また、普通に「面白い」などの感想も嬉しいので仕方ないなぁと思った方はお願いします。
といっても強要はしませんので。
・
手を洗い終えた竜はみゅかりさんを頭に乗せたままリビングに戻ってきた。
竜がリビングに戻ってくると、テーブルの上には料理が並べられており、美味しそうな香りが鼻をくすぐる。
テーブルの上を見た竜は自分とみゅかりさんの分しか料理が置いてないことに気がつき、不思議そうにあかりを見る。
「あかり、自分の分はどうしたんだ?」
「えっと、私ってけっこう食べるじゃないですか?だから料理を作るとなると時間がかかり過ぎちゃいまして・・・・・・」
竜の問いにあかりは恥ずかしそうに頬を掻きながら答える。
どうやらあかりは自分の食べる量から竜の家で作るには時間がかかる、ということで自分の分の料理を作らなかったようだ。
「ですので、私は家に帰ってから食べるんで大丈夫ですよ。どうぞ食べてください!」
「それならありがたく食べるよ。あかりだって晩御飯を食べたいだろうに悪いな」
食べることが好きなあかりがそう言ってくることに申し訳なさを感じながら竜は椅子に座る。
みゅかりさんも竜の頭の上から飛び降りて料理の前へと移動した。
あかりの作った料理、それは刻み玉ねぎの乗せられたビーフとチキンのステーキだった。
さらに汁物として長ネギとジャガイモのお味噌汁が用意されている。
竜はご飯の盛られた茶碗を片手に、ビーフステーキを一切れ箸で掴んだ。
「柔らかっ?!」
「みゅいっ?!」
ビーフ、つまりは牛肉のステーキということで固めの歯応えをイメージしていた竜は予想に反して柔らかい歯応えに驚きの声をあげた。
竜の隣で同じようにステーキを口に運んでいたみゅかりさんも同じように驚きの声をあげている。
竜とみゅかりさんの驚く様子にあかりは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「え、もしかして高い食材を使ってるとかじゃないよな?もしもそうなら申し訳なさ過ぎるんだが・・・・・・」
「みゅみゅみゅ・・・・・・」
今までにも試しでステーキ肉を買って自分で焼いて食べたことはあったが、それでもこんなに柔らかく美味しいと思ったことはなかった。
ということは、それだけ良い食材を使っているということではないのか?
そう考えた竜とみゅかりさんは恐る恐るあかりを見た。
竜とみゅかりさんの視線にあかりはイタズラが成功した子供のような表情になった。
「ふふふ、高い食材を使っても良かったんですけど、それだと先輩が気にしてしまうかと思ったので、普通にスーパーに売ってる食材しか使っていませんよ。まぁ、うちの人たちに買ってきてもらったんで細かい値段とかは分からないですけど」
「そ、そうなのか?それにしては俺が自分で買ったときと全然違うんだが・・・・・・」
あかりの言葉に竜とみゅかりさんはマジマジとステーキを見る。
確かにあかりの言うとおりステーキは普通の物のように見える、といっても竜もみゅかりさんもお高いステーキなんてものはテレビぐらいでしか見たことがないためにほとんど分からないのだが。
「えっとですね、ステーキ肉を焼く前に切れ込みをいれて刻み玉ねぎを刷り込んでおいたんです。玉ねぎの成分のお陰でステーキ肉が柔らかくなるんですよ。それと、刷り込んだ玉ねぎもそのまま塩ダレとソースにそれぞれ使ってますから無駄もないんです」
あかりの言う玉ねぎをステーキ肉に刷り込む手法はシャリピアンステーキと呼ばれるステーキを作る際に使われるものだ。
どうやらあかりはこの手法を自身の家のシェフから聞いていたようで、それを今回は使用したらしい。
しかも刷り込んだ玉ねぎはちゃんとソースに使用するという無駄のなさ。
お金持ちの娘というイメージとは違ってとても美味しい料理を作ったあかりに竜とみゅかりさんは驚きつつ、箸を進めていくのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ