なんとなく納得のいかない出来・・・・・・
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少しだけ脅すようなずん子の言葉にゆかりたちは顔を見合わせる。
ずん子が脅すように言った理由を理解した竜ときりたんは揃ってキツネを見る。
竜ときりたんに見つめられ、キツネは嬉しそうに体を竜にすり寄せた。
「誰にも話してはいけないって、さすがにここにいる人たちとは話しても大丈夫なんですよね?」
「はい、それは大丈夫ですよ。でもこの家以外ではなるべく話さないようにしてほしいですけどね」
ゆかりの質問にずん子は東北家以外ではなるべく話さないようにしてほしいと答える。
ずん子の言葉にゆかりたちは顔を見合わせ、コクリとうなずいた。
「分かりました。ここにいる人以外には決して話しません」
「せやから話してくれへんか?」
「話の内容は分からないけど皆と話せるならまだ大丈夫だと思うし」
「一応、私たちも口は固い方だと思ってるし。大丈夫だよ」
「それに竜先輩との共通の秘密ってなんだか良い気がしますしね」
そう言ってゆかりたちはずん子から詳しく話を聞くことを決めた。
ゆかりたちの言葉にずん子は納得したようにうなずき、少しだけ発していた威圧感を止める。
「そうですか。それじゃあちゃんと話しましょう。えっと、まずみんなは幽霊とかって信じているかしら?」
「幽霊、ですか?」
「んー、うちは見間違いとかだと思っとるけど」
「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ、幽霊なんて寝ぼけた人が見間違えたんだよ!」
「テレビとかで取り上げられているのは見るけど、本当だとはとても思えなかったかなぁ」
「これまで幽霊なんて見たことありませんでしたからちょっと信じられないですね」
ずん子の言葉に1人を除いてゆかりたちは幽霊の存在を信じていないと答える。
葵は幽霊などのホラー系が苦手で、そのためゆかりたちよりも大きく反応をしてしまうのだ。
ゆかりたちの言葉にずん子はうなずき、竜の胸元にいるキツネを捕まえた。
「信じられないかもしれないけど、幽霊は存在しているの。この子みたいにね。まぁ、この子は幽霊と言うよりも妖怪なんだけどね?」
「ええ?!」
「い、いきなりキツネが現れた?!」
「なんやこれ?!」
「うわぁ、とってもキレイなキツネだね」
「なるほど。キツネの幽霊ってことなんですね?」
ゆかりたちに見やすいようにキツネを移動させながらずん子は言う。
それと同時にゆかりたちにもキツネの姿が見えるように“霊術”を使う。
“霊術”によって見えるようになったキツネがいきなり現れたことによって、ゆかりたちはほぼ強制的に幽霊の存在を信じさせられることになった。
「ゆ、幽霊が本当にいるなんて・・・・・・」
ホラー系が苦手な葵は幽霊なんていないと思っていたかったのに、幽霊がいるというのにたしかな証拠を見せられて泣きそうな表情になっていた。
ホラー系が苦手な人間にとって幽霊の姿がキレイなキツネだろうが血まみれの人間だろうがそこまで関係がなく、どちらにしても幽霊というだけで恐怖の対象でしかないのだ。
茜の後ろに隠れながら葵はビクビクとキツネを見る。
「クー!」
「うひゃうっ?!」
キツネがいきなり鳴き声を上げたことに驚いた葵はビクリと肩を震わせる。
そんな葵のことなど気にもせずにキツネは竜のもとへと大きく跳んで移動した。
「この子はイタコ姉さまの子なんだけど、公住くんにとっても懐いちゃったのよね」
「あー、竜はなぜか動物に好かれるからなぁ。幽霊もそこに含まれるんは予想外やったけど」
竜のもとへと移動したキツネの姿にずん子はクスクスと笑いながら言う。
普段から竜が動物に好かれることを知っていた茜は、そこに幽霊までも含まれるとは思わなかったと苦笑しながら呟いた。
そんな茜たちの視線を受けながら竜はキツネのことを優しく撫でるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ