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木に押し潰され、光となって消えていった女性。
普通の人がそんな風に消えるはずもないので、そのことから女性が人ではないということがハッキリと分かった。
しばらく女性が消えていった場所を見ていた竜だったが、2人の少女たちがいたことを思い出して2人のいる方を見た。
「えっと・・・・・・。君たちが助けてくれた、ってことで良いのかな?」
「そうったい。夜の学校には危険がいっぱいで危ないんよ?」
「とくにお兄さんみたいに霊力が高くて霊に対する対抗手段を自分で持っていない人は狙われやすいけん。あまり夜の学校には近づかん方がよかよ。・・・・・・まぁ、そこまで心配する必要はなかったみたいっちゃけど」
先ほどの女性を押し潰した木。
その動きが少女の手の動きと連動していたことから女性を押し潰した木は2人の内の片方、桃色の少女がやったのだろうと竜は考えていた。
竜の言葉に桃色の少女は(無い)胸を張りながら答え、もう片方の少女、青色の少女はチラリと竜の周囲に目線を向けながら答えた。
「まぁ、俺としてもここまで暗くなった時間に出歩くつもりはなかったんだけどな・・・・・・。そういえば君たちは・・・・・・」
「うちは“鳴花 ひめ”ったい。こっちは“みこと”!」
「んなっ?!ひめ、なんば言いよっと?!」
桃色の少女の言葉に竜は頬を掻きながら答える。
2人の少女たちがどのような存在なのかが気になって竜が尋ねると、桃色の少女────鳴花 ひめがアッサリと自分と青色の少女────鳴花 みことの名前を答えてしまった。
ひめがアッサリと名前を言ってしまったことにみことは驚き、ガクガクとひめの肩を揺らす。
霊的な存在の名前を知るということはその対象を縛ることができるようになるということ。
そのことを竜はイタコ先生から何度も聞かされていたため、ひめが名前を教えてくれたことに驚いてしまう。
竜からすれば名前を聞くつもりはなく、どういった存在なのかが聞きたかっただけだったのだが意図せずに知ってしまった2人の名前にどうしたものかと頭を悩ませた。
「ええと・・・・・・、ひめとみこと、で良いのかな?俺は公住 竜だよ」
「なら竜お兄さんやね!」
「はぁ・・・・・・。まぁ、言ってしまったものは仕方なか。竜さん。よろしくお願いしますね」
ひとまず名前を聞いてしまったことにはあまり触れず、あくまで自己紹介的な感じで竜は自分の名前を2人に教えた。
竜の名前を聞き、ひめは嬉しそうにピョンピョンと跳びはね、みことは小さくため息を吐いて応える。
「んー、念のためにこれを渡しとくばい」
「大丈夫だろうとは思うけど念のためやね」
「これは・・・・・・。梅の枝?」
ひめが少しだけ考えるように頬に手をあて、竜に1本の枝を差し出した。
ひめの差し出した枝を見てみこともうなずきながら答える。
ひめの差し出してきた枝を受け取り、竜は枝に咲いていた花を見て小さく呟いた。
そして、竜はそこでようやくひめの出していた枝が、学校の中庭に植えられている梅の木と同じ木だったことに気がついた。
「うちらの力が宿っている枝やけん。帰り道もこれで安心ばい!」
「できれば家に着いたら庭に植えてもらえると枯れないで済むので・・・・・・」
「なるほど。ありがたく貰っていくよ」
どうやらこの枝にはひめとみことの力が宿っているらしく、魔除けの効果があるらしい。
ひめからもらった枝に咲いている花をしげしげと眺めながら竜は答える。
そして、2人に手を振って家に向かって歩き出すのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ