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きりたんが完全に脱力して竜に寄りかかりながらゲームをしていると、イタコ先生との話が終わったのかゆかりたちが居間に戻ってきた。
居間に戻ってきたゆかりたちは竜の膝の上にきりたんが座っていることに気がつくと、驚いた表情で竜ときりたんを交互に見る。
まぁ、ゆかりたちが困惑するのも仕方がないだろう。
玄関で出会ったときにはかなり竜に対して敵対的だったのに少し目を離していた内に膝に座るまでに仲良くなっていたのだから。
「あ、おかえりなさいです」
「イタコ先生との話は終わったみたいだな」
出現しているモンスターを倒し終えたきりたんはゆかりたちが戻っていることに気がつき、声をかける。
きりたんの言葉にテレビ画面の方を見ていた竜も同じようにゆかりたちに気がついた。
「え、ええ。さすがに人数が人数でしたので少し時間がかかってしまいましたが・・・・・・」
「それぞれが聞きたいことを聞けたなら良いんじゃね?」
イタコ先生との話が予想以上に長引いてしまったことにゆかりは申し訳なさそうに言う。
ゆかりの言葉に竜はヒラヒラと手を振りながら答えた。
不意に、きりたんが竜の腕をクイクイと引っ張る。
「すみません。トイレに行きたいです」
「ん、ああ。行っておいで」
きりたんの言葉に竜は腕を左右に広げてきりたんが立ち上がりやすいようにする。
しかしきりたんは立ち上がらず、広げた竜の腕を引っ張って自身の体を抱えるような位置にまで移動させた。
きりたんの行動に竜は首をかしげてきりたんを見る。
「どしたよ?」
「トイレまで運んでください」
「・・・・・・はい?」
見上げるような形で竜を見たきりたんは、どうしてほしいのかを竜に伝えた。
きりたんの言葉に竜は首をかしげて聞き返した。
竜が聞き返したことが少しだけ不満なのか、きりたんは竜の腕を更に強く抱き締めた。
「・・・・・・なにがあったんでしょうかね?」
「うちにはさっぱり分からんわ」
「ボクもぜんぜん分かんないよ」
「んー、でも2人が仲良くなれたのなら良いことなんじゃない?」
「いや、あの、仲良くなったって言うレベルなんでしょうか?」
竜ときりたんのやり取りを見ながらゆかりたちは小さな声で話し合いをする。
話し合いの内容は目を離した隙に急に仲良くなっている竜ときりたんのことだ。
2人がいきなり仲良くなったことに対して、マキ以外の全員が首をかしげており、マキは竜ときりたんが仲良くなっていることを喜んでいた。
「・・・・・・はぁ。ちょっと立つから1回どいてくれ」
ジッと膝の上に座るきりたんに見つめられ、竜は小さくため息を吐いた。
そして、きりたんが膝の上からどき、竜は立ち上がる。
立ち上がった竜の前にきりたんは移動し、抱き上げやすいように両腕を上げてTの字のような体制になった。
「東北家のトイレの場所を知らな・・・・・・」
「私が案内しますのでお願いします」
せめてもの抵抗としてトイレの位置が分からないと竜は言ったが、言葉の途中できりたんによってその言い訳も潰されてしまい、きりたんを抱き上げるしか選択肢がなくなってしまった。
観念した竜はきりたんの脇の下に腕を通して腕で輪っかを作り、そこにきりたんを引っかける形できりたんを抱き上げた。
「それではトイレに行きますよー」
「あいよ」
竜に抱き上げられたきりたんは足をプラプラと揺らしながら竜に言った。
きりたんの言葉に竜は仕方がないといった様子で、きりたんの指示のもとトイレへと向かっていく。
そんな竜ときりたんの姿をゆかりたちはただただ見送るのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ