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竜が霊的な存在に襲われて、ひめとみことに助けられた翌日。
自分の部屋の布団で目を覚ました竜は、玄関の下駄箱の上に置いておいたはずの植木鉢が部屋にあることに気がついた。
植木鉢は間違いなく下駄箱の上に置いたはずで、仮に寝ぼけたにしても自分の部屋にまで持ってくることはまず無いはずだ。
「・・・・・・植木鉢が自力で動いた、とか?・・・・・・いや、あり得ないか。ふわぁ・・・・・・」
寝起きで働いていない頭で首をかしげながら竜は呟く。
そして、あくびをして竜はパジャマから着替えていった。
パジャマから着替え終わり、竜はスクールバッグを手に持ってリビングに向かう。
学校に持っていく教科書などは前日の寝る前に終わらせているので、あとは朝御飯を食べるだけで家を出ることができるのだ。
「ご主人、おはようや。顔は洗ったん?」
「おはよう。いや、まだこれから洗面所に向かうところ」
竜がリビングに着くと、すでに朝御飯の用意を始めていたついなが振り向いて声をかけてきた。
ついなの声に竜はスクールバッグを床に置き、手を上げて応える。
ついなの声に応えた竜は、そのままリビングから出て洗面所に向かっていった。
どこか眠そうに洗面所に向かっていく竜の姿についなはクスリと笑みをこぼし、朝御飯の用意を再開するのだった。
◇ ◇ ◇
朝の気温がやや下がってきた今日この頃。
もう少し朝の気温が下がれば顔を洗わなくても寒さで目が覚めることになるだろう。
まぁ、寒くなったら寒くなったで布団から出てくるのが遅くなるので一概に良いとは言えないのだが。
竜はややヒンヤリとした水で顔を洗う。
冷たいというレベルではないがそれでも充分な冷たさの水が顔に触れ、その刺激で寝ぼけていた頭がスッキリとクリアになっていく。
さらに手洗いうがいなども終わらせればすっかり眠気もなくなっていた。
「ぷぁっ・・・・・・」
顔を洗ったことによって濡れた顔をタオルで拭き、竜は一息つく。
そして頭がスッキリしたことによって頭の中に浮かんでくるのはいつの間にか部屋の中に移動していた植木鉢のこと。
少なくとも自分で部屋に運んできたということはないだろうし、ついながわざわざ玄関から部屋にまで持ってきたというのも考えづらい。
スッキリした頭で部屋に植木鉢があったことの原因を考えてみるが、その原因はまったくと言っていいほど思いつかなかった。
「・・・・・・うん、あれだ。もしかしたら見間違いかもしれないしな」
寝ぼけていたことによる見間違いかもしれない。
タオルで顔や手の水気を取り終えた竜は部屋の中に植木鉢があったのは寝ぼけていたことによる見間違いかもしれないと考える。
そして、確認のために竜は自分の部屋に戻ろうと洗面所を出た。
「・・・・・・って、やっぱり下駄箱の上にあんじゃん」
洗面所から出て自分の部屋に向かおうとしていた竜は、途中で下駄箱の上に植木鉢があることに気がついて足を止めた。
下駄箱の上に植木鉢があるということは、やはり起きたときに部屋にあった植木鉢は見間違いだったのだろう。
下駄箱の上に植木鉢が置いてあることを確認した竜は、軽く伸びをして自分の部屋に戻るのを止めて、リビングに向かっていった。
リビングに向かって消えていく竜の後ろで、植木鉢に植えられた梅の木は、
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ