パソコンを買って、動画の作り方を学んで、イラストを考えて・・・・・・
大変そうだけど楽しそうですよね。
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学校の授業がすべて終わり、竜は帰る準備をする。
竜が帰る準備をしているのを見たついなも他の人に見えないように気をつけながら帰る準備を手伝っていた。
パッと見でお手伝い妖精とでも言えるような動きだろうか。
「っし、帰るかな」
「あ、帰りに食材を買いに行ってほしいんやけど」
帰りの準備が終わり、竜がスクールバッグを手に持って立ち上がる。
それと同時についなは竜の制服のポケットに潜り込み、帰りに買い物に行くように竜にお願いした。
「ほな、帰るでー」
「うおっ?」
「お姉ちゃん、バッグを持たないでどこに帰るの?」
ドン、と立ち上がった竜の背中に衝撃が走る。
振り返るとそこにはニヤニヤとした表情の茜が肩からぶつかった体勢でそこにいた。
その後ろでは茜のスクールバッグを持った葵が呆れたような表情を浮かべている。
どうやら茜はスクールバッグを持たずに竜に突撃してきたようだ。
「んじゃ、帰るか。自分のバッグは自分で持てよー?」
「わ、ちょ、やめぇ!」
ニヤニヤと笑みを浮かべている茜の髪の毛をグチャグチャにかき混ぜながら竜は言う。
竜に髪の毛をグチャグチャにされ、茜は声を上げる。
竜と茜にとってはじゃれあいのようなやりとりだが、普通の女性に対して髪型を乱すような行為は基本的には嫌われる要因なので、相当に仲の良くて怒られない関係性の女性以外には決してやらないようにすることをオススメする。
「ほら、お姉ちゃん。バッグ」
「おー、ありがとうなぁ」
竜によって乱された髪型をて櫛で整える茜に葵はスクールバッグを手渡す。
手櫛で髪型を整える茜の表情はどこか嬉しそうで、竜とのやり取りを楽しんでいるのだろうということがうかがえた。
そんな茜の様子に葵は少しだけ羨ましそうな表情を浮かべる。
「・・・・・・・・・・・・ぃぃ…ぁ」
「うん?葵、なんか言うたか?」
「・・・・・・あ、ううん。なにも言ってないよ」
葵がなにかを呟いたような気がし、茜は葵の顔を見て尋ねる。
茜に尋ねられ、葵は少しだけ慌てた様子で否定した。
慌てた様子の葵に茜は不思議そうに首をかしげるものの、そこまで気にすることでもないだろうと考えて竜の近くに移動した。
「葵ー、帰るでー」
「うん。今行くよ」
茜に呼ばれ、葵も竜の近くに移動する。
そして、3人は帰路についた。
◇ ◇ ◇
学校から家への帰り道。
竜と茜はゲームの話や漫画の話などで盛り上がっており、その1歩後ろを葵は歩いていた。
これは別に竜と茜に葵をハブろうなどという考えがあるわけではなく、話をしている内に葵が自然とフェードアウトしていってしまったのだ。
「あ、せや。葵ー、今日はなにか食べたいもんとかあるかー?」
「うーん、しいていうならお肉系統のものかな」
ふと思い出したように茜は葵に尋ねる。
茜の言葉に葵は少しだけ考え、一番食べたいと思う系統のものを挙げた。
葵の答えがお肉系統とフワッとした答えに思えるかもしれないが、「なんでもいい」と答えられるよりははるかに良い答えなので、料理を作る側としては系統が決まるだけでもかなり助かるものとなる。
「なぁなぁ、ご主人は食べたいものとかあるん?」
「ん、そうだな。基本的には肉系が好きなんだが・・・・・・、今日は魚の気分だな」
茜と葵のやり取りから今日の晩御飯について聞きたくなったのか、ついながピョコリと顔を出して竜に尋ねる。
普段は肉系統のものを好んで食べる竜だが、ときどき無償に魚や野菜、麺類など他の系統のものが食べたくなるときがある。
竜の言っていることに共感できたのか、ついなはうんうんと何度も頷く。
そして、竜の言葉についなは竜に買ってもらう食材をどれにするか考え始めるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ