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ワードウルフが始まって数分。
この時点で集まった情報は『これ』が本であるということ。
単純に本と言っても小説やマンガ、雑誌にエッセイ誌などなどいくつかの種類がある。
つまりは残りの数分で仲間はずれの1人の本の種類を当てなければいけないのだ。
「残り時間も少ないみたいですし、次あたりが最後の質問になりそうですね」
「んーっと、誰か聞きたいこととかあるか?」
「うーん。まだ誰がオオカミなんか分からへん・・・・・・」
「そうだよね、たぶん仲間はずれも本なんだろうけど・・・・・・。結局、本って基本的には同じようなものばかりだし」
「私もちょっと分からないんですよね・・・・・・」
残り時間を確認したゆかりの言葉に竜は全員を見回して尋ねる。
竜の言葉に茜、葵、あかりは悩ましげに首をかしげた。
どうやら竜を含めた4人は誰が仲間はずれなのかの予想すらもできていないようだ。
「あ、なら私から良いかな?」
竜たちが悩んでいるのを確認したマキは手を挙げる。
マキの言葉に竜たちはとくに却下をする理由はなかったのでうなずいて応えた。
「えっとねぇ・・・・・・、あかりちゃん、“料理の絵が見えていなくてもヨダレが出そうになる”んだよね?」
「はい。え、なにか変ですか?」
「うん・・・・・・?」
「あれ?絵が見えていない・・・・・・?」
「・・・・・・あー、なるほどなぁ」
「っと、アラームがなりましたね」
ジッとあかりのことを見ながらマキは確認するようにあかりに尋ねる。
マキの質問の意味が分からず、あかりは不思議そうに首をかしげて聞き返す。
マキとあかりの会話から違和感に気づいた竜、茜、葵は納得したようにあかりを見た。
その直後、設定していた時間が経過したためスマホからアラーム音が鳴り始める。
鳴り始めたスマホを操作してアラームを止め、話し合いを止める。
「さて、それでは誰がオオカミなのか投票しましょうか」
「まぁ~、最後のやつでハッキリと分かったわなぁ」
「そうだね」
「完全に答えが出てたもんな」
「私としても確信を得られたしね」
「え、皆さん分かったんですか?」
5分間の話し合いが終わり、投票タイムが始まる。
まぁ、すでに誰が仲間はずれなのかは分かり切ってしまっており、誰に投票が集結するのかはほぼ明白になっていた。
「では、私から・・・・・・、あかりさんですね」
「私ですか?!」
「私もあかりちゃんかなー」
「うちもやね」
「ボクも」
「俺もだな」
ゆかりの投票を皮切りにマキ、茜、葵、竜もあかりに投票していく。
自分に集中していく票にあかりは驚き、ワタワタと手を動かし始めた。
「え、いや、なんで私に?!」
「いやぁ、まぁ、ほぼ確定っぽいし」
「え、じゃ、じゃあ私はゆかり先輩に投票します!」
「別に構いませんが・・・・・・」
困惑するあかりの様子に竜は頬を掻きながら答える。
あかりは自分の票をゆかりに入れると言うが、この時点であかりに票が集結してしまっているためにほとんど意味はなく。
ただの苦し紛れの行動となっていた。
「では紙に書いてあったものを見せてください」
「えっと、私の紙には『小説』と書いてありましたけど・・・・・・、え、違うんですか?!」
「あ、やっぱり小説だったんだ」
「マキの質問でようやく気づけたな」
「うちらの紙に書いてあったんは別もんやでー」
「でも同じ本だからちょっと難しかったね」
ゆかりに言われてあかりは自身の紙を広げて竜たちに見せる。
その紙に書いてあったのはかなり達筆に書かれた『小説』の文字だった。
あかりの紙を確認した竜たちはそこで完全にあかりが仲間はずれだと理解し、自分たちが勝利したことを確信したのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ