・
────ふんわりとした柔らかな感触
────ずっしりとした確かな重量感
相反しているような2つの感触を顔に感じながら竜は視界が真っ白に染められていた。
どうにか体を動かそうと試みてみるが、うまく体を動かすことができない。
否、むしろ感じられている柔らかさと重量感に動こうという意思を溶かされていっているように感じられた。
また、それらの感触を感じられているのは顔だけではなく、お腹や腰回りにも似たような感触があることに竜は気づく。
「いたたた・・・・・・。ちゅわぁ、ごめんなさい、公住くん」
「
キツネに蹴られて体勢を崩したイタコ先生は顔をあげ、転んでしまった際に巻き込んでしまった竜に謝る。
イタコ先生が顔をあげたことによって竜の視界は開け、真っ白に染められていた視界からイタコ先生の顔が見えるようになった。
なお、イタコ先生が顔をあげたとしても竜の顔の下半分、分かりやすくいうと鼻の辺りから下は柔らかくて重量感のあるものに包まれており、竜の答えはどこかくぐもったものになってしまっていた。
「こんっ!」
「ちゅわっ?!このタイミングで戻りますの?!」
不意に、キツネが短い鳴き声をあげてイタコ先生に向かって飛びかかっていく。
キツネの様子から自分の中に戻ろうとしているのだということに気がついたイタコ先生は驚きの声をあげる。
先ほどまでは絶対に戻らないという鋼のような意思を感じさせる行動をしていただけに、イタコ先生は自分の中に戻っていったキツネに不思議そうに首をかしげていた。
「い、イタコ先生、とりあえず立ち上がっては?」
「そうですわね・・・・・・、あら?」
イタコ先生が竜を巻き込んで転んだことの驚きで固まってしまっていた茜たちがようやく再起動し、ゆかりがイタコ先生に立ち上がるように言う。
ゆかりの言葉にイタコ先生はうなずき、竜の上から退こうと力を入れる。
しかし、イタコ先生の意思に反して腕は動かず、竜の上からイタコ先生の体が動くことはなかった。
「なんや?」
「どうしたんだろ?」
イタコ先生がなかなか竜の上から退かないことに茜たちは不思議そうに首をかしげる。
その間もイタコ先生はどうにか自分の体を動かそうとするのだが、それでも体が動くことはなかった。
そして、イタコ先生は顔を茜たちの方に向けて助けてほしそうな表情を浮かべた。
「あの・・・・・・、すみませんが助けてくれませんか・・・・・・?」
「よう分からんけど分かったで」
「普通に起き上がれないのかな?」
「とりあえずイタコ先生を起こしましょうか」
「そうだね。竜くんも苦しいだろうし」
「それにしてもイタコ先生はどうしたんでしょうか?」
イタコ先生の言葉に茜たちは顔を見合わせる。
普通に立ち上がればいいはずなのに助けが必要とはどういうことなのか。
不思議そうに首をかしげながら茜たちはイタコ先生の体を起こすために近づいた。
「ひっぱるでー」
「え、動かない?!」
「あの、イタコ先生、動かないように力を入れてませんか?」
「ぜんっぜん、動かないよ?」
「もしかして、体じゅ・・・・・・いえ、なんでもありません」
5人でイタコ先生の体を動かそうとするが、それでもイタコ先生の体は動かない。
あまりにもイタコ先生の体が動かないので、5人はイタコ先生が力を入れて動かないようにしているのではないかと疑いはじめた。
また、あかりがなにやら不穏なことを言いかけたが途中で悪寒を感じ、顔を逸らしてごまかしていた。
そんな5人とイタコ先生のやり取りをしり目に、イタコ先生の頭の上のキツネ耳はピコピコと嬉しそうに動いているのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ