変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第149話

 

 

 

 

 竜の撫でているキツネを見たゆかりたちはあらためてずん子に視線を戻す。

 幽霊という存在については分かったが、どうして東北家以外では話すことを禁じているのか。

 あのキツネが幽霊だというのであれば基本的には見えないのだから話しても問題はないのではないか、とゆかりたちは不思議に思っていた。

 

 

「あの、竜くんの撫でているキツネが幽霊とのことですけど・・・・・・。普通の人に見えないのなら東北家(ここ)以外で話しても良いんじゃないんですか?」

「それがそうもいかないの・・・・・・」

 

 

 竜に撫でられて嬉しそうにしているキツネの姿を見て怖さが少しだけ収まったのか、葵はずん子に尋ねる。

 ゆかりたちもちょうど同じことを考えていたために葵の言葉に同意するようにうなずく。

 葵の言葉にずん子は頬に手をあてながらため息を吐く。

 ため息を吐いたずん子の姿にゆかりたちは顔を見合わせる。

 

 

「それは、どういう・・・・・・?」

「そうね・・・・・・、九尾の狐って、知っているかしら?」

「あれやろ?尻尾が9本ある狐のことやろ?」

「お姉ちゃん、たしかにそうだけどそのまますぎるよ・・・・・・」

「えっと、たしか栃木県で討伐されていて、殺生石っていう石に封印されているんだったかな?」

「あとは安倍晴明の母親、でしたっけ?」

 

 

 九尾の狐。

 

 その名前に聞き覚えのない日本人はほとんどいないだろう。

 とくに有名なものでは“NARUTO”に出てくる九喇嘛(くらま)や“ポケットモンスターシリーズ”に出てくるキュウコンなどなど、モチーフとして使われているものがいくつも存在している。

 ちなみに、マキの殺生石に封印されているというものは間違いで、正しくは死んだ九尾の狐が大きな石に変わり、周囲に毒気を撒いて生き物を殺してしまうその石のことを殺生石と呼ぶようになった、というのが本当の伝承である。

 

 

「それだけ知っているなら充分かしら?とにかく、九尾の狐はそれくらい有名な存在だってことは分かった?」

「ええ、それはまぁ・・・・・・」

「それは分かったんやけど・・・・・・、それがいったいどうしたんや?」

「っていうか、お姉ちゃん。先輩なんだから敬語を使おうよ・・・・・・」

「尻尾が9本もあったらモフモフがスゴそうだよね」

「でも抜け毛もスゴそうじゃないですか?」

 

 

 ゆかりたちが九尾の狐の有名さを理解しているかをずん子は確認する。

 ずん子の質問の意味が分からないままゆかりたちはうなずく。

 

 

「それじゃあ教えるけど・・・・・・、竜くんに懐いているあの子、九尾の狐なの」

「・・・・・・はい?」

「・・・・・・なんて?」

「・・・・・・え?」

「そうなんだー?」

「マキ先輩は驚きませんね?」

 

 

 竜に撫でられて喜んでいるあのキツネが九尾。

 ずん子の言葉にゆかり、茜、葵の3人はポカンと呆けた表情になる。

 なぜかマキとあかりは驚いていないが、おそらくは九尾の狐の話をし始めたことから推測はしていたのだろう。

 

 

「え、でも、あのキツネ、尻尾は1本ですよ?」

「せやせや!あれじゃあ一尾の狐やん?!」

「一尾の狐って、それ普通の狐なんじゃない?」

 

 

 竜にじゃれつくキツネを指さしてゆかりは尋ねる。

 ゆかりの言葉に続けて茜もツッコミをいれる。

 茜のツッコミにマキは首をかしげながら言った。

 

 

「本来は九尾なの。今は力が弱まってしまっていて・・・・・・、だから他の霊能者に(さら)われてしまうかもしれないのよ。九尾っていうだけで狙ってくるような悪い霊能者もいるわけだから・・・・・・」

「そうなんですね・・・・・・」

 

 

 

 ゆかりたちの言葉にずん子は狐の尻尾が1本な理由を答える。

 事実として、今のところ無理やりキツネを拐おうとするような霊能者はいなかったが、それでも大金を積んで九尾を手に入れようとする霊能者はいたのだ。

 そのことを思い出してしまったずん子は嫌そうに顔をしかめる。

 

 ずん子の言葉と表情からキツネのことを大切にしているのだと理解したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ
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