目次のところにも書いてありますが、何人かの登場人物は年齢などに変更点が加えられております。
その点を留意ください。
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快晴の気持ちのよい天気。
日当たりもよく、心地のよい暖かさにその意識は夢の世界へと旅立っていってしまうこと間違いないだろう。
こんな日には掛け布団も敷き布団もすべて干してふっかふかにして眠るのが最高の幸せに違いない。
「
「ぶげらっ?!」
後頭部への軽い衝撃と、その衝撃でバランスを崩して顔面を机に強くぶつけたことによって竜は痛みと共に夢の世界から帰還する。
そんな竜の姿にクラスメイトたちは様々な表情を浮かべ、教師──
「暖かくて眠くなるのもわかるが、寝るならせめて休み時間にするんだな」
「はい・・・・・・」
机にぶつけたことによって赤くなった額をさすりながら竜は答える。
こればかりは授業中に眠ってしまっていた竜に非があるので、竜はなにも言えなかった。
そしてそれからは何事もなく授業は進んでいった。
◇ ◇ ◇
授業が終わって休み時間になり、机の上にぐてっと体を倒す竜のもとに女子生徒が1人ニヤニヤと笑いながら近づいてきた。
さらにその後ろにはやや困ったような表情を浮かべた女子生徒もいる。
「やー、珍しいこともあるんやな?アイちゃんせんせに怒られるなんて」
「うっせー・・・・・・。ちょっと遅くまでゲームをしちまったんだよ・・・・・・」
「なんや、いつものことやん」
「でも、授業中に眠ってるのは本当に珍しいね」
女子生徒の言葉に竜はぐてっと机に体を預けたまま答える。
女子生徒──
そんな茜の様子に苦笑しながらもう1人の女子生徒──
茜の言うとおり竜がゲームを遅くまでやって眠そうにしているのは別に珍しいことではない。
今までも眠っていることはなくても眠そうにしながら授業は受けていたのだから。
葵の言葉に竜はポリポリと頬を掻きながら口を開いた。
「いや、予定ではそんなに遅くまでやるつもりはなかったんだよ」
「そうなんか?」
「なにか予定外のことがあったってこと?」
竜の言葉に2人は不思議そうに顔を見合わせてから尋ねる。
「まぁな。じつは昨日、変わった生き物を拾ってな。といっても寝る前にはどっかに帰っていっちゃったんだけど」
「変わった」
「生き物?」
2人はこてんと首をかしげながら竜の言葉の続きを待つ。
そんな2人の姿を見ながら竜は昨日の出来事を簡単に説明した。
「紫色で1頭身の猫っぽい生き物・・・・・・」
「前足のような部位にアクセサリー・・・・・・」
「なにか知っているのか?」
竜の説明に2人は顔を見合わせて呟く。
2人の様子にあの生き物のことを知っているのかもしれないと思った竜は尋ねた。
「・・・・・・、いやー、うちはちょっと分からんなぁ」
「ごめんね。ボクもちょっと分からないかな」
「そうか・・・・・・」
2人は申し訳なさそうな表情を浮かべながら答える。
2人の言葉に竜は少しだけ残念そうな表情をした。
そんな竜の姿を見つつ、茜と葵の2人は共通のものを思い浮かべるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ