本では無さそうです。ですから一旦それで生活費を支えて急いで仕事を探しますよ」

「無理よ、もうこの国に仕事なんて殆ど無い。あなたも見たと思うけど日本の平野部はほぼ水没して今じゃこの国はメガフロートの建造と沖合の地盤沈下が悪化しない場所でのメタンハイドレート採掘で凌いでいるようなものよ。それもあと数十年できっと凌げなくなる。この国の食料自給率は世界でも最低クラス。それに学生の死亡率も高いの。何故か分かる?」

「まさか学徒出陣とか言わないですよね」

「残念ながら当たりよ。この国は海軍を解体した。いや解体させられた。陸軍は頑張って守ったから朝鮮や満州の権利はぎりぎり守れた。でも海軍は無くなった、だけどその後すぐロシア帝国とアメリカ合衆国との睨み合いが始まった。いわゆる表向きは自由主義のアメリカと帝国主義の衝突だった。日本はロシアに対しての防波堤にさせられた。それで出来たのが今の大和型などを持ったブルーマーメイド。それを育成するために出来たのが女子海洋学校。更に幹部を育成するのが海洋大学校。でも海洋大学校にいける子はまだいい。海洋学校出た途端、つまり18歳で実戦配備なんてザラにあるし海洋学校生徒の時でも国家公務員扱いだからいつでも動員される。海上安全保持法第一条に書いてあるの、海洋学校、大学校生徒は我が国の国家公務員で有り有事の際無制限に艦艇、人員を政府が動員する権利を持つってね。つまり彼女達はブルーマーメイド、蒼き人魚になった時点で人には戻れない。海で泡になって消えるしかない」

「なるほど、酷いものです。私の場合は海軍兵学校主席卒業したあと巡洋艦で経験を積んであの船の艦長になりました。ただ一応私のもといた世界でも16歳からの兵士動員は本人の同意があればやってよかったですし。ただろくに訓練もさせずに戦場に送り込むのは酷ですね」

「私が初めて人を殺したのは17歳のときだった。海賊なのかは分からなかったけどいきなり乗り込まれてあっちは自動小銃で武装して更に撃ってきた。犠牲者は拳銃を撃つのを躊躇った者全員。32人乗ってたけど生き残ったのは11人だった」

「ちなみに学校生徒の死亡率はどのくらい何ですか?」

「10〜30%ぐらいかしら。中には自殺もいるし正確に殺された数とと言うわけでもないけど」

「ひどいですね。そんな実態を知ってもブルーマーメイドになろうとする人いるんですか?」

「居るわよ。確かに危険だけど給料は高いし大型艦に乗れれば死のリスクも少ない。でも一回入隊すればもう後戻りできない。死へ向けて一直線よ」

「それでこの車どこに向かってるんですか?」

「海上安全委員会本部よ。海上安全整備局は腐ってるけど委員会の方はまだまし。自分の私益ではなくて国益のためを考えて動くから。」

そう言って彼女は水を飲んだ。

「でも彼らはたとえ学生であろうと国益の為に切り捨てる。そういうのをわかった上で聞きたいの。貴方、ブルーマーメイドに入る気ない?」

「何故です。確かに仕事をくれるのを嬉しいですけど」

「言い方を変えましょう。今の海上安全委員会は即時に実力行使のできる部隊を創設する気でいる。でもその為には殺しを躊躇わずできる人間がいる。仲間を殺されても大丈夫な、そして死んでも問題ない者が。それに関して白羽の矢が立ったのがあなたなのよ」

「なった際のこちらの利益は?」

「1身分を保証及び貴方を特別海上警備官に任命し即応機動艦隊司令とする。またクルーの訓練日程も決めることを許可する2ずいかくを旗艦とし艦隊に対して厚い支援を約束する。3常時攻撃を許可しある程度の独断行動を支持する。4全ての港湾等に対しての寄港許可5高い給料」

「最後だけものすごく現実的ですね」

「まぁどんな組織でもこんなもんよ。で、どうする?入る、入らない?」

「答えは……入ります。私は戦場に長く居すぎました。もうそれしか出来ません」

「じゃあ、忙しくなるわよ〜。今から貴方の上司になる人にご挨拶ね」

その後約一時間。若い人から年寄りまで海上安全委員会の人間に質問され続けたのだった。

再び車の中

「疲れました…。そう言えば私の家ってどうなるんですか?官舎とかですか?」

「取り敢えずは私の家かな。官舎は飽きないらしいし。あなた勉強できるんでしょ?」

「まぁそれなりに」

「なら妹に勉強教えてくれない。今度受験なんだけど」

「海洋学校ですか?」

「よく分かったわね!そうよ海洋学校よ」

「ブルーマーメイドというのは宗谷家で運営されているんですか?」

「そういう訳じゃないんだけど、まぁ実質それに近いかな」

「権力の一点集中は危ない気もしますけどね」

「それ以上にやばいのが海上安全整備局の上層部よ。貴方のこと殺してまで船を手に入れようとしたんですから」

「それを阻止したのが海上安全委員会と」

「その通りよ。そうは言っても貴方を味方にしたほうが国益が大きいと判断しただけだと思いますけど。さぁもうすぐ着くわよ。宗谷家に。」

ゆっくりと日本の空に朝日が登ってきていた。

 




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人を殺させるなら誰?

  • 宗谷ましろ
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