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マキからもらったお弁当を食べ終わり、竜はお弁当箱をもとのように閉じて花柄の布で包んだ。
竜がお弁当箱を包んだのを確認したマキは竜からお弁当箱を受けとると自身のスクールバッグの中にしまう。
「ごちそうさま。本当に美味しかったよ。こんだけ美味しいなら将来結婚する相手とか幸せだろうな」
「にゃっ?!にゅにゃにゃにゃっ?!にゃにをっ?!?!」
何気ない竜の言葉がマキの言語機能を崩壊させた。
竜からしてみればもらったお弁当や自身の体調を気遣うようなマキの優しさから思ったことを言っただけなのだが、不意打ち気味に言われたマキは目をグルグルと回して見事に混乱をしていた。
「え、えっと・・・・・・、ありがと」
「いや、お礼を言うのはこっちだよ。本当にありがとうな。飲み物買ってくるけどリクエストとかあるか?」
顔を赤くしながらマキは誉められたことに対してお礼を言う。
お礼を言うマキに竜は笑いかけながら椅子から立ち上がった。
お弁当のお礼としては安すぎるかもしれないが、それでも少しでもお返しがしたいと思ったのか竜はマキになんの飲み物が欲しいかを尋ねた。
「あ、じゃあC.C.レモンでお願いするね?」
「うちは午後ティーで頼むでー」
「ボクはポカリスエットでお願いー」
「私はファンタグレープでお願いします」
「・・・・・・うん?」
マキに聞いたはずなのに聞こえてきた声の数は4つ。
竜は思わずマキ以外の声が聞こえてきた方、ゆかりたちを見る。
しかし、ゆかりたちは竜の視線から逃げるように顔を逸らしていた。
その表情はどこか不機嫌そうに見え、逆らってはいけないような威圧感を竜は感じ取った。
「はぁ・・・・・・。んじゃ、行ってくるわ」
「い、行ってらっしゃい」
「頼んだでー」
「お願いねー」
「間違えないでくださいね」
小さく息を吐いて竜は諦めて飲み物を買いに教室から出る。
竜と同じようにゆかりたちを見てしまったマキは何も言わずに竜を見送ることしかできなかった。
そして、竜が教室から出た直後、マキの周りにゆかりたちは移動してきた。
3人に囲まれてしまい、マキはキョロキョロと視線を動かす。
「マキさん、前に竜くんのことは友だちだと思っていると言っていませんでしたか?」
「う、うん・・・・・・」
ジッとゆかりに目を見つめられながら尋ねられ、マキはやや詰まりつつもうなずいた。
少しでも逃げるような素振りを見せれば左右にいる茜と葵が素早く捕まえるのだろう。
茜と葵もジッとマキの様子を見ている。
「で、でもさ、あんなことを言われちゃったら誰でも照れちゃうでしょ・・・・・・?」
「まぁ、マキマキの言うことも分かるわな」
「ボクもあんなことを言われたら嬉しくて照れちゃうもん」
マキの言葉に茜と葵は納得したのかウンウンとうなずく。
2人の様子から穏便に終わりそうだとマキは考えているようだが、そうは問屋が卸さない。
マキの肩にゆかりが手を置く。
「でもマキさん。前に似たようなことをお店のお客に言われたときは普通に流してましたよね?」
「なん・・・・・・やて・・・・・・?」
「ゆかりさん、その話をkwsk」
「え゛・・・・・・?!」
まるで万力で締めるかのようにマキの肩を押さえながらゆかりは気になっていたことを尋ねる。
ゆかりの言う、似たようなことをお客に言われたとき、というのはゆかりが喫茶店の方に遊びに行ったときに偶然遭遇した事態で、そのときのマキはニコリと微笑みながら普通にお礼を言って流していたのだ。
ゆかりの言った情報に茜と葵は驚きのあまり作画が崩壊し、茜はオサレ漫画のような作画に、葵は2ちゃんねるのアスキーアートのような作画になってしまっていた。
また、自身のことであるはずなのにマキも驚いてゆかりを見るのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ