変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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まだもう少しだけDBDの話は続きます。




第159話

 

 

 

 

 カニバルから逃げるために走っていたところを逆走し、撒いてしまったカニバルを竜は探す。

 完全に野良でマッチングをしているのであればこのまま発電機の修理に行っても良いのだが、これは4人全員が知り合いのマッチング。

 であるならば、なるべく早めにカニバルを見つけてその位置を把握しておいた方が他の3人との連携に繋がるのだ。

 

 

「迷子の迷子のカニバルくん。あなたの姿はどこですか~、と」

『それ、犬のお巡りさんが死ぬやろ』

『対象が殺人鬼ですもんね』

 

 

 即興で適当な歌を歌いながら竜はカニバルを探す。

 すでにそこそこの距離を隠れることなく走っているのだから見かけても良いはずなのだが、カニバルの姿は一向に見つけられない。

 カニバルの姿が一向に見つからない竜は近くに板が立て掛けられていることに気がつく。

 

 

「そういえばパレットを倒すと殺人鬼に通知がいくんだったか・・・・・・」

『そのはずやけど・・・・・・、わざわざパレットを倒すんは勿体ないんやない?』

 

 

 離れた位置に殺人鬼がいるときに板を倒すと殺人鬼側に通知がいく。

 他には治療をしているときや発電機の修理中に出現するスキルチェックを失敗しても通知がいき、他には窓枠を勢いをつけて飛び越えたりしても通知がいくのだ。

 殺人鬼に通知を届かせて気を引くだけなら窓枠やスキルチェックミスで良いのではないかと茜は竜に言う。

 

 

「ああ、普通なら倒したパレットは再利用できないな。でも、俺なら再利用できる」

『うわぁ・・・・・・、わざわざあんなパークをつけてきたんか』

 

 

 竜の言葉から竜がつけている4つ目のパークを理解したのか茜は呆れたような声を出す。

 通常であれば倒した板はどうやっても動かすことはできず、飛び越えるか殺人鬼に壊されるかしかない。

 しかし、竜のつけてきた4つ目のパーク、強硬手段によってその前提は(くつがえ)される。

 

 強硬手段、このパークの効果は最短で2分のクールタイムで倒れた板をもとに戻せるというもの。

 これによって倒した板でも戻して殺人鬼にもう一度ぶつけることができるようになるのだ。

 

 ここまで聞けば充分に有用なパークに聞こえるかもしれないが、このパークには決定的な問題がある。

 それはクールタイムの時間が長いとか板をもとに戻すのに4秒かかるだとかいう小さな問題ではなくもっと大きな問題だ。

 むしろこの問題のせいで使用率はかなり低くなっていると言っても良いだろう。

 

 その問題とは・・・・・・

 

 

       ・・・・・・倒した板は基本的に壊されてしまうという点だ。

 

 全部の板を壊されるとは言い切れないが、それでも進むのに邪魔であれば殺人鬼たちは板を壊していくだろう。

 そのため、倒した板がそのまま残っていることの方が(まれ)なのだ。

 そもそもとして、倒れた状態で放置されている板はあまり意味のないものが多く、戻しても有効に活用できることが少ないためそれをわざわざ戻す利点もほとんどないと言える。

 まぁ、そうは言っても板が立て掛けられているだけで多少は殺人鬼への牽制になるので完全に無意味とも言えないのだが。

 

 

『青さんの治療は終わったのでこれから3人で修理に向かいますね』

『3人ならもっと早くなりますね。こちらも終わるので“D-ragon”さんは早めに殺人鬼をお願いします』

『そんならドラは他の発電機に向かってミスをした方がええんやない?それなら釣れなくても発電機の修理を進められるんやし』

「それもそうか・・・・・・。まぁ、ここの板は使わなそうだから倒していくけどな」

『なんでや?!』

 

 

 竜と茜が話をしているうちに葵の治療が終わったのかゆかりが声をかけてきた。

 どうやらそのまま葵を含めた3人で発電機の修理をするらしい。

 3人で1つの発電機を修理するのであればかなりの速度になるだろうから殺人鬼に妨害をされないように注意を引くのはかなり重要になるだろう。

 茜の言葉に竜はうなずき、近くの板を倒してから発電機に向かう。

 竜がわざわざ板を倒して行ったことに茜はツッコミをいれる。

 

 

「少しでも陽動になれば、てきな?」

『絶対にパレットを倒してから考えたやろ・・・・・・』

 

 

 茜の言葉に竜は移動しながら答える。

 茜の言うとおり竜の行動は思いつきでやったものだ。

 だがしかし、どうやらきちんと殺人鬼に通知はいっていたらしく、竜がそのまま移動をしていると本当に殺人鬼が釣れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ

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