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どうにかみゅかりさんを首からお腹にへと移動させ、竜はテレビの前のソファーに座る。
地味に首から移動させるときにしがみつく力が強くなって竜の首が絞まりかける事態も起こったが、少し咳き込む程度で済んでいた。
「っと、茜はもうログインしてたか」
「みゅうぅぅう・・・・・・。みゅうぅぅう・・・・・・」
ソファーに座った竜は、プレイステーション4を起動してフレンドのログイン状態を確認する。
見たところ茜と葵はすでにPSO2にログインしているらしく、他にも“KIRIKIRI”もログインしているようだ。
茜と葵がログインしているのを確認した竜は会話をできるようにするためにパーティーを作成し、招待をかける。
竜の呟きを聞きながら、みゅかりさんは体を震わせながらグリグリと竜の腹部に頭を押し付けていた。
『おー、やっと来たんか』
『ちょっと時間がかかってたみたいだけどなにかあったの?』
「ちょっと待たせたみたいだな。みゅかりさんが来ていてな」
ザザッ、という接続音がすると、茜と葵の声が聞こえるようになった。
これで2人とは普通に会話をしながらゲームをすることができるようになったので、竜は改めてPSO2を始める。
『なんや、みゅかりさんが来とったんか。まぁ、ほんならしゃあないんかな』
「みゅあぁうぅぅうう・・・・・・」
『・・・・・・なんだか、みゅかりさんが泣いてるみたいな声なんだけど・・・・・・』
「あー・・・・・・、まぁな・・・・・・」
竜の言葉に茜が納得しかけていると、みゅかりさんが少しだけ大きな声で鳴き声を上げた。
その鳴き声はどうやら2人にも聞こえたらしく、みゅかりさんの鳴き声がいつもと少し違うことに気がつき竜に尋ねた。
葵の言葉に竜は腹部にくっついているみゅかりさんの頭を撫でながら答える。
「えっとだな、みゅかりさんは新しく家に住むことになった九十九神に怯えててな・・・・・・」
『九十九神・・・・・・?あおいー、九十九神ってなんやったっけ?』
『えっと、九十九神っていうのは道具とかが長い年月をかけて変化した妖怪のことだよ』
『ほーん、さすが葵ぺディアや』
竜はひとまず簡単にどうしてみゅかりさんがこのような状態になったのかを茜に教える。
竜の言葉に葵は九十九神がどういったものか知らなかったのか、葵に尋ねる。
茜に尋ねられた葵は思い出しながら簡単に九十九神についてを茜に説明する。ホラー系を苦手としている葵が九十九神について知っていることが不思議に思うかもしれないが、ホラー系が苦手なこととホラーについての知識があることは別物なので、葵と似たような人は何人かはいるだろう。
「あ、うちは晩御飯の準備をしてまうなー」
「ああ、お願いするよ」
「みゅういっ?!」
『ひっ?!』
『なんや?・・・・・・ノイズ?』
竜の操作するゲームを見ていたついなだが、時計を確認して晩御飯の準備をした方がいいと考え、みゅかりさんを優しく撫でてキッチンへと向かっていった。
みゅかりさんからすればまったく姿の見えない相手に撫でられたので、恐怖心がさらに高まってしまったらしく、短く悲鳴を上げて一層強く竜にしがみついていく。
それと同時に葵が短い悲鳴を、茜が不思議そうな声を上げた。
「どうかしたのか?」
『ご、ごめん。なんかいきなりザザザザッ、って聞こえてきて・・・・・・』
『なんやよう分からんけど大きめのノイズが聞こえてきてな。竜には聞こえへんかったんか?』
「いやぁ、とくには聞こえてないかな」
みゅかりさんが驚いた理由はなんとなく分かったが、茜と葵の反応がどういうことなのか分からず、竜は不思議そうに2人に尋ねる。
竜の言葉に葵はやや声を震わせながら、茜は不思議そうにしながら竜に確認をとる。
葵の言うザザザザッ、という音はおそらく茜の言うノイズと同じものなのだろう。
どちらにしてもそのような音は竜の耳には聞こえていなかったので、首をかしげながら竜は茜の問いに答えるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ