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ついなの用意してくれた朝食を食べ終え、竜はお茶を口に運ぶ。
落ち着く優しい味わいの朝食に加えてホッとするような温かいお茶。
これだけで竜は起きたばかりとは思えないほどにとても穏やかな気持ちになっていた。
「そういえば、ついなは朝ご飯を食べないのか?」
「ああ、うちのご飯はこういう物理的なもんとは違うんよ」
お茶を飲んで落ち着いていた竜は、ついながなにも食べていないことに気がついて尋ねる。
竜の言葉についなはヒラヒラと手を振りながら答えた。
ついなの言葉に竜が首をかしげていると、ついなは立ち上がって竜の近くに移動する。
「うちは
「へぇ、霊力を・・・・・・、うん?」
竜の近くに移動したついなが竜の手を握ると、繋いだ手が淡く光を放ちだした。
どうやらこの光は竜からついなに霊力が移動することによって発生しているらしい。
ついなの言葉に竜は感心し、聞きなれない単語が聞こえたことに首をかしげる。
「・・・・・・ご主人って?」
「ご主人はご主人や。呼び方が気になるっていうんなら
聞き間違いか何かだと思って竜は聞き返したが、その思いをついなはあっさりと叩き落とす。
竜の言葉についなは呼び方が気になったのかと思い、他の呼び方の方が良いのか確認をとる。
まぁ、代替案として挙げた2つはどちらも読み方が違うだけで全く同じ文字なのだが。
「いや、呼び方よりも・・・・・・、なんで俺がご主人なんだ?」
「だってご主人はうちのことを家に置いてくれるんやろ?そんならうちはご主人の所有物になるっちゅうことになるやん」
呼び方よりもどうしてそう呼ぶことになったのかを竜が尋ねると、ついなは腰に手を当てて胸を張りながら答えた。
どうやらついなの中では・・・・・・
東北家に返したりせずに家に置いてくれる。
↓
自分の所有者となってくれる。
↓
自分の所有者=ご主人
という風に考えられたらしい。
「え、でももともとの持ち主がいたんじゃ・・・・・・」
「もともと?・・・・・・あー、ちゃうちゃう。うちを東北家に持ってきたんは中古に出されてしもうとったうちを買った人なんよ。買ってくれたことに感謝はしとるけどご主人として認められるかと言われたらそれは別の話になるんや」
もともとついなは依頼によって東北家に運ばれてきていた。
そのため、本来の持ち主がいるのではないかと竜は気になったのだが、ついなは首を横に振って持ち主としては見ていないと答えた。
ついなの言葉に竜は思わず頭を抱えたくなってしまう。
「イタコ先生に何て説明しよう・・・・・・」
ついなが満足するまでは家に置いてあげようとしか考えていなかった竜はどうしたものかと呟く。
しばらくすればイタコ先生がついなときちんと会話をして解決するだろうと考えていただけに、ついなに持ち主として認識されるとはまったく予想もできなかった。
「ほれ、そろそろ家を出る時間なんやない?」
「ん、ああ、そうだな」
ついなの主人になるという想定外の出来事にどうしたら良いのかを竜が考えていると、時計を見たついなが家を出る時間なのではないかと竜に言う。
ついなに言われて時計を見れば、確かにもう少しで家を出る時間になっていた。
ひとまずついなについては学校で考えることにして竜は学校に向かう準備をしていく。
竜が学校に向かう準備をしていると、何を考えたのかついなは自分の本体ともいえる鬼のお面を差し出してきた。
「えっと・・・・・・?」
「ご主人のことはうちが守るから持ち歩いてくれへん?」
どうやら竜についていくために鬼のお面を竜に持ち歩いてほしいらしい。
ついなの言葉を聞いて竜は差し出される鬼のお面を見る。
お面と言うだけあってその大きさは顔を隠すには充分なほどの大きさをしており、正直に言えば持ち歩くには不便な大きさだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ