もうそろそろしたら番外話のアンケートを始めようと思います。
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竜の周りに集まってきていた動物霊たちの鳴き声が収まり、イタコ先生とずん子は耳から手を離す。
どうやら動物霊たちは竜に対して細心の注意を払っているようで、竜にはその姿や声などは聞こえないようにしているらしい。
その証拠に竜は動物霊たちの鳴き声に耳を塞いでいたイタコ先生とずん子のことを不思議そうに見ている。
どのような手段をもちいたのかは不明だが、竜の耳には動物霊たちの鳴き声が届いていなかったのは間違いないだろう。
「あの・・・・・・?」
「す、すみませんでしたわ。ちょっと霊たちの声が大きくて・・・・・・」
「でも、これほどまでの霊でしたら心配はなさそうですね」
不思議そうに尋ねる竜にイタコ先生とずん子は少しだけ疲れた表情になりながら答えた。
本来の予定としては、竜に霊力と霊感についての説明をしてそういったことへの対策を軽く教えるつもりだったのだが、予想外に竜が動物霊たちに守られており、その必要性がまったく無くなってしまったのだ。
むしろわざわざ見えるように“霊視”を教えたりすることの方が竜にとって危険かもしれない。
竜と竜の周囲の動物霊たちを見たイタコ先生とずん子はそう結論づけた。
「ですわね。公住くんはむしろこのままでいた方が良いのかもしれませんわ」
「じゃあ、公住くんへの用件も終わりましたし、次は他の子たちの番ですね」
「ちゅわ?」
竜への話が終わり、ずん子は立ち上がってそう言った。
ずん子の言葉にイタコ先生は首をかしげる。
確かに竜を家に呼んだ用件は終わったが、他の子たちの番とはどういうことなのか。
不思議そうに自身を見るイタコ先生にずん子は竜以外にも来ていることを伝えていなかったことを思い出した。
「すみませんイタコ姉さま。実は公住くん以外にも、イタコ姉さまに聞きたいことがあるということで家に来ている子たちがいるんです」
「そうでしたの。では、少しばかり待たせてしまいましたのね」
イタコ先生に伝え忘れていたことを謝りながら、ずん子は公住の他にも生徒が家に来ていることを説明する。
ずん子の言葉にイタコ先生は竜との話に時間をかけてしまったことを申し訳なさそうにしていた。
「では次の子を呼んできますね。公住くんは次の子と入れ替わりだから一緒に行きましょうか」
「あ、はい」
正直、霊に関してなど竜にはよくわからないことの方が多かったが、それでもイタコ先生の髪の毛の色とキツネ耳の理由が分かっただけで竜は充分だった。
そして、竜とずん子はゆかりたちのいる居間へと向かうのだった。
◇ ◇ ◇
その頃、居間でゆかりたちはゲームで遊んでいた。
遊んでいるゲームは“大乱闘スマッシュブラザーズSP”で、それぞれが自分の好きなキャラクターを選んで戦っている。
「あー!うちを掴んだまま飛び降りるんはやめてーや!」
「お姉ちゃんの残機はボクより少ないもんね。だからね、一緒に落ちよっか」
「あれ?なんか外に向かって飛んでっちゃった」
「マキさん、操作ミスしてますよ?」
「きりたんをモグモグー」
「げぇ?!タマゴにして落とされました?!」
全員分のコントローラーがあることに不思議に思うかもしれないが、これはスイッチのコントローラーがイタコ先生、ずん子、きりたんの3人分あって、それを分割して使っているからだ。
詳しく説明すると、ゲーム機である“ニンテンドースイッチ”は1つのコントローラーを2つに分けて使うことができ、それが東北家三姉妹の人数分、つまりは3つあったため、ちょうど6人でプレイすることができたのだ。
当然だがコントローラーのサイズは小さくなってしまうので、慣れていないと操作ミスなどを起こしてしまう。
その後も、ゆかりたち6人はゲームを続けるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ