変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第114話

 

 

 

 

 最初のエリアでの戦闘はベヒーモスにとっては虫を払うような気にも止めないようなもの。

 ベヒーモスからしてみれば自身よりも小さい生き物が寄ってきた程度の認識で、振るった攻撃も蚊を潰すような感覚でしかなかった。

 

 2番目のエリアでの戦闘で、ベヒーモスはハンターたちをようやく敵として認識し始めた。

 最初のエリアで自身の角を折られ、小さいものとはいえ体に傷もつけられたため苛立たしそうにベヒーモスはその腕を振るい、ハンターたちを攻撃していった。

 

 3番目のエリアでの戦闘で、ベヒーモスは本気でハンターたちを殺そうと先手を打って奇襲を仕掛ける。

 2番目のエリアで尻尾を根本から切り落とされ、ボロボロになりながら撃ったエクリプスメテオも避けられ、なりふり構わずに目の前のハンターたちを殺そうとしていた。

 どれだけ攻撃を振るってもハンターたちは死なず、反対に自身の体が傷ついていく。

 その事実にベヒーモスの脳裏には知らず知らずにある思いが蓄積されていった。

 

 4番目のエリア。

 もはや他に続く道もなく、通ってきた道からはハンターたちがやって来ている。

 であれば、残された道はハンターたちをすべて殺すこと。

 後のないベヒーモスはすべての力をもちいてハンターを殺そうと大きな咆哮をあげた。

 

 

 響き渡るのは敵意と殺意の込められた咆哮。

 とっさに耳をおさえたために鼓膜が破れることはなかったが、それでも全身に叩きつけられる衝撃に竜たちは思わずよろめいてしまう。

 咆哮をあげたベヒーモスは、よろめいた竜たちの隙を見逃すことなく竜たちに飛びかかっていった。

 

 

「う、おぉおおぉおおぉおッッ?!?!」

『あっぶなぁッッ?!?!』

 

 

 ベヒーモスによって踏み潰されるかと思ったその直前、どうにか立て直すことのできた竜と“KIRIKIRI”は横に大きく飛び込むことによってベヒーモスに踏み潰されるのを回避する。

 しかし、咄嗟に大きく飛び込んでしまったために体勢が不安定で、着地が取れずに地面に倒れ込んでしまった。

 倒れ込んでしまった2人のうち、竜に狙いをつけたベヒーモスは大きく腕を振り上げる。

 

 

「くそっ、間に合え!」

 

 

 ベヒーモスの腕が振り下ろされるよりも早く立ち上がらなければ殺られてしまう。

 それが分かりきっているために竜は急いで立ち上がろうとする。

 そして、無情にも竜の頭上に影が迫ってきていた。

 

 

『まだです!』

 

 

 瞬間、“KIRIKIRI”の声と同時に強烈な光がベヒーモスを襲う。

 完全に竜への攻撃に集中していたベヒーモスは目が眩み、後ずさってしまった。

 その隙に竜は立ち上がり、ベヒーモスから距離をとって武器を手に取る。

 

 

「あ、危なかった・・・・・・」

『今のうちに体勢を整えましょう!』

 

 

 腕に着けている投石機(スリンガー)に閃光玉を装填しながら“KIRIKIRI”は言う。

 目が眩んでいるとはいえ、それも短い時間だけ。

 予定とは違う閃光玉の使用に“KIRIKIRI”は少しだけ苦い表情を浮かべた。

 

 

『調合分まで持ってきているとはいえあまりミールストーム以外では使いたくなかったんですけどね・・・・・・』

「まぁ、極ベヒとは違って耐性つかないんで切り替えていきましょう」

 

 

 竜の言う極ベヒとはベヒーモスの強化個体のことで、その攻撃力と体力は通常個体のベヒーモスを遥かに上回っており、閃光玉も数回撃てば耐性がついてしまうというとても強力なモンスターなのだ。

 それと比べてしまうと通常個体のベヒーモスは大変でも楽しく戦える相手といった認識になってしまうだろう。

 

 そして、竜と“KIRIKIRI”は武器を構えてベヒーモスに攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ

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