Infinite Stratos Easy Day   作:キングオブ不死身さん

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分かる人には今回のネタは多分一発で分かります。だってBOファンだもん。


operation40

ニカラグア オペメテ島付近 クリームヒルト・ローゼンシュタイン少佐

 

 

虚栄の都市。まさにその言葉を体現するかのように高層ビルが所狭しと立ち並んでいる。

親米政権が樹立して約5年程だろう。この川沿いの街は昔の小さな村から打って変わり、高層ビルが立ち並ぶカジノ街へと変容しており今や外資が続々とこの島を中心に発展を遂げている。

よそ者に対する侮蔑の視線を受けながら僕は目的地へと向かっていた。

街の郊外、騒々しいを離れた小洒落た一戸建てのバー。街の人間のみならず観光客やマフィアもここを利用していると聞く。ギイ、と老朽したドアを開けた瞬間バーの客の視線が一斉にこちらへと集中した。目つきから察するにならず者が多数。おそらくは麻薬カルテルだろう。そんな彼らの視線をよそに僕はゆっくりとした足取りで進んでいく。そのバーの一角にて容器に酒を飲み交わしている3人の男たちがいた。

 

「キングとジョーカーは闇夜に踊る」

 

作戦前に言われていた暗号を目の前の彼へはっきりと告げると彼は酒を飲む手を止めてこちらへと向き直る。多少酒が入っているようだがその目の威光は依然として刃の輝きを放っていた。

 

「大当たりを信じてギャンブルをやらん事だな、若造。俺はフランク・ウッズだ。宜しく」

 

その男こそCIAの現地工作員の一人、フランク・ウッズ。ベトナムから今日のニカラグアの裏街道を突っ走ってきた事を体現するかのような目つきにトマホークを弄ぶ。

 

「ああ、それとお前さんも俺らと目つき変わらんぞ。俺の目は誤魔化せんさ」

 

ハハハとにこやかに笑って見せるウッズに対しクリームヒルトの眼は凍てついていた。

彼も同じ目でクリームヒルトへと視線を投げかける。沈黙がバーの一角を支配しクリームヒルトはその場に立ち尽くした。

 

「まあそう硬くなるな。座れよ」

 

彼に促されてクリームヒルトはようやく椅子へと腰掛けた。

 

「知っての通りだが、このジャングル一体はサンディニスタの巣だ。協力者も多数居る。だから応援として、CIAのジェイソン・ハドソンがお前さんの所の指揮官を通じてあんたをよこした」

 

ウッズは手にしていた酒を一気に飲み干すと顔を紅潮させ、酔いに任せて続きを語り始めた。

 

「で、だ。続きを話そう。ここはまだマシだ。ならず者がいる分な。厄介なのはここからちょっと離れたジャングルの農村部。そこらへん一帯はサンディニスタ共の巣と化してやがる」

「成程。それで?」

「俺たちが行くのはそこを超えた先の…そう、ここだ」

 

ウッズが指し示した所にあったもの。それは辺鄙な飛行場だった。特に離発着にも事欠かず、だからと言ってこれと言った目標物の無い、言ってしまえば攻撃価値が現時点ではクリームヒルトにとっては全く理解ができなかった。

 

「お前さんは俺とメイソンと共同でここを奪取してもらいたい。もちろん君がISを使える事は判っている。心配しなくてもいいさ。俺たちは敵に回らんよ」

 

そうだと言われてもいまいち納得することが出来ない。何しろ天下の諜報組織CIAの駒、所属はこの調子から察するにISAと疑っても間違いではないだろう。信じろと言われてもこの手の人間

を信用しろと言っても信用出来ないのは自分の性だ。

 

「どうしても信用してくれんかねぇ……」

 

ウッズはクリームヒルトの表情を察してか先ほどのフランクな態度から打って変って沈鬱に肩を落とした。そして再びグラスへと酒を注ぐ。

 

「子供は大人を信頼するのが普通何だがねえ。お前さんを見てると俺まで辛くなる。どんな育ち方をしたらそんな人間不信に育つのやら」

 

“そう言われてもねえ”

毎日腹の探り合いをしてたら誰だって人間の心は判らなくなるよ。

それがウッズに対しての彼なりの回答だった。神経を削るような環境に毎日身を置けばだれだってそうなるだろうに。

 

「仕方ないです。そういう身の上なんです」

 

そう言いつつ、僕は頼んでいたジンジャーエールで渇ききった喉を潤した。日中40度にもなる太陽の日差し。ふとIS学園の様子が脳裏へと浮かんだ。まだ見ないその光景は果たしてどんなものなのであろうか。一つだけはっきりしている事は少なくともここのように恐怖と殺戮で満たされているようなところでは無いはずだ。ふとクラスメイトというものが女子だらけの中に放り込まれる自分の姿を少し、想像してみる事にした。クラスメイトがにぎやかに談笑している。その横で僕はチュッパチャップスを片手に本を読む、そして次が…

(あっ…)

身の毛もよだつ光景がクリームヒルトの脳内で繰り広げられる。

言うならば13人のユダに囲まれたかのような絶望感がクリームヒルトを襲った。

(やっぱり)

やめよう。ここで終わりだ。

クリームヒルトがIS学園どころか女子を嫌う理由というものは実は先ほども話していた通り、腹の探り合いと人間不信から来るものだった。彼女たちの情報網はある意味でCIAのそれを大きく凌駕しているともいえる。そこに湾曲が入ればどうなるかは果たして言うまでもないだろう。

そんな他愛も無い妄想をしていると突如として突風のようなものがクリームヒルトの髪をなぶった。その突風と共に数人のAKで武装した兵士が声を荒げて自分達のところへと他のギャング共には眼もくれずに一直線に向かってきた。

 

「おい、そこの4人。お前たち何処から来た?」

 

警官はそう言うや否やクリームヒルトの腕を引っ張り再び同じ憎らしげに詰め寄った。今度は更に激しく、尋問をするかのような態度でさらに詰る。

 

「何処から来たと言っている!?答えろ!!」

 

それが導火線だった。クリームヒルトの眉間にトカレフを構える寸前、何者かが兵士の右手を容赦無く撃ち抜き、手にしていたワインボトルを叩きつけ、血飛沫と赤ワインがブレンドした液体があたり一面へと飛び散った。

 

「ウッズ…?」

 

そこには先ほどのフランクな人柄の男など存在していなかった。冷徹に獲物を見つめ、目的を遂行する頭脳を持った機械がそこにいた。

 

「やっぱりな。さあ早く、ここから逃げるぞ」

 

状況が把握しきれないまま、クリームヒルトは所持していたHK416アサルトライフルを構えて

ウッズたちへ付いていく。ニカラグアの警察かと思われるパトカーのサイレンがバー一面に鳴り響き、中より重武装の特殊部隊かと思われる20人の男たちがバーを包囲し、一分の隙もなく銃口を入口へと向けていた。対してこちらは4人のみ。脱出するには少々辛い。

そう警戒している間にも敵兵はじりじりとマーの入り口へと間合いを詰めてくる。

 

「どうすればいいんです!?」

「まずはここを突破するのが第一だ。お前、対車両弾はあるか?」

「6発だけ!」

「そいつをパトカーに向かって撃ちこめ!」

 

グレネードポーチを開き銃身の下部に装着されているM320グレネードランチャーに対車両弾をセット。照準を合わせるまでも無く発砲。軽やかな音と共にエンジンに直撃した弾頭が爆炎でパトカーを押し包み宙へと舞い上げる。続いて向かってくる敵兵に百発百中の一撃が飛来し、脳を撒き散らして何が起きたかも分からずに地面へと倒れていく。

 

「メイソン!クレイモアをドアの前に仕掛けろ!奴らを待ち伏せする」

「了解だ!」

 

指示を受けたメイソンは直ちにドアの前へM18クレイモア地雷をセットする。数瞬の静寂の後ワイヤーがドアへと食い込み侵入者を待ち伏せする。

メイソン、クリームヒルト、ウッズそしてウィーバーの4人は息を殺し、その時を待つ。

ドアが砕け、訓練された動作で敵兵は内部へと突入を図る。しかしクレイモアのワイヤーがその衝撃でピンが吹き飛び内部の信管が動作し、200個の鉄球が突入した兵士たちへ最悪のプレゼントをお見舞いした。

 

「よぉし。車に向かうぞ。着いて来い!」

 

M240のへヴィメタルに物を言わせ、ウッズは目標へ向けて一気に突貫し密集していた敵の軽歩兵を容赦なくなぎ払う。それに答えるかのようなHK416の咆哮がウッズのすぐ左にいた兵士を蜂の巣へ

と変えた。

 

「よし、車に入れ!」

 

すかさず後部座席へと滑り込んだクリームヒルト。その瞬間に中年の工作員がハンドルを握りハイパワーで地面を蹴るトルク音が木霊する。

 

「メイソン!飛ばせぇぇっ!!」

 

通行人を跳ね飛ばして逃避行は開始された。その車は追ってきたパトカーを易々と振り払い、パトライトは闇へと消えていく。

振り切ったウッズがようやく安堵のため息をついてクリームヒルトを見つめた。

 

「これで、信用してくれたかい?」

「ええ、これ以上無く」

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