変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第107話

 

 

 

 

 天が裂けんばかりの咆哮。

 

 大地は火を噴き、旋風が巻き起こる。

 地を白い稲光が駆け、天からは巨大な岩石が押し潰さんと降り注ぐ。

 

 一度でも油断をすればその瞬間に命は刈り取られ、物言わぬ(むくろ)が作り出されるだろう。

 いや、骸が残ればマシな方かもしれない。

 今、ここに作り出されたのは生命が生き残るには過酷すぎる地獄。

 

 この地獄のような世界を駆け回る2人の影があった。

 

 1人は2本の短い剣をその手に駆け回り、この地獄を作り出した魔獣に果敢に斬りかかる。

 1人は大型の銃のようなものを手にある程度の距離を維持しながらこの地獄を作り出した魔獣に爆発する弾丸を撃ち込んでいく。

 

 火を噴く大地を駆け抜けることによって回避し、旋風が巻き起こる直前に横っ飛びに跳ねることによって旋風を壁近くに寄せる。

 地を走る稲光をときに大きく避け、ときに間を縫うように走り、降り注いでくる岩石を勢いよく飛び込むことによって回避する。

 

 日本の短い剣、双剣を持つ人間が近くで斬りかかり続けることによって敵視を集め、大型の銃、ライトボウガンを持つ人間が爆発する弾丸や水のような冷気を感じさせる弾丸を撃ち込んでいく。

 

 

「そろそろ1回眠らせますよ!」

『了解です!誘導しますね!』

 

 

 ライトボウガンを持つ人間がそう言うと、双剣を持った人間は最初に指定されていた位置へと敵視を向けられながら移動する。

 双剣を持った人間を追うように、この地獄を作り出した魔獣はその紫の巨大な体躯を動かして威圧感を放ちながら移動していった。

 自動車やトラックなんかとは比べ物にならないほどに巨大なその紫の体躯。

 そしてその巨体を覆うような分厚い筋肉。

 棘のついた禍々しい尻尾を振るいながら目につくものを破壊し、喰らう魔獣。

 そう、これこそがこの地獄を作り出した魔獣の姿。

 

 その魔獣の名は“ベヒーモス”・・・・・・

 

 

「これで・・・・・・、眠れ!」

 

 

 双剣を持った人間を追っていたベヒーモスが予定していた地点に到達した瞬間、ライトボウガンを持っている人間は先ほどまでとは違う弾丸をベヒーモスに撃ち込んだ。

 

 1発・・・・・・2発・・・・・・3発・・・・・・

 

 弾丸が撃ち込まれるごとにベヒーモスの動きは鈍くなり、徐々にその威圧感も減っていく。

 そして、最後の1発を撃ち込んだとき、ベヒーモスは地面へと崩れ落ちた。

 しかしこれは別にベヒーモスが死んだとかそういうわけでない。

 先ほどからベヒーモスに撃ち込んでいた弾丸。

 それは撃ち込んだ相手を眠りにつかせる特殊弾、睡眠弾だ。

 といっても眠っている時間はそれほど長くはなく、急いで手はず通りに動かなければまったくの無意味になってしまうだろう。

 

 

「生きているのなら・・・・・・、古龍だって爆殺してみせる!」

『これね、ミキプルーンの苗』

 

 

 そう言いながら2人はベヒーモスの近くに大きなタルを置いていく。

 これをただのタルと思うなかれ。

 このタルの中には大量の火薬が詰まっており、爆発すればかなりのダメージをベヒーモスに与えられることは間違いないだろう。

 さらに続けてライトボウガンを持っている人間は地面に地雷のような弾丸を撃ち込んでいく。

 これは衝撃を受ければ爆発をする特殊弾で、タルの爆発によってさらにダメージを与えることができるのだ。

 

 

『よし、起爆をお願いします!』

「了解です!」

 

 

 その言葉に合わせてライトボウガンが弾丸を放つ。

 しかし、その弾丸はタルに当たることはない。

 

 外した?

 

 いいや、そんなことはない。

 弾丸はしっかりと撃ち抜いている。

 

 “ベヒーモスの眠る頭上に存在している天井の岩”をしっかりと。

 

 今にも崩れそうだった岩は撃ち抜かれたことによってバランスを崩し、ベヒーモスへと向かって落下していく。

 さらに言えば岩の落ちる地点には先ほど設置していた大きなタルと特殊弾が存在している。

 そして、落下してきた岩と大きなタルの爆弾、特殊弾の爆発によってすさまじい衝撃が周囲を駆け巡っていく。

 

 それによって着ている服がバタバタとあおられてしまう。

 魔法少女のようなスカートを履いていたためにそれはまくり上がってしまい、その中身を隠すことなくあらわにしてしまっていた。

 

 予想以上の突風に驚くも、ベヒーモスの生死が分からない以上スカートのことを気にしている暇もない。

 そう考えた“彼”はスカートの中身の黒い下着を晒しながら双剣を構え、爆煙をまっすぐに見つめる。

 自身の髭に土埃が着くことも気にせず、“KIRIKIRI”という名の“男性”はゴクリと唾を飲むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ
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