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マキの肩を掴むゆかり、作画の崩壊した茜と葵、そして驚いた表情でゆかりを見るマキ。
異様な雰囲気を発し始めた4人にクラスに残っていた他の生徒たちはソッと4人から距離を置く。
「え、まって、ゆかりん、それ本当?」
ゆかりの口から聞かされた事実にマキは驚きながらゆかりに聞き返す。
どうやらマキ自身にとっても予想外のことだったようで、本当に混乱しているということがうかがえた。
「・・・・・・え?もしかして気づいてなかったんですか?」
「う、うん・・・・・・。今ゆかりんに言われて気づいたし・・・・・・」
混乱するマキの様子にゆかりは驚いた表情でマキを見る。
ゆかりに言われるまで気づいてなかったようで、マキはうなずきながらゆかりを見返した。
「・・・・・・それって、そのお客に対してなんの感情もないってことなんじゃ・・・・・・?」
「聞いた感じやとそう思えるなぁ・・・・・・」
ゆかりとマキの様子から、マキがお客に似たようなことを言われても普通に流していた理由を葵は考察する。
葵の考察に茜も同意見のようで、ウンウンとうなずいていた。
「ということは、マキさんも竜くんのことを少なからず意識していると言うことに・・・・・・?」
「え、いや、そんな、私は別にそんなことは・・・・・・」
葵と茜の言葉にゆかりはジトッとした目をマキに向ける。
ゆかりのジトッとした視線にマキは思わず顔を逸らしながらワタワタと手を動かしながら答える。
「えっと、だって、私は、その、竜くんが食事に無頓着なのが気になっただけで・・・・・・」
「まぁ、たしかにあれは気になるわなぁ」
「お昼なんていつもパンばっかりだもんね」
モジモジと人差し指を合わせながらマキはお弁当を作った理由を言い。
竜に対して特別な感情はないと証明しようとする。
パンや麺類、おにぎりばかりの生活は炭水化物ばかりに偏ってしまってビタミンなどがほとんど取れずに病気になりがちになってしまうのだ。
マキの言っていることも理解できるので、とくに料理を作っている茜は同意するようにうなずいた。
「ただいま。全部で5本を持ち歩くの地味にキツかったんだが・・・・・・」
「あ、おかえりなさい」
「待っとったでうちの午後ティー」
不意に、買ってきた飲み物を両腕でかかえながら竜が戻ってきた。
竜の姿を確認した途端、茜と葵が誤魔化すように竜の近くに駆け寄る。
茜と葵の反応を見てゆかりは素早くもとの座っていた位置に移動した。
「ほれ、ファンタグレープとC.C.レモン」
「ありがとうございます」
「あ、ありがと竜くん」
先に駆け寄ってきた茜と葵に頼まれたジュースを渡した竜はゆかりとマキの近くの机の上にジュースを置いた。
竜の置いたジュースを見てゆかりはお礼を言う。
マキは先ほどまでのゆかりたちとのやり取りから、竜を見ることに恥ずかしさを感じてしまい、どこかぎこちない返事となってしまっていた。
「今日は帰ったら久々にモンハンでもやろうかなぁ」
「それもええかもね。最近はDbDばっかやったし」
「ボクとしては普通にモンハンの方が怖くなくて良いんだけどね」
先ほどまでの4人のやり取りを知らない竜は普通に会話を再開する。
わざわざ竜がいるところで先ほどのやり取りをやる必要もないため、茜と葵は自然に会話を始めた。
しかし、竜から見えない位置で茜はスマホを操作している。
それと同時に葵、ゆかり、マキのスマホが振動した。
スマホの振動に気がついたマキは少しだけ嫌な予感を感じつつスマホを開いた。
アカ『話の続きは放課後にマキマキの家でするで』
アオ『異議無しだよ』
紫月『オッケーです』
「・・・・・・うへぇ」
スマホのトークアプリに届いたメッセージにマキは疲れたようにため息を吐くのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ