ちょうど1ヶ月でUAがさらに10000を越えるとは思ってもいませんでした。
読んでくださる皆様、ありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。
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今日も今日とて“cafe Maki”で竜はバイトをする。
今日は土曜日で天気もよく、窓から差し込む日の光に竜は眠気を誘発されていた。
「やっべ、眠い・・・・・・」
「あはは、こんなに良い天気だもんね」
竜の呟きに近くにいたマキがうなずく。
今の時間はちょうどお客の人数も少なくてやることがほとんどないため、動いて眠気を誤魔化すということもできなかった。
「ん・・・・・・、ふぅ。ちょっと外を掃除してこようかな」
「分かった。お願いするね」
軽く伸びをして竜は店の外を見る。
そこまでゴミが落ちていたりするわけではないが、それでも掃除をして動いていれば眠気もどうにかできるだろう。
竜の言葉にマキはうなずき、ホウキとチリトリを手渡した。
「外に出ると一層のこと日の光を感じられるな」
マキからホウキとチリトリを受け取った竜は店の外に出て全身に暖かな日の光をあびる。
軽く落ちているゴミや、葉っぱなんかを掃除し終えた竜は、ゴミなどをゴミ箱に入れると、店の中に戻った。
簡単な掃除しかしていないとはいえ、それでもそこそこに時間は経っており、店の中にマキの姿はなかった。
「休憩に行ったのかな?」
店の中を見渡してマキの姿が見えないことに気がついた竜はマキが休憩に行ったのだろうと1人で納得し、店の中をやることがないか考えながら歩く。
店の中を歩いてしばらくすると、不意に竜の耳に不思議な音が聞こえてきた。
「ぎゅーん・・・・・・ぎゅーん・・・・・・」
「・・・・・・なんの音だ?」
“cafe Maki”でバイトを始めてからしばらく経つが、こんな不思議な音を聴いたのは初めてだった。
首をかしげながら竜は音の聞こえてきた方へと向かう。
どうやら音が聞こえてきたのは店の奥の方の席からのようで、竜はそこの席をヒョイと覗き込んだ。
「ぎゅんぎゅーん・・・・・・」
「・・・・・・なんだこれ?」
席を覗き込んだ竜はそこにいた生き物?らしきものを見て思わず首をかしげる。
店の奥の方の席にいたもの。
それは黄色の体毛をした毛玉のような生き物のようだった。
その生き物はどうやら寝ているようで、さっきから聞こえてきていたのはどうやらこの生き物の寝言のようなものだったらしい。
「変わった生き物だな・・・・・・。ふぅん、けっこう毛はさらさらとしてるんだな」
眠っている生き物に興味が湧いたのか、竜は生き物を起こしてしまわないように気をつけながら優しく生き物に触れる。
生き物を触った感触は、さらりとしたものでとても触り心地の良いものだった。
竜が触れたことによって生き物は軽く体を動かすが、それでも目を覚ますことはなかった。
「ぎゅー・・・・・・ん・・・・・・」
「なんつーか、マスコットみたいな可愛さがあるな」
寝息をたてる生き物を優しく抱き上げて竜は呟く。
生き物はとても軽く、まるで雲でも抱えているかのようだった。
「とりあえずマキのお父さんかマキにどうしたら良いのかを聞いてみるか」
この生き物がどういった存在なのかは不明だが、どちらにしても店の中にいたのだから店長であるマキの父親かマキに確認をとった方がいいだろう。
ここでマキの母親に聞かないのはなぜかと思うかもしれないが、マキの母親は竜がバイトに入っているために今日は家でお休みなのだ。
そのため、この生き物について聞くのはマキの父親かマキということになる。
「ぎゅー・・・・・・ん?・・・・・・ぎゅぎゅん?!」
「あ、起きたか」
抱き上げて歩いている振動で目が覚めたのか、生き物はキョロキョロと周囲を見渡して自分が抱き上げられていることに気がつき驚いたような鳴き声をあげた。
生き物が目を覚ましたことに気がついた竜は、いったん生き物を落ち着かせるために椅子に座らせるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ