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いつのまにかマキの家に到着していたことに竜とマキは気がつき、顔を見合わせる。
七不思議についての話をしていたにしてもあまりにも早く着いたことに竜とマキは少しだけ驚いていた。
「もう家に着いちゃったんだね。なんか学校からあっという間だったね」
「本当だな」
マキの言葉に竜はうなずく。
どんな話の内容でも楽しく話すことができればいつの間にか時間が経っているもの。
竜の家からマキの家までの距離はそこまで近いものではない。
むしろ間に学校があるので遠いくらいの距離なのだが、そんな距離などなかったかのような感覚でいつのまにかマキの家に着いていたのだ。
「家まで送ってくれてありがとね。ちょっと飲み物でも飲んでく?」
「んー、ありがたいけど遠慮しておくよ。家でいなが晩御飯の用意をしてくれてるだろうしね」
玄関に手をかけながらマキは竜に声をかける。
ここまでわざわざ送ってきてくれたのだから飲み物ぐらいは、そう考えてマキは声をかけたのだが、マキの言葉に竜は申し訳なさそうな表情を浮かべながら手をヒラヒラと振って断った。
見えない状態のついなの姿は竜やイタコ先生などの霊感のある人にしか見えないため、マキはついなが家に残っているということに少しだけ驚いた表情を見せた。
ついなのことを紹介されたときからなんとなく気づいていたが、ついなは霊力が弱いと言いながらも竜のことを守ろうとしている。
そのため、今も一緒に来ていると思っていたのだ。
「まぁ、そんなわけだから遅くなって心配はかけられないんだ」
「そっかぁ。それなら仕方がないね」
帰るのが遅くなればその分ついなが心配してしまう。
過保護と思われるかもしれないが、ついなからしてみれば自分のことを見ることのできる初めてのちゃんとした持ち主ということで、それだけ執着心のようなものが強くなってしまっているのだ。
とはいっても、霊力が弱いことと基本的に善性の性格なので、せいぜいが息子を溺愛する母親程度の状態で落ち着いているのだが。
まぁ、逆に言えば・・・・・・、ついなの霊力が強くなれば落ち着いている今の枷が外れてしまう可能性もあるということなのだが。
竜の言葉にマキは残念そうに少しだけ肩を落とす。
そんなマキの様子に竜は申し訳なく思いつつも小さく手を振って家に向かって歩き始めた。
歩き始めた竜の姿に、マキはその姿が見えなくなるまで外で見送るのだった。
◇ ◇ ◇
マキの家から自分の家に向かって竜は歩く。
マキの家に向かうときはマキと2人だったこともあって気にならなかったのだが、今は1人で完全に暗くなってしまった道を歩いており、些細なことでも気になってしまう状態になっていた。
街灯で照らされている電信柱の後ろの真っ暗な影。
切れかけているのか点滅を繰り返す街灯。
時おり聞こえてくるなにか動物の鳴き声。
そのどれもが竜の中の恐怖心を刺激していた。
「みゅかりさんとかがいてくれたら心強いんだがなぁ・・・・・・。うん?」
別に人でなくても生き物がいるだけで恐怖心などはかなり抑えられるもので、無い物ねだりだとは分かっているのだが、それでも竜は呟かずにはいられなかった。
そして、竜は学校の前にまで到着した。
マキの家に向かっているときにも見ていたが、暗さがさらに増したことによって不気味さもさらに拍車がかかっているように思える。
ふと、学校に視線を向けていた竜は視界の端に誰かがいたような気がしてそちらを見る。
こちらに向かって手を振っているように見えるのは白い着物に身を包んだ1人の女性。
距離が離れているからなのかその女性の顔はハッキリとは見えず、竜は不思議に思いながら首をかしげた。
さらに不思議なのは、その女性が
どちらにしても女性がいるのは竜の家に向かう道。
不思議に思いながらも竜は自分の家に帰るために歩みを進めるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ