変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第157話

 

 

 

 

 逃げ回る葵の悲鳴をBGMに竜は発電機の修理を進める。

 竜のつけているパークの1つ、キズナの効果は一定の範囲内の他のプレイヤーを見えるようにするというもの。

 それによって竜はときどき範囲内に入ってくる走り回っている1人のプレイヤーの姿を確認していた。

 

 

「けっこう粘っているな。っと、直ったな」

『こっちも2個目を修理し終わりましたよ』

『グレート無しでこの速度ですからね。そろそろ殺人鬼も焦ってくるんじゃないでしょうか?』

『なんでも良いから早くボクを助け・・・・・・、いったぁ?!』

 

 

 竜の直していた発電機がつくのと同時に別の場所の発電機もつく。

 1人で1つを直している間に、2人で移動も含めて2つを直すのだから有能の証明とリーダーによる強化の高さがうかがえる。

 発電機が直って移動をしながらのんびりと会話をする竜たちに、葵は殺人鬼から逃げながら助けを呼ぶ。

 その途中で殺人鬼の攻撃を受けてしまったのか、葵は自分自身は痛くないはずのに悲鳴をあげる。

 

 

「あ、殴られた。んじゃ、俺は運ばれそうなフックを壊す準備をしに行くわ」

『お願いします。さて、発電機がまとまってしまわないように少し離れたところを修理しに行きましょうか』

『そうですね、たしかこの近くには1つしかなかったはずですから。それは残すようにしましょう』

 

 

 葵の操作するキャラクターが殴られたのをキズナによって確認した竜は殺人鬼に見つかってしまわないように気をつけながら葵のいる方へと向かっていった。

 葵のことを竜に任せたゆかりは“KIRIKIRI”と話して次の発電機へと向かう。

 キズナによって葵の位置を把握している竜はときに避け、ときにしゃがみ、ときに走って葵が逃げ回っている場所を見ることができる場所に移動する。

 

 

「ふむ・・・・・・。フックに運ぶならここか?」

 

 

 逃げ回る葵に一番近いフックにたどり着いた竜は、キズナで葵の位置を把握しつつフックに細工をしていく。

 少しして、フックに細工の終わった竜は逃げ回っている葵の近くに移動する。

 

 

「お、見えた。殺人鬼は・・・・・・カニバルなのか。意外だな」

 

 

 殺人鬼の攻撃を避けながら逃げ回る葵の操作するキャラクターの姿を見ることのできた竜は殺人鬼の姿を確認する。

 ここで確認するよりも早く殺人鬼の姿は知りたかったのだが、葵が悲鳴をあげて逃げるばかりで詳しいことがわからなかったため、ここでようやく殺人鬼の姿を確認することができた。

 

 カニバルはチェーンソーを振り回して攻撃をする殺人鬼で、その攻撃には連続で当たり判定が存在している。

 これはヒルビリーにはない特徴で、複数人のキャラクターが固まっていた場合はカニバルの方が一気にまとめて薙ぎ倒すことが可能である。

 まぁ、その代わりにヒルビリーはチェーンソーを使って高速ダッシュができるので、どちらのチェーンソーも一長一短なのだが。

 

 

「ふむ・・・・・・。ん、んん・・・・・・」

 

 

 逃げ回る葵の操作するキャラクターを見ていた竜は小さく咳払いをして喉の調子を整える。

 

 

「さぁ、いよいよ始まりました第1のレース。トップを走るのは青、次にカニバルです。カニバルくん頑張ってください」

『りょ────じゃなくてドラくんがなんか始めたんですけど・・・・・・』

『運動会ですかね?』

 

 

 いきなりボケ始めた竜にゆかりと“KIRIKIRI”は困惑したような声をあげる。

 

 

「カニバル選手が追い上げてきました。あーッと!ここでカニバル選手ルール無用のダイレクトアタック!青選手はこれをギリギリで回避しましたが、これにはオーディエンスからも動揺の声が!」

『ボクのことを見える位置にいるんだから・・・・・・、見つけた!!』

 

 

 カニバルの攻撃をギリギリで避けることのできた葵はカニバルに板をぶつけて時間を稼ぎ、竜の操作するキャラクターを探す。

 そして、少し離れた木の後ろに隠れている竜の操作するキャラクターを見つけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ

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