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晩御飯の準備が終わったついなは竜の隣に座ってテレビ画面を楽しそうに見ている。
現在、竜と葵が戦っているのはマザー、正式名称『エスカファルス・マザー』という緊急クエストの討伐対象であり、4つの腕を破壊してから本体を攻撃しなければならないというボス敵だ。
ちなみにこの緊急クエストはマザーを倒しても終わらず、中休みを挟んでデウス、正式名称『デウスエスカ・グラーシア』を倒さなければクリアとはならない。
「おー!めっちゃ周りがキレイな宇宙やぁ!」
「たしかに、周りの!景色はキレイだよ、なっ!」
ついなの言葉に竜はマザーの放ってくる攻撃をパリィしながら答える。
パリィ成功時の独特な音を聴きながら竜はサッと周囲を見渡す。
どうやら葵がマザーの攻撃に被弾してしまったのか、パーティーとして表示されている葵の体力が半分ほど削られていた。
『う~、やっぱりファントムはダメージが痛いなぁ・・・・・・』
『しっかり回避してかんとワンパンお陀仏やでー』
「オバドラ使っとくぞー」
聞こえてきた葵の声から回復する余裕がないだろうと判断し、竜はパーティーメンバー全員が回復できるスキルを使用する。
このスキル、『オーバードライブ』はエトワール固有のもので、クエスト開始からカウントが始まって一定の時間が経過するとカウントが溜まり、それを使用することで床ペロ、つまりは体力が0になっていなければ完全に回復ができるのだ。
ちなみに最大で2つまでストックをしておくことができ、気がつけば貯まっていることが多いのでどんどん使っていっても問題はないだろう。
むしろエトワールは自力で回復する以外では1しか回復できなくなってしまうので、回復アイテムの節約的にも重要なスキルとなっている。
『あ、ありがと~!』
「ファントムの耐久力の低さは致命的だからなー、っと、危ねっ!」
竜に体力を回復してもらい、葵はマザーの攻撃を避けながらお礼を言う。
葵の受けるダメージの多さの原因、それは葵の使っているクラス、ファントムの耐久力の低さが挙げられるだろう。
葵の使っているクラス、ファントムは魔法攻撃を主軸とした戦い方をするクラスで、多彩な属性で弱点を突くことによる高火力が特徴と言える。
まぁ、その代わりとして防御力や体力が低いので、回避をミスるだけで一気に窮地に陥ったりするのだが。
『やっぱ、エトワールは固いんやねぇ。結構余裕をもって回復しとるみたいやし』
『そういえば、ボクと同じタイミングで攻撃受けたときも全然減ってなかったよね』
竜の受けているダメージ量と葵の受けているダメージ量の差に茜はポツリと呟く。
ファントムの防御手段は回避、エトワールの防御手段はパリィやガードということからも分かるように、エトワールは真っ向から攻撃を防ぐタイプのクラスで防御力も高めのクラスとなっている。
とはいえ、高い耐久力の代わりに遠距離の攻撃手段がかなり限られているので一長一短とも言える。
「もともとの防御力の高さとクラススキルでさらに固くなってるからな。代わりに葵の回復とかを受けても1しか回復しなくなってるけどな」
「みゅみゅみゅ?」
いつのまにかマザーの討伐が終わっており、次の討伐対象、デウスの所に移動する前の地点に移動していた。
戦闘のないセーフティエリアなので、ここで次のデウス戦に向けてきっちりと回復や装備の確認なんかをしておくと良いだろう。
「っと、これが終わったらゲームは終わりかな」
『せやねぇ。うちも晩御飯の準備をせんといかんし』
次のデウス戦への準備も終わり、区切りとしてちょうどいいのでこの緊急クエストが終わったらゲームをやめると竜は言う。
竜の言葉に茜も時計を確認し、納得したように答えた。
そして、竜と葵は他のプレイヤーたちと共にデウス戦に挑むのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ