変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

1 / 620


エイプリルフールです。

この内容は本編とは関係ありません。

第32話から続くように書いてあります。


第33話(エイプリルフール)

 

 

 

 

 背後に立つあかりに茜、葵、ゆかり、マキの表情は固くなる。

 いつのまに自分達の背後に移動したのか。

 その方法が分からず、4人の頭の中は疑問符で埋め尽くされていた。

 

 

「あれ?もしかして分からなかったですか?」

 

 

 心底不思議だと言うかのようにあかりは言う。

 その言葉は世間話でもするかのように軽く。

 先ほどの移動があかりにとって些事であることの証明であった。

 

 

「今・・・・・・、なにをしたんや・・・・・・」

「なにを、と言われましても。歩いて(●●●)移動しただけですよ?」

 

 

 恐る恐ると振り返り、茜は尋ねる。

 

 分からない。

 

 それは恐怖の対象であり、知性のある生き物が恐れるものの1つ。

 その逆で知っているがゆえに恐ろしいと言うこともあるが、それでも知らないことへの恐怖の方が強いことは間違いないだろう。

 

 茜の言葉にあかりは首をかしげながら答える。

 あかりの答えに4人は叫びたくなる衝動をこらえる。

 

 歩いて移動しただけ?

 

 もしもそれが本当ならばなぜ4人で見ていたはずなのに全員が見逃してしまったのか。

 あかりがどのようにして移動したのかを4人はあかりから視線を逸らさずに思考していく。

 

 

「なるほど。先輩たちはその程度でしたか。では、正確にどの程度なのかを知るためにちょっと────」

 

 

 言葉の途中であかりの姿が再び消える。

 

 

「わぁ」

 

 

 そして聞こえてきた小さな声と同時に、ゆかりの背後へとあかりが現れた。

 

 

「────叩き潰させてもらいますね」

「え、うぐぅっ?!」

「ゆかりん?!」

「「ゆかりさん?!」」

 

 

 背後から聞こえてきたあかりの声に反応してゆかりが振り返るのと、ゆかりの頬にあかりの拳がめり込むのは同時だった。

 ゆかりが殴り飛ばされたことに驚き、3人は声をあげる。

 

 

「いきなりなにをするんや?!」

「言ったじゃないですか。先輩たちの強さを見るために叩き潰させて貰うんですよ」

 

 

 ヒラヒラと手を揺らしながらあかりは茜の声に答える。

 直後、ゆかりの吹き飛んだ先から衝撃音が聞こえてきた。

 

 

「頭に、きました・・・・・・。行きなさい!『ヴァイオレット・ムーンキャット』!」

「なるほど、スピードタイプなんですね。『スターボンド・ライト』」

 

 

 ゆかりの言葉と同時にゆかりの体から紫色の猫のような生き物が現れてあかりへと向かっていった。

 生き物はあかりの近くにいくと前足を使って連続でパンチを繰り出していく。

 その速度は早く。

 プロのボクサーですら目で追うことは難しいだろう。

 生き物のパンチを防ぎながらあかりはその特性を見抜く。

 そしてあかりの体から巨大な花が出現した。

 花は葉っぱや蔓を使って生き物を拘束していく。

 

 

「もう十分です。寝ててください」

「あぎぃっ?!」

 

 

 拘束した生き物を一瞬で絞め潰し、あかりはゆかりから視線を離す。

 生き物と痛覚が連動していたのか、ゆかりは血を口から吐き出して意識を手放した。

 

 

「さ、次です。おや?」

「いやや、うちは使いたない・・・・・・。いやや・・・・・・」

 

 

 次の獲物は誰にしようか。

 そんな調子であかりが3人を見ると、茜が座り込んで頭を抱えていた。

 その体は震えており、なにかに怯えているようにも見える。

 

 

「なにに怯えているのか分かりませんが、ちゃんとやってくださいよ」

「ぎっ?!い、いやや・・・・・・」

 

 

 花の蔓に打ち払われ、茜は短く悲鳴をあげる。

 それでも茜はなにかを嫌がるように頭を抱える。

 

 

「お姉ちゃん!」

「葵ちゃん、1人じゃ危ないよ!」

 

 

 茜に蔓が振るわれたのを見て、葵は声をあげてあかりへと向かっていく。

 その後をマキも追っていった。

 

 

「お姉ちゃんに手出しはさせない!『アクアブルー・ジェリー』!」

「ああ、もう!『ウールースフィア』!」

 

 

 葵の体から青色のクラゲのような生き物が、マキの体から黄色の毛玉のような生き物が現れた。

 2匹の生き物はあかりへと向かっていく。

 

 

「・・・・・・もう、邪魔しないでくださいよ」

「ああぁあぁあぁあっ?!」

「きゃああああああっ?!」

 

 

 無造作に振るわれた花の蔓によって2匹の生き物は壁へと叩きつけられてしまう。

 痛みへの耐性がなかったのか、葵とマキの2人は意識を失ってしまった。

 

 

「嘘や、みんな・・・・・・。嘘や・・・・・・」

「さぁ、最後はあなただけですよ」

 

 

 意識を失い、倒れている3人の姿に茜は呆然と呟く。

 そんな茜の近くへと移動し、あかりは微笑みかける。

 強者の微笑みはそれだけで弱者への威嚇となる。

 あかりの微笑みを見た茜は這いずるようにしてあかりから逃げ出した。

 

 

「・・・・・・はぁ。こうなったら誰かに死んでもらわないとダメですかね?」

 

 

 逃げていく茜の姿を見てあかりは呟く。

 戦いもせず逃げ出していく弱者。

 それは紲星あかりが嫌うものの1つだった。

 

 

「な、ま、待ってや!」

「待ちません」

 

 

 あかりの言葉が聞こえた茜は声をあげるが、あかりはその言葉を一言で切り捨てる。

 そして鋭く尖った蔓で葵に狙いを定めた。

 

 

「あなたのせいで1人死ぬんです」

 

 

 その言葉と同時に蔓が矢のように放たれた。

 

 

 ────待って!

 

 

 蔓は真っ直ぐに葵へと向かっていく。

 

 

 ────止まって!

 

 

 その一撃は簡単に葵を貫き、その命を散らすだろう。

 

 

 ────殺さないで!

 

 

 自分の目の前で妹の命が消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       それは、到底許せるものではない。

 

 

 

 

「『メルトレッド・スライミー』!!!」

 

 

 茜の言葉と同時に茜の体から液体のようなものが蔓へと向かっていった。

 液体は蔓が葵の体を貫くよりも先に蔓に到達する。

 

 

「ぐぅっ?!これはっ?!」

 

 

 ジュワリ、液体が触れた瞬間、蔓は煙をあげて完全に溶け去っていった。

 蔓が溶けたことによる痛みにあかりは顔を歪め、茜へと視線を向ける。

 

 そこにいたのは先ほどまでの逃げ腰だった茜とは似て非なるもの。

 妹を、友達を守るために覚悟をもって立ち上がった者。

 

 あかりへと真っ直ぐに視線を向け、茜は口を開く。

 

 

 

 

「覚悟はええか?・・・・・・うちはできとる」

 

 

 

 

 

 /|__________

〈  To Be Continued...|

 \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

 




最近、ジョジョの五部を見て面白かったのでやってしまいました。

しばらくしたらタイトルを変えて一番上に移動します。


茜と葵は琴葉姉妹として合わせた方が良いですか?

  • 合わせた方を読みたい
  • それぞれで読みたい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。