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授業がすべて終わり、竜たちはいつものように帰路についていた。
1つだけいつもと違う点があるとすれば、その中に弦巻マキの姿があることだろう。
「やっぱりみんなと歩くのはそれだけで楽しいよねぇ~」
「マキマキの家は反対方向やもんな」
「今日はマキさんが定期的にしているゆかりさんの部屋のそ────」
「わー!わ、私の部屋でマキさんと遊ぶんですよ!」
マキを含めた6人で歩いていると、マキは嬉しそうに言う。
普段が1人で家に帰っているか、ゆかりと一緒に帰っているかなので、新鮮で嬉しいのだろう。
なぜマキが一緒に歩いているのかを葵が言おうとしたが途中でゆかりに遮られてしまい、最後まで言うことができなかった。
「あ、せや。聞きたかったんやけど。体育の授業が終わってからミツオくんに元気がなかったやん?なんかあったんか?」
「あー、俺も途中で保健室に行ってたから詳しくは知らないんだが。なんでもヒデノリがヨシタケと一緒になんかやったっぽい」
「え、竜くん。保健室に行ったの?」
「先輩、どこか怪我をしたんですか?」
ふと茜が思い出したのは教室で真っ白に燃え尽きて椅子に座っていたミツオくんの姿。
体育の授業が男女別なので竜ならば理由を知っているのではないかと茜は考えたのだ。
茜の質問に竜は答えようとするが、授業の途中で保健室に行っていたために詳しくは説明できなかった。
竜が保健室に行ったということに5人は驚いた表情になって竜を見る。
「お昼を食べた後だったから眠くてサッカーボールを避けられなくてな。鼻血が出た程度だし、もう治まったから」
「それなら良いんですけど・・・・・・」
「っていうか、お姉ちゃんも眠そうにしてたよね」
「いやぁ、5時間目の体育はしゃあないと思うんよ」
「保健室ですか。クラスの男子が保険医の先生のことを話してましたけど・・・・・・」
「イタコ先生は人気があるもんね」
5時間目というお昼ご飯を食べ終えてお腹も膨れた時間帯。
満腹感によって眠くなり始め、教師の言葉が睡眠呪文となるのは学生たちの共通認識だろう。
竜が保健室に行ったということを聞いてあかりはクラスの男子たちが話していたことを思い出した。
「イタコ先生はスタイルも良いもんね」
「うちらも大人になったらあんなスタイルになりたいもんやな」
「・・・・・・少なくともマキさんはなりそうですよね」
「ええ~?そうかにゃあ~?」
「毎日通うって息巻いている人もいましたね」
茜と葵は自分たちも大人になったらイタコ先生のようにスタイル抜群になりたいと願い。
ゆかりは少しばかりマキの体を悔しそうに睨みながら言う。
ゆかりの言葉にマキは照れながらも嬉しそうに答えた。
また、女子のスタイルの話と言うことで竜は会話に混ざることができずにいた。
「あ、あとやっぱりイタコ先生といったらやっぱりあのキレイな髪の毛だよね」
「確かに、あんなに艶のある髪の毛はそうそうないですよね」
「いったいどんなお手入れをしてるんだろうね?」
「せやね。うちもあんなにキレイな“黒髪”は見たことないで」
「そうなんですか?まだ保健室に行ったことがないので先輩たちがそれほどまでに言うのは気になりますね」
話の内容がスタイルから髪の毛の話に変わり、茜たちは自身の髪の毛を触りながら言う。
茜の言った『キレイな“黒髪”』という言葉に竜は首をかしげそうになったがどうにか堪える。
竜の目にはイタコ先生の髪の毛はキレイな“白銀色”に見えているのだが、なぜか他の人たちには“黒髪”に見えているのだ。
最初の頃は認識の齟齬に引っ掛かりを感じていたのだが、今ではどうにかリアクションを抑えられるほどにまでなっていた。
どうして竜の目にだけイタコ先生の髪の毛の色が違って見えるのか。
その理由が明らかになるのはまだ先のことだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ