変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第152話

 

 

 

 

 イタコ先生が戻ってくるのを待っている間、竜はきりたんと一緒に遊戯王カードを見ていた。

 

 今、東北家に残っているのは竜、マキ、あかり、ずん子、きりたんの5人で、このことから先にイタコ先生に送ってもらっているのがゆかり、茜、葵の3人だということが分かるだろう。

 ちなみになぜこの組み合わせになったのかをきりたんに尋ねたところ、ゆかりたち3人は同じ場所に住んでいることから送ることが楽なため、この組み合わせが最適解になったらしい。

 

 きりたんの持っている遊戯王カードのうち、何枚かは竜の知らないカードもあったので効果を読んでどんなコンボが出来るかを考えるので大いに盛り上がっている。

 

 

「やっぱりこの“LLナイチンゲールダイレクトアタック6レンダァ”が面白くないか?」

「上手くやれば一発でゲームエンドになりそうですけどそこにいくまでが難しくないですか?」

「それならこの辺のカードで防御したりすれば・・・・・・」

 

「・・・・・・あかりちゃん。2人の話してる内容、分かる?」

「いえ、私も遊戯王はそこまで詳しくなくて・・・・・・」

 

 

 何枚ものカードを手に取ったり置いたりを繰り返しながら竜ときりたんはコンボや構築などについてを話す。

 楽しそうにしている竜の姿にマキとあかりは声をかけて良いのかを悩んでしまっていた。

 

 しかし、いつまでも竜がきりたんにばかり構っているというのもなかなかに気に食わないものがある。

 やがて我慢が限界に達したのか、マキとあかりは竜に声をかけにいくのだった。

 

 

「竜くん、それってそんなに楽しいの?」

「ん?マキは遊戯王を知らないのか?」

「知らないわけじゃないんだけど、やったことはないからねぇ」

 

 

 “ヌメロン1キル”をするために必要なパーツを考えている竜にマキは声をかける。

 マキに声をかけられた竜は一時的に考えるのを止めてマキに尋ねる。

 マキは遊戯王に関してはかなり有名なカードゲームといった認識しかなく、当然ながら遊んだこともない。

 まぁ、遊戯王というかほとんどのカードゲームに言えることだが、カードゲームは基本的に男の子の遊びというイメージがあるように女性プレイヤーというのは本当に少なく、マキが遊んだことがないというのも仕方がないのだが。

 

 

「私も一応は遊んだことはありますけど、ルールが複雑すぎて・・・・・・」

「ああ・・・・・・、コンマイ語はしゃーない」

「コンマイ語?」

 

 

 珍しいことにあかりは遊戯王を遊んだことがあったようだが、ルールが複雑なためにそこまで深くは遊んではいないようだ。

 遊戯王のルール、というよりも効果の処理だが、これに関しては大人であっても(さじ)を投げるほどに複雑なものがあるので、あかりが遊ぶのをやめてしまったのも無理はない。

 

 例としては、【“~時に~できる“と”~場合に~できる”の違い】【“捨てる”と“墓地に送る”の違い】【“する”と“できる”の違い】などなど、パッと読んだだけでは違いの分かりにくいものがいくつもあるのだ。

 こればかりは気になる部分を調べて憶えていくしか手はない。

 

 竜の言ったコンマイ語という言葉にマキは首をかしげる。

 コンマイ語とは、コンマイ(KONMAI)というコナミ(KONAMI)の誤字から生まれた呼び名で、複雑すぎる効果の裁定や“調整中です”といった雑な対応などもろもろを含めた意味で竜は使っている。

 実際にその使い方で合っているのかは知らないが、とくに困ることはないので竜はそのまま使っているのだ。

 

 

「少し調べるだけで混乱してしまったりしますからね。慣れるまでは他の人がやっているのを見るくらいにした方がいいと思いますよ」

「うん。まずは見るだけにしておくよ・・・・・・」

「私も見て楽しむことにします・・・・・・」

 

 

 竜ときりたんの持っているカードを1枚手に取って効果の複雑さに目を回し始めていたマキとあかりはきりたんの言葉に素直にうなずく。

 それから少しして、ゆかりたちを送ったイタコ先生が戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ

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