・
竜がイタコ先生に巻き込まれて転び、押し倒されてから数分。
事態はとくに進展もなく停滞をしていた。
竜が自力で抜け出せばいいのではないかと思うかもしれないが、逆に聞こう。
この状況で抜け出したいと思う男はいるだろうか?
いや、いない。
逆に抜け出せると言える人間は好きな人が他にいるか、同性愛者かのどちらかの可能性がかなり高いだろう。
まぁ、これに関してはかなり極論だとは思うが、それほどまでにイタコ先生の柔らかいものの誘惑は強いのだ。
休み時間の残りの時間の都合も考え、遅くても5分以内くらいには竜を救出したいところである。
「ふんっ!ぐぬぬぬ・・・・・・!」
「・・・・・・やっぱりぜんぜん動いてへんな」
イタコ先生を竜の上からどかすために、茜がイタコを横から押す。
しかしイタコ先生の体は揺れることもなく動かない。
まったく動かないイタコ先生の様子に、イタコ先生の隣で見ていたついなはどうしたものかと首をかしげる。
生半可な力で押しても動かないことはすでに分かっており、さらに強い力でイタコ先生を押そうかと茜たちは考えていたのだが、その方法があまりにも乱暴が過ぎるということでイタコ先生が涙目になり、仕方なしにその考えは破棄となっていた。
なお、その考えに至った理由に私怨がなかったかと聞かれれば茜たちは全員顔を逸らすだろうが。
「あ、そうだ」
「なんや、なんか思いついたんか?」
「時間も時間だし、思いついたことがあるならどんどん試していこうよ」
茜が押してもびくともしないイタコ先生の姿を見ていたあかりがふとなにかに気づいたように声を出す。
あかりの声に茜たちの視線が集まる。
今は早く竜をイタコ先生の下から救出しなければならない状況。
そのため、試せることがあるのならどんどん試して竜を救出する手がかりを見つけたいところだ。
まぁ、竜をイタコ先生の下から救出したい理由は休み時間の残り時間が少ないこと以外にもあるのだが。
「それで?あかりさんは何を思いついたんですか?」
「えっと、イタコ先生を動かすんじゃなくて竜先輩を引っ張り出すことはできないかな、と」
「なるほど。動かせないイタコ先生じゃなくて竜くんを動かすんだね。試してみよっか」
ゆかりはあかりに言葉の続きを促す。
ゆかりに促され、あかりはイタコ先生の体ではなく竜の体の方を動かしてみるのはどうかと提案をする。
確かにさっきまでは竜の上のイタコ先生を動かすことにばかり意識がいっており、竜の方を動かそうという考えはまったく浮かんでいなかった。
あかりの言葉に茜たちは顔を見合わせてうなずき、竜の肩の辺りを掴んだ。
「竜、今から引っ張るから痛かったら言うんやで」
「それじゃあ、引っ張るよ?」
そして茜たちは竜の肩を掴んで引っ張り始める。
すると、先ほどまでまったく動かなかったイタコ先生とは違い、意外なほどにすんなりと竜の体を引っ張ることができた。
倒れた状態で引っ張られているので竜の背中はかなり汚れてしまうが、そのあたりは必要な犠牲、いわゆるコラテラルダメージとかいうやつなので竜には諦めてもらう。
「ぷはっ・・・・・・。窒息しかけるとは思わなかった・・・・・・」
茜たちに引っ張られ、竜の顔がイタコ先生の柔らかいものから解放される。
竜の顔が出てきたことを確認した茜たちはさらに力を入れて竜の体を引っ張っていく。
さて、ここで1つ思い出してほしい。
竜の体はイタコ先生の下にあり、柔らかさと重量感に包まれていた。
そして竜の体が引っ張り出されたことによって、その柔らかさと重量感の触れている位置も微妙に移動する。
まぁ、もうハッキリと言ってしまうが、イタコ先生の胸がずりずりと竜の体が移動するたびに竜の体を擦りあげていた。
茜たちが性に関して興味のある年頃であることはすでに言ってあるが、同様に同じ学年の竜もそういったことに興味のある年頃だ。
では、そういった年頃の男子高校生が自分の体の上を大きな胸が擦りあげていると理解したとき、どういったことが起こるのかは簡単に想像がつくだろう。
端的に言えば、イタコ先生が顔を赤くして竜のことをチラチラと見て、イタコ先生の下から引っ張り出された竜はターミネーターの登場シーンのような体勢でしばらく動くことができなくなったのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ