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唐突ではあるが、某巨大な虫やどろどろに肉体が溶けている巨人の出てくる映画を知っているだろうか。
あの映画の主人公は野性動物と即座に仲良くなったり、巨大な虫の幼体と心を通わせる(?)などのことをやってのけて怒り狂った巨大な虫の群れを静めたりしている。
もしもあの主人公と同じことをやれと言われてできる人はそうはいないだろう。
が、竜は今からそれに近いことをしなければならない。
「みゅぅうううう・・・・・・!!」
「どうするか・・・・・・」
寝かしておいた布団の近くに畳んでおいた掛け布団に隠れるようにくるまりながら竜を見ている生き物を見ながら竜は呟いた。
生き物は竜を見ながら威嚇するように鳴きつつ、前足(?)のような部分を(「`ω')「のようにして竜に向けている。
誰がどう見ても警戒度マックスなのは明確です本当にありがとうございました。
そんな状態の生き物を見ながら竜は頭に軽く手をあてる。
「みゅっ、みゅみゅっ!」
「シャドーボクシング・・・・・・?」
どうしたものかと生き物を見ていると生き物は威嚇のポーズからまるでボクサーのように前足を動かし始めた。
しかしその動きはどう見ても遅く、誰が見ても攻撃力は感じられないだろう。
まぁ、そんな風に元気に動くことができるのだからとくに怪我の類いだとか病気の様子とかもないということで間違いないはずだ。
“ふふふ、私のパンチが見えますか?”とでも言いたげな表情を浮かべている生き物を見ながら竜はそう結論付ける。
自慢気な生き物には悪いがそのパンチを見切れない人間は小学生くらいではないだろうか。
「ほれ。窓は開けたから好きに出ていくと良い」
「みゅ?」
竜が窓を開けると生き物は不思議そうに竜と窓をキョロキョロと見る。
首をかしげるような動作をしていたりすることからある程度は人間の言葉を理解しているのだろうということは推測できる。
そんなことを考えながら竜はゲームの準備を始めた。
「さて、と。今日はなにをやるか・・・・・・、モンハンはとりあえず全部のモンスターも狩ってメインで使う武器もほぼ作り終わっちゃったし・・・・・・、地球防衛軍はノーマルだけどストーリーを全部クリアしたし・・・・・・、ドットハックはソロ縛りでやるから時間かかるし・・・・・・」
ゲームの準備をしながら竜は呟く。
そんな竜の様子を見ながら、生き物はゲームのタイトルを聞くたびに耳をピクピクと動かしていた。
「とりあえず地球防衛軍でいいか。・・・・・・っと、先にトイレに行っとくか」
ゲームの準備を終え電源をいれると竜は立ち上がってトイレに向かった。
竜がトイレに向かったのを確認すると、生き物はピョコピョコと跳び跳ねながらゲーム機へと近づいていった。
「みゅ・・・・・・。みゅっみゅみゅみゅっみゅ~!」
どこぞの青いタヌ────猫型ロボットが道具を取り出すときの音楽をセルフで言いながら生き物は竜の物とは別のコントローラーを取り出した。
そしてそのまま馴れた様子でゲームを操作していく。
「ふぅ、さてやる・・・・・・か?」
「み゛ゅっ?!」
トイレから戻ってきた竜は生き物がゲームをやっていることに驚き固まり、生き物は竜が戻ってきたことに驚き固まる。
互いに相手のことを見つめ、ときおりテレビ画面をちらりと見る。
「・・・・・・えっと、一緒にやるか?」
「・・・・・・みゅう」
このあと、2人プレイして滅茶苦茶“サンダー!強力なサンダー!”しまくった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ