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テレビ画面の中で3人の仮面ライダーが吹き飛び、画面が切り替わる。
そして画面の中央に大きく表示されていたのは竜の操作していた仮面ライダーだった。
「さて、最下位は・・・・・・と」
自身が勝利していることを確認すると、竜は茜たちの順位を確認していった。
リザルトとして表示された順位は、
WINNER.1P 竜
2nd.2P みゅかりさん
3rd.4P 葵
4th.3P 茜
となっており、先ほど勝っていた茜の順位が一気に落ちる形となっていた。
「最下位は罰ゲームだったな」
「やっぱ罰ゲームはな」
「今日1日適当なアダ名にするのはどう?」
「みゅみゅみゅ」
竜の言葉に茜は自分にとって不都合なことが起こると理解し、とっさに罰ゲームを撤回しようとする。
しかしそうは問屋が卸さぬとばかりに葵によって言葉の途中で遮られてしまった。
「あだ名?たとえば?」
「“橘ギャレン”はどう?」
「それはもうつけられてる人がいるのを知ってるからダメ」
「じゃあ、“ソーラン節の人”」
「それももうついてる人がいるな」
「なら“もじゃ毛”」
「それもだな」
「“ダウニー”」
「それもダメだ」
茜のことを放置しながら竜と葵は茜への罰ゲームを話し合う。
だが葵の挙げるあだ名はそのどれもがすでにつけられている人のいるものだった。
挙げるあだ名がことごとくダメなことに葵は悔しそうな表情を浮かべる。
「もう、全然決められないよ・・・・・・」
「あだ名は諦めるしかないな。なにか着けるとか?と言ってもそんなものは家にないんだが・・・・・・」
「みゅい!」
がっくりと肩を落とす葵に竜は代替案を提示する。
とはいってもそのための道具などはないので結局は意味がないのだが。
そんな2人の様子に茜は罰ゲームがなくなると声に出さずに喜んでいた。
と、不意にみゅかりさんが竜と葵の前に飛び出して鳴き声をあげる。
「みゅっみゅみゅみゅっみゅみゅ~!」
「「「・・・・・・へ?」」」
どこぞの青い猫型ロボットが秘密道具を出すときの音楽をセルフで言いながらみゅかりさんは自身の毛皮の中からピンク色の猫耳を取り出した。
しかもご丁寧に同色の尻尾まで一緒に取り出している。
どう見ても取り出せなさそうな光景に竜、葵、茜の3人は目を丸くして固まった。
そのすきにみゅかりさんは茜へと猫耳と尻尾を取り付けるのだった。
「ど、どういうことだってばよ・・・・・・」
「まるで意味がわからんぞ?!」
「って、いつの間にか付けられとる?!」
目の前で起きた不思議な光景に竜と葵は動画などでよく使われる音声素材のような言葉を漏らす。
そして茜はいつの間にか取り付けられていた猫耳と尻尾に驚いていた。
「・・・・・・えっと、みゅかりさんには不思議があるということで納得しておこっか」
「意義なし」
「待って、葵、言葉と行動がちゃうんやけど?!なんで口ではちょっと疲れた感じやのにうちの両手を押さえとるん?!お姉ちゃん放して欲しいんやけど?!」
「だって、放したらはずしちゃうでしょ?頭のそれ」
「ま、罰ゲームだから諦めるんだな」
竜の言葉に葵は同意しながら茜の手首をつかんで動きを封じる。
それに加えて茜のことを押し倒してその体を完全に固定していた。
姉妹によるそんな光景にみゅかりさんはアワアワとしていたが、竜にとっては見馴れた光景なためとくには反応も示していない。
「茜の猫だから“あかねこ”ってとこかな?」
「んなこと言うとらんで助けてくれへん?!ちょ、なんや力が強く・・・・・・?!」
「いっつもボクが振り回されてるんだもん。たまには反撃させてもらわないと・・・・・・ね?」
「みゅ、みゅみゅみゅ・・・・・・」
目の前で起こっている姉妹の仲睦まじい光景からみゅかりさんへと視線を向けながら竜は適当に命名をする。
そんな竜の言葉を聞きつつ茜は助けを求めるのだがその言葉に応えるものは誰もいなかった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ