こそこそ裏話
この小説「変わった生き物を拾いました」はもともとはボイロクリーチャーをどんどん拾って家で飼っていく物語でした。
しかし、書き始めてからゆかりさんたちを出したくなり、今の形になったのです。
タイトルを変えた方がいいんですかね?
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やや薄暗くなった道を竜とマキは歩く。
外灯があるとはいえ道はそこそこに暗く、物影や道の先には見えないなにかがいるような錯覚さえ感じられた。
「家を出てからここまで暗くなるとはな・・・・・・」
「これはちょっとビックリだね。竜くんが来てくれて良かったよ」
一気に暗くなった周囲の景色に竜は少しだけ嫌そうな表情になりながら呟く。
家にいる時点でもそこそこに暗かったのがマキを送るために歩いているだけでもう夜になったのかと思えるほどに暗くなっていた。
月明かりや街灯なんかがあるとはいえここまで暗くなるとはマキも思っておらず、竜が一緒に来てくれなければこの状態の道を1人で歩いて帰らなければいけなかった。
そう考えたマキはブルリと体を軽く震わせて竜にお礼を言う。
「う~ん・・・・・・。ここまで暗くなるならお父さんに連絡をした方がよかったのかな・・・・・・。でもそうしたら竜くんとこうして歩けなかったわけだし・・・・・・」
小さく、隣を歩く竜に聞こえないように声を細めながらマキは呟く。
この時間の時点でここまで暗くなるのであれば竜の家にいるときに父親に連絡をして迎えに来てもらった方が良かったのではないか。
しかし、父親に迎えに来てもらった場合は竜と帰り道を歩くことはできず、もしかしたら竜はゆかりたちの方を送りに行っていたかもしれない。
そう考えると父親に連絡をしなくて正解だったのではないか、と思える自分がマキの中にはいた。
しかし、逆に考えると父親に連絡をした場合、自分は父親の車で安全に、ゆかりたちは竜が送ることで安全になったのではないか、という風にも考えられた。
どちらの選択が正しかったのか、その答えをマキはハッキリとは出せなかった。
「どうかしたか?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
マキの呟きは聞こえなかったのだろうが、マキの表情から何かあったのかと感じ取った竜はマキに声をかける。
竜に声をかけられ、マキは首を横に振って応えた。
不意に竜とマキのスマホから着信音が鳴り始める。
「うぉ、茜から・・・・・・?」
「私の方はゆかりんだね」
着信音が鳴り始めたスマホを2人が確認すると、竜は茜から、マキはゆかりからの着信だということが分かった。
急にかかってきた電話に首をかしげながら竜とマキはスマホに出る。
「もしもし?」
『お、出たな?いやぁ、この暗さヤバない?』
「なんだ、暗くて怖くなったのか?」
『え~っと、うちじゃなくて葵がなぁ・・・・・・』
竜が電話に出ると、茜の声が聞こえてきた。
茜の言葉に竜はからかうように尋ねる。
いつもであれば軽く怒ったような声で掛け合いが始まるのだが、竜の言葉に茜は歯切れの悪い言葉で答えた。
「葵・・・・・・?ああ、もしかして物影とかか?」
『まぁ、予想はつくわなぁ・・・・・・。そうなんよ、今はうちやのうてゆかりさんにしがみついとるんやけどね』
「ゆかりに?」
茜の言葉から葵がどのような状態になっているのかを予想できた竜は苦笑する。
どうやら葵が電信柱などの物影や、わき道の奥の暗闇などを怖がってしまい、今はゆかりにしがみついてしまっているようだった。
ゆかりの名前が聞こえてきたことに竜は少しだけ驚き、マキにゆかりからの電話がかかってきていたことを思い出してマキの方を見た。
「ゆかりん?!どうしたの?!言葉になっていないよ?!」
『~~~~~~~ッッッ?!?!』
「・・・・・・葵ってどこにしがみついてるんだっけ?」
『ゆかりさんの“首もと”に、やで』
スマホに向かって慌てた様子で声をかけるマキの姿に、竜は葵がゆかりのどこにしがみついているのかを尋ねる。
竜と茜。
互いに別々の場所にいるわけなのだが、なぜかお互いの様子が頭に浮かぶようだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ