・
バイトが終わり、竜はグッと伸びをする。
バイトに慣れてきたからなのか、最初の時に比べて疲労などもそこまでなく、少しだけ疲れたかな程度のものだった。
「バイト、おつかれさま。今日も食べていくでしょ?」
「うぉ・・・・・・お、おつかれ。ああ、まぁ、お邪魔させてもらうよ・・・・・・」
伸びをする竜の背後にいつの間にか現れたマキは当然のことのように竜を晩御飯に誘う。
いつの間にか背後にいたマキに竜は驚きつつ、申し訳なさそうにうなずいた。
マキが晩御飯に誘ってくるのはバイトの日の恒例のようになっており、何度か竜も断ろうとはしていたのだが、毎回いつの間にか晩御飯をご馳走になることになっていた。
そのため、申し訳ないと思いながらもマキの誘いを断ることは基本的になくなっているのだ。
ちなみに晩御飯をご馳走になるばかりでは申し訳ないということで、マキには内緒でバイト代から晩御飯分の金額を引いてもらっていたりする。
まぁ、それでも晩御飯を作ってもらうという時点で申し訳なく思ってしまうのだが。
「っと、そうだ。マキ、探してた生き物を見つけてくれてありがとな」
「え?・・・・・・ああ、どういたしまして」
バイトが終わって掃除をしようかと考えていた竜は、マキがけだまきまきを見つけてきてくれたことを思い出してお礼を言う。
竜の言葉にマキは不思議そうに首をかしげたが、すぐにけだまきまきを見つけたことに対するお礼だということに気がついて応えた。
「それにしてもよく見つけられたよな。俺なんてぜんぜん見つけられなかったし」
「えへへ、運が良かったんだよ」
竜がどれだけ探しても見つけることのできなかったけだまきまきを見つけることのできたマキに、竜は感心混じりに言う。
竜に褒められたことにマキは嬉しそうに笑みを浮かべながら答える。
そして、2人は店の中を軽く掃除していくのだった。
◇ ◇ ◇
店の中の掃除を終えた竜はマキにつれられてマキの家にいた。
マキはマキの母親と一緒にキッチンにおり、竜はマキの父親と一緒にリビングにいる。
最初の頃は緊張したこの状態も、今では普通にマキの父親と会話をしながら待つことができるようになってしまっている。
「────で、マキにけだまきまきを見つけてもらったんですよ」
「けだまきまき?えっと・・・・・・、それは昼間に見つけたあの子のことかな?」
竜との会話の中に聞きなれない名前があることに気がついたマキの父親は不思議そうに竜に尋ねる。
少なくともここ最近でそのような名前がつくものは見たことも聞いたこともなく、竜が始めて見たものであろう昼間の生き物のことかとマキの父親は推測する。
「あ、はい。“cafe MAKI”にいた毛玉なんで“けだまきまき”って名前をつけたんですけど・・・・・・。もしかしてちゃんと名前とかありましたか?」
「いや、そんなことはないから大丈夫だけど・・・・・・。なかなかにユニークな名前をつけたなぁって思ってね」
マキの父親の言葉に竜はもしかしてすでに名前があったのではないかと尋ねる。
竜の言葉にマキの父親は首を横に振って名づけに関してとくに問題はないことを答えた。
事実として、マキの父親もあの生き物に対しては特に特別な呼び名などはつけておらず、今までそれで特に不便なことはなかったのだ。
まぁ、それはマキたち弦巻家だから不便でなかっただけで、竜にとっては不便なため呼び名が必要になったのだが
そのまま、けだまきまきの触り心地を思い出しながら竜はマキの父親と会話を続けるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ