歌ったりとかの活動をしたいという欲求が・・・・・・
まぁ、まだYouTubeのチャンネルすら作ってないんですけどね。
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小さくなったついなの鬼のお面をスクールバッグについているみゅかりさんから貰ったアクセサリーの横につけて竜は家を出る。
竜と同じタイミングで向かいの家からあかりも出てきたので、竜は軽く手を上げながらあかりに近づいていった。
「竜先輩、おはようございます!」
「ああ、おはよう。あかり」
元気よく挨拶をするあかりの姿にどことなく犬っぽさを感じ取った竜は思わず笑いながらあかりに挨拶を返す。
竜が笑ったことにあかりは不思議そうに首をかしげるが、とくに答える必要もなさそうだったため竜は笑った理由を答えることはなかった。
朝の挨拶を終えたあかりは竜のスクールバッグに見なれない物がつけられていることに気がついた。
「それは・・・・・・、鬼ですか?」
「ん、まぁな。お守り、みたいなものだよ」
あかりの視線と言葉からあかりが何のことを聞いているのかを理解した竜はあかりに見えやすいようにスクールバッグを持ち変えて答えた。
竜がお守りのようなものと答えた瞬間、竜の制服のポケットがモゴモゴと動き始める。
「ぷぁっ!えへへへ・・・・・・、お守りだなんてそんな・・・・・・」
竜の制服のポケットが動いたかと思えば、中からかなりサイズの小さくなったついなが現れた。
ついなは竜の言ったお守りという言葉が嬉しかったのか嬉しそうにしながら照れていた。
いきなり竜のポケットから現れたついなの姿に竜はあかりが驚くのではないかと思ったが、あかりはとくに驚いたような様子もなく、それどころかまったく気づいた様子もなく鬼のお面をしげしげと眺めていた。
ついなの存在に気がつかなかったことから、あかりには霊感がないのだということがわかる。
「鬼のお面でお守りって珍しいですね?」
「そうだな。まぁ、でも鬼が自分のことを守ってくれるって考えたら心強いものがないか?」
鬼と聞けば基本的には桃太郎や一寸法師などの昔話の悪役や、鬼畜などの悪い意味で使われる言葉というイメージが多くあるだろう。
そのため、あかりは竜が鬼のお面をお守りと言ったことに不思議そうに首をかしげていた。
あかりの言葉も理解できるので、竜はとくに否定もせずに自分の考えをあかりに教えた。
「ご主人の期待に応えるためにうちはがんばるでー!」
「ああ、期待してるよ」
「?・・・・・・竜先輩、何か言いましたか?」
竜の制服のポケットでやる気を出しているついなは大きく両手を上げながら言う。
ついなの言葉に竜は小さく笑いかけながらあかりに聞こえないように小さな声で呟いた。
可能な限り小さな声で呟いたはずなのだが、それでもあかりは何かが聞こえたらしくキョロキョロと周囲を見回しながら竜に尋ねる。
「いや、俺はなにも言ってないよ。茜たちが来たみたいだからそれじゃないか?」
「おはようさんや!」
「竜くん、あかりちゃん。おはよう」
「2人ともおはようございます」
あかりの言葉に竜は誤魔化しながらこちらに向かってきていた茜たちを見る。
竜に言われてあかりが茜たちを見るのと、茜たちが挨拶をするのはほぼ同時だった。
「おう、3人もおはよう」
「茜先輩、葵先輩、ゆかり先輩、おはようございます」
茜たちの挨拶に竜とあかりも応える。
そして、いつもの人数が集まったことによって学校へと向かって歩き始めた。
「お、竜が寝癖が立ってないなんて珍しいやん」
「そういえばそうだね。いつもは勝手に直るって言って立ったままなのに」
「ああ、今日は少し早く目が覚めてな」
竜の髪型がちゃんとしていることに気がついた茜は感心したように言う。
茜の言葉に葵も少しだけ驚いた表情を浮かべながら竜の頭をペタペタと触った。
葵の好きにさせながら竜は寝癖を直す時間がとれたことを答えた。
「へぇ、ほんなら明日からも同じくらいに起きればちゃんと寝癖を直せるっちゅうわけやな?」
「その辺はうちがキッチリ起こすから気にせんでええでー!」
ニヤリと笑みを浮かべる茜に、聞こえないだろうとは分かりつつも、ついなは自分がいるから平気だと言うのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ