・
女の子の自分が人間ではないという普通の人が聞けば鼻で笑うような言葉に竜は特に驚いた様子もなく対応する。
人間ではないという発言に竜が驚かなかったことに、女の子は少しだけ驚いた表情になる。
「お、驚かないんか・・・・・・?」
「前までなら驚いたんだけど、そういった存在がいるっていうのを少し前に教えてもらってね。だから、そこまで驚くってほどでもないかな。それになんか俺のことを守ってくれている霊たちもいるらしいし」
竜が驚く様子を見せなかったことに逆に驚いた女の子は竜になぜ驚かなかったのかを尋ねる。
女の子の言葉に竜はイタコ先生から話を聞く前でなければ驚いていたであろうことを女の子に伝える。
それに加えて竜はイタコ先生やずん子から自身のことを守ってくれている霊のことを聞いていたため、それによってそこまで恐怖感もなかったのだ。
「守ってくれる霊・・・・・・?悪いんやけどうちな。霊としての力が弱すぎて隠れている霊のことは見えんのよ。だからあんたのことを守ってくれている霊もぜんぜん分からへんねん」
「そうなのか。まぁ、俺も霊力のある人に聞いただけでどんな霊が守ってくれているのかとか知らないんだけどね」
「・・・・・・それってほんまにおるん?」
竜の言葉に女の子は竜の周囲を見ながら答える。
どうやら女の子は霊としてはかなり弱い部類に入るようで、竜の周囲を頑張って見ようとしてもなにも見えないらしい。
女の子の言葉に竜は自分も守ってくれている霊の姿は見たことがないことを教える。
竜も自身のことを守ってくれている霊の姿を見たことがないという言葉に、女の子は本当に竜のことを守っている霊がいるのかと心配そうに竜を見る。
ちなみに、竜も女の子も見えていないが、竜のことを守っている動物霊たちはしっかりと女の子のことを観察しており、女の子が悪霊などの
「イタコ先生が言ってたんだし、大丈夫だと思ってるけど・・・・・・」
「イタ・・・・・・コ・・・・・・?」
女の子の言葉に竜は特に心配はしていないということを伝える。
竜がイタコ先生の名前を出すと、女の子は驚いた表情で動きを止めた。
女の子の様子に竜は不思議そうに首をかしげる。
「う、うちの勘違いかもしれんけどな?・・・・・・イタコって、東北イタコのことか?」
「そうだけど・・・・・・。知ってるの?」
「知っとるもなにも、うちはそこから逃げてきたんよ・・・・・・」
竜の口から聞こえてきたイタコ先生の名前に、女の子は確認するように聞き返す。
女の子がイタコ先生のことを知っているのが意外だった竜は驚いた表情になる。
女の子の言葉に竜はふとあることを思い出した。
「もしかして・・・・・・、東北家に預けられたっていう鬼のお面?」
「うちのこと知っとるんか?」
「あれ、でもそのお面にはとくに強い力も感じなかったって聞いた気が・・・・・・」
竜が思い出したのはイタコ先生に呼ばれて東北家に言ったときに聞いた預かっているお面のこと。
しかしその時に聞いたのはお面からはとくには強い力を感じないということで、このような女の子の幽霊がついているのであればイタコ先生が気づくはずなのではないかと竜は首をかしげる。
「せやから、うちは力が弱すぎるんよ・・・・・・」
「あー・・・・・・、つまりは力が弱すぎるからイタコ先生たちに気づかれなかったってことか・・・・・・」
落ち込んだ様子で女の子はイタコ先生たちに存在が気づかれなかった理由を答える。
「それに霊能者たちに見つかったらどんな目に遭うか・・・・・・。そんな恐ろしいことうちには無理や!」
「イタコ先生たちなら悪いことをしないって約束すれば大丈夫だと思うんだがなぁ・・・・・・」
イタコ先生たちの姿を思い出したのか、女の子は自身の体を抱くようにしながら声を上げた。
そんな女の子の様子に竜は大丈夫だろうと伝えるのだが、その声は女の子の耳には届いていなかった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ