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月明かりの射し込む部屋。
明かりはついておらず、光源となるものは月明かり以外にはない。
射し込む月明かりに照らされる畳や
「霊術で隠蔽してあるはずのイタコ姉さまの髪の色とその耳を見ることができた・・・・・・。それはつまり・・・・・・」
「ええ、恐らく間違いないはずですわ」
人影の1人が驚いたように口もとに手を当てながら言う。
その言葉にもう1人の人影────イタコも頷いた。
「ですので、明日の放課後に家に来てもらいましょう。知らないままですと本人も危ないですし、周りにも被害が出てしまうかもしれませんわ」
「わかりました。明日、私が教室に行って家に来てもらいますね」
どうやらイタコたちは誰かを家に呼ぼうとしているらしい。
それがどういった意図によるものなのかは不明だが、話の内容的に悪いことではなさそうだが。
不意に、襖が開き小さな人影が現れる。
そして近くにあった電気のスイッチを入れた。
「姉さまたち、わざわざ暗い部屋でなにをしているんですか?」
「ああん?!きりちゃん、今、けっこう良い雰囲気でしたのよ?!」
「イタコ姉さま。私もちょっと目に悪いかなぁーって、思ったんですよ・・・・・・」
「ずんちゃんまで?!」
暗い部屋から一気に明るくなったことによって目が眩んでしまったイタコは思わず目をつむりながら悲鳴のような声をあげた。
そんなイタコの姿に電気をつけた小さな少女────東北きりたんは小さくため息を吐く。
普段は頼りになるし、美人で誇らしい姉なのだが、こういった時々する雰囲気に凝った遊びに関してだけは呆れてしまうものがあった。
きりたんの言葉に同意するように最初から部屋にいたもう1人の人影────東北ずん子もきりたんの言葉に同意するように苦笑しながら言った。
部屋の中で一緒に話をしていたことから味方だと思っていたずん子の言葉にイタコはショックを受けた表情になる。
「もう、晩ご飯を食べたと思ったらいきなりこっちの部屋に来るんですから。なにを話していたんですか?」
「やっぱり雰囲気は必要だと思うんですのよ?えっと、学校で私の髪の色とこの耳を見ることのできた生徒がいましたの。ですので、明日ずんちゃんにその生徒を家に呼んでもらおうと思いましたの」
暗い部屋でどんな話をしていたのかが気になったきりたんはイタコに尋ねる。
きりたんの言葉にイタコはずん子にした説明と同じ内容を話した。
イタコの説明にきりたんは少しだけ興味深そうに眉を動かした。
「タコ姉さまの髪の色とかが見えるって・・・・・・。一般人なんですよね?だとしたらスゴいですね」
「そう思うわよね。私もイタコ姉さまから聞いて驚いたもの。それに同じ学校の生徒っていうのも驚きだったわ」
どうやらイタコの髪の色とキツネの耳を見ることができるのは本当にすごいことのようで、きりたんはイタコの髪を見ながら呟いた。
きりたんの言葉にずん子も頷きながら言う。
「まぁ、私にはあまり関係のないことみたいですね。では、私はフレンドさんとDBDをやる予定がありますので」
「お待ちなさい。きりちゃん?ちゃんと宿題は終わらせていますの?」
「そういえば私が帰ってきたときからゲームをやっていたような・・・・・・」
部屋から出てDBDをやろうとするきりたんを引き留め、イタコは尋ねる。
きりたんは小学生であり、宿題の出ていない日は基本的にはない。
そして、イタコは家に帰ってきてからきりたんが宿題をやっている姿を見ていなかった。
イタコの言葉にずん子もきりたんが宿題をやっている姿を見ていないことを思い出す。
2人の言葉にきりたんは曖昧な表情を浮かべながら部屋から逃げるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ