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放課後になり、竜たちは校門に集合した。
お昼休みのときにあかりにマキの家が喫茶店をやっていることは説明してあるので、あかりはワクワクとした表情になっている。
「さ、マキマキの家に向かうか」
「今日はなにを頼もうかなぁ」
「どれも美味しいですからね」
「先輩たちがそこまで言う料理と飲み物ですか。とても楽しみです!」
校門をくぐり、竜たちはマキの家“cafe Maki”に向かって歩き始めた。
バイトが可能かを聞くために向かうのだが、もともとできるかどうかも分からないので竜には特に気負った様子も見られない。
「そういえばモンハンはやってみてどうだったんだ?」
「んぅ?そうだねぇ、まだ武器はもらってないけど動かし方とかは分かったし、面白いと思ったよ。それにグラフィックもとてもキレイでビックリしちゃった」
「ワールドになってからのグラフィックの進化はスゴいですからね。私なんていまだに高いところから飛び降りるとドキッとしますし」
竜の言葉にマキは昨日プレイした“モンスターハンターワールド”のことを思い出しながら答える。
“モンスターハンターワールド”のグラフィックは従来のものからかなり進化をしており、狩猟をせずにエリアを歩いているだけでも十分に楽しめるほどのものになっている。
それこそ、高所から飛び降りればバンジージャンプを疑似体験しているかのような気分さえ味わえるのだ。
マキの言葉にゆかりも頷きながら肯定した。
「あー、たしかに分かるな。俺も高いところから飛び降りるのは避けてるし・・・・・・」
「いつの間にか飛び降りないルートを探しちゃうんですよね。それにキャンプから近ければそっちにファストトラベルしちゃいますし」
「そんなに怖いですかね?私はむしろ飛び降りていくのが楽しいんですけど」
ゆかりの言葉に竜もしきりに頷く。
竜とゆかりの言葉が不思議に思う人がいるかもしれないが、それほどまでにグラフィックがキレイで、慣れない人はなかなか慣れることができないのだ。
2人の言葉にあかりは首をかしげながら呟く。
とまぁ、あかりのように平気な人はぜんぜん平気なので、この感覚には個人差がかなりある。
「うちも葵も高いところから飛び降りるんは平気やね」
「そうだね。ボクはどちらかと言うと障気の谷に出てくるモンスターの方が苦手だし」
葵の言う障気の谷というのは“モンスターハンターワールド”に存在するエリアの名称の1つで、このエリアに出てくるモンスターたちはどことなくホラーチックなモンスターが多いのだ。
例えるならバイオハザードに出てきてもおかしくない見た目と言えば分かりやすいだろう。
「ヴァルハザクとかオドガロンとかか」
「ティガレックスとかラドバルキンとかは別に平気なんだけどね」
話しながら苦手なモンスターたちのことを思い出してしまったのか、葵は少しだけ嫌そうに顔をしかめた。
顔をしかめる葵に竜たちは苦笑するのだった。
「まぁ、苦手ってだけで狩れるなら良いんじゃないか?」
「狩猟数は一桁だけどね・・・・・・」
「・・・・・・ヴォルガノスと同じくらいに狩ってないんですね」
ゆかりの言うヴォルガノスとは“モンスターハンターワールド”内でもっとも狩られていないモンスターの名前だ。
ヴォルガノスと同じレベルで狩っていないということはほぼほぼ防具や武器などは作れていないと考えてもいいだろう。
「良いの!ボクはイヴェルカーナの防具で充分なの!」
「その辺は自由だから構わへんけどねー」
「あ、家に着いたよ」
プイ、と頬を膨らませながら葵は顔を逸らす。
まぁ、防具に関しては個人の自由なため特に文句などを言うつもりもないので、茜もなにも言うつもりもなかった。
そして、竜たちはマキの家がやっている喫茶店“cafe Maki”に到着した。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ