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走る
走る
走る
積まれた木箱を避け、窓枠を飛び越え、何かにぶつかることがないように気をつけながら竜は背後から迫ってくる2つの足音から逃げる。
「いっけな~い、
『けっこう余裕はありそうですね』
『というか少女マンガですか?』
『嫌な少女マンガやなあ・・・・・・』
『絶対に逃がさないからね!!』
背後から迫ってきている葵とカニバルの姿をときおり確認しながら竜は少女マンガのオープニングのようなセリフを言う。
竜の言葉にゆかりと“KIRIKIRI”は発電機の修理を進めながら呆れたように言う。
ゲームをプレイしていないはずの茜も思わずツッコミをいれてしまった。
そんなゆかりたちの言葉も耳に入っていないのか、葵は脇目もふらずに竜に向かって走っていく。
「カニバルだしなぁ・・・・・・」
迫ってくる殺人鬼、カニバルを見て竜は呟く。
カニバルの攻撃は多段ヒットのチェーンソー。
このまま葵と一緒に走っていればいずれはチェーンソーでまとめて切り裂かれてしまうだろう。
で、あるならば葵をどうにか説得して別々の方向に分かれた方が得策だ。
「あー、青?提案なんだが、別々の方向に分かれないか?」
『そう言ってまたボクをからかうんでしょ?!』
『あ、怖さとりょ────やのうて、ドラの悪ふざけのせいで頑なになっとるわ。今の青になにを言っても無理やから諦めた方がええで』
竜の言葉に聞く耳など持たないというように葵は構わず竜を追いかける。
葵の様子からどうにもならないと察した茜は竜に諦めるように言う。
そして、そんな会話をしている間にもカニバルとの距離が徐々に徐々に詰められてきている。
「・・・・・・しゃーないか、きっちり逃げろよ?」
『え、ちょ・・・・・・?!』
短くため息を吐いた竜は急旋回をしてカニバルに向かっていく。
竜がいきなりカニバルに向かっていったことに葵は驚き、思わず動きを止めてしまう。
「っと、あぶねっ!さっさと逃げろ!」
『あ・・・・・・。う、うん?!』
竜がいきなり走る方向を変えて向かってきたことに驚いたのか、カニバルは攻撃のタイミングをミスして
自身の目の前を攻撃が通りすぎたことに竜は驚きつつ、動きを止めていた葵に声を飛ばす。
竜の行動に驚いていた葵は竜の言葉に弾かれたように走り出した。
葵が走り出したことも確認せずに、竜も同じように走り出しカニバルの横をすり抜けていく。
どうやらカニバルは近くを走り抜けていった竜をターゲットに選んだらしく、竜の後を追いかけ始めた。
『・・・・・・なんだか離れたところでドラマチックなことが起きてますね』
『でもあれって半分くらい自業自得じゃないですか?』
『せやなー・・・・・・』
発電機の修理をしながら聞こえてきていた竜と葵の声にゆかりたちは呟く。
竜たちの声は最初から聞こえていたのだが、カニバル追われている現場にいなければ疎外感が半端なくあるのだ。
『とりあえず青さんは負傷してるので私が治しに向かいますね。ここの修理の続きはお願いします』
『了解です。青さん、今から“パープルハート”さんが向かいますので位置情報をお願いします』
『うう、私のせいでドラくんが・・・・・・。え、あ、私のいるとこ?えっと・・・・・・』
「さっきまで一番でかい建物の近くで逃げてたからな。たしか最後に見たのは小屋の近くだったと思うぞ」
『逃げとるのに話す余裕はあるんやな?』
葵が負傷をしたままでいるのはあまり良くないのでゆかりが治療のために葵のもとに向かおうとする。
“KIRIKIRI”の言葉に葵が現在地を答えようとすると、逃げているはずの竜が最後にいた場所を答えた。
カニバルから逃げているはずなのに話す余裕のある竜に茜は不思議そうに尋ねる。
「や、すまん。引き付けるつもりだったのに撒いちまった」
『ちょっ?!それだと殺人鬼の居場所が分からなくなるんですけど?!』
「一応、キズナで誰もいない方には逃げてきたんだがな・・・・・・」
『とりあえずドラくんは殺人鬼を見つけてください。私は青さんを治すので』
「りょーかい」
竜がカニバルを引き付けてから数分も経っていないのに竜はすでにカニバルを撒いてしまっていた。
“DEAD BY DAYLIGHT”は殺人鬼から隠れることも重要だが、殺人鬼の居場所を把握することも重要なポイントである。
ゆかりの言葉に竜は走り回って音を立てながらカニバルを探すのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ