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昼休み。
竜は中庭に植えられている梅の木のもとに来ていた。
すでにお昼御飯は食べ終わっており、竜の後ろには茜たちの姿もある。
「ほんで?なんで急に中庭に来たんや?」
「ボクたちは中庭に1年生のときにけっこう来たもんね?」
竜がどういった理由で中庭に来たのかを知らない茜たちは不思議そうに竜を見る。
葵の言っているように竜、茜、葵の3人は1年生のときに中庭でお昼を食べたり、日の光を浴びながら話をしたりしていた。
そのため、中庭に関してはそこまで新鮮さというものは感じていなかった。
「まぁ、ちょっとな。2人とも、聞こえてるかな。昨日はありがとうな。話し相手が欲しかったりするならいつでも声をかけてくれていいからな」
茜の言葉に竜は曖昧に答え、梅の木にそっと手をあてる。
そして、昨日助けて貰ったお礼を梅の木に向かって言った。
竜が急に梅の木に向かって話しかけたことに、茜たちは困惑した表情を浮かべる。
まぁ、事情をなにも知らない人間からすればかなり不思議な、というよりも意☆味☆不☆明な行動にしか見えないので、茜たちが困惑してしまうのも無理はないだろう。
不意に、竜のことを包むかのように穏やかな風が巻き起こり、梅の花びらがヒラヒラと舞っていく。
「わぷっ?!」
「なんやなんや?!」
風の中心部にいる竜は気づかなかったが、風の外側にいた茜たちは舞い上がった花びらが顔などに飛んできて驚いてしまう。
茜たちが驚いていると、いつの間にか竜の左右に2人の女の子たちが現れていた。
「やったー!竜お兄さんとお友だちになれたばい!」
「喜びすぎったい。ほら、花びらもこんなに舞っちゃって・・・・・・」
「うお、またいきなり現れたなぁ」
竜の左側に現れた女の子、ひめは嬉しそうに跳び跳ねて竜に抱きつく。
そんなひめの様子に竜の右側に現れた女の子、みことは落ち着くように声をかける。
まぁ、そう言いつつみことも竜の制服の裾を指でつまんでいるのだが。
いきなり現れたひめとみことに竜は驚きつつ、ひめとみことの頭に軽く手を乗せる。
「ありゃー、思ったより風が起こったったいね」
「はぁ・・・・・・。皆さんも驚かせてしまったみたいで、ごめんなさい・・・・・・」
ヒラヒラと降ってくる花びらにひめはケラケラと笑う。
笑うひめにみことはジトリとした視線を向け、ため息を吐いて茜たちに向かって頭を下げた。
「え、は、え?」
「い、いきなり女の子が現れた・・・・・・?」
「これは、いなさんと同じような存在でしょうか?」
「竜くんが梅の木に話しかけたら出てきたよね?」
「・・・・・・竜先輩を見ていると驚きの連続ですね」
笑うひめと頭を下げるみことを見て、茜たちは驚きの表情を浮かべる。
茜と葵は驚いたままだったが、ゆかり、マキ、あかりの3人はいち早く驚きから回復し、ひめとみことがどんな存在なのかを考え始めた。
「あー、驚かせて悪いな。この2人には昨日の帰り道で助けて貰ったんだ」
「え?!」
茜たちに向かって、竜は驚かせてしまったことを謝る。
昨日の帰り道で助けてもらわなければいけないことが起きた。
竜の言葉に家まで送ってもらったマキは驚いて竜の顔を見る。
昨日の夜、竜が外に出歩く原因になってしまったのは自分が歩いて帰ることを選んだため。
つまり、自分が親に電話をして迎えに来てもらえば起こらなかったことだということ。
それを理解したマキは申し訳なさそうに竜を見る。
「ん?気にしなくていいんだぞ?」
「でも・・・・・・」
マキが申し訳なさそうにしているのに気づいた竜はヒラヒラと手を振りながら気にしなくてもいいと言う。
「それに、もしかしたらマキが襲われてた可能性もあったしな。だから気にしないでくれ」
「う、うん」
まだなにかを言いたそうにしているマキに竜は、もしかしたらの可能性を言い、無理矢理にでも納得させるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ