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竜から借りたペンを使ってひめ、みこと、ついなの3人は思い思いに色々なものを書いていく。
ひめはさまざまな動物を、みことはさまざまな花を、ついなは竜たちの似顔絵を書いていた。
犬や猫、ウサギに鳥。
種類を問わず、さまざまな動物たちがルーズリーフの中を駆け回る。
桜や百合、金木犀や紫陽花。
季節を問わず、さまざまな花がルーズリーフの中で咲き誇っている。
竜たちが、動物や花に囲まれながら楽しそうな笑顔を浮かべている。
3人が思い思いに書いているルーズリーフの中はまるで1枚の絵のようにその表情を変えていく。
ときどき誰かと誰かが書いているもの同士が被ってしまいそうになるのだが、そんなときは特に喧嘩などもせずにお互いに譲り合って書いていた。
「・・・・・・公住、もしかしてだがそこに“いる”のか?」
「えっと、“いる”ってのはなんのことですか?」
授業を聞きながらひめたちのことを見ていた竜は不意に教師であるアイ先生に尋ねられて首をかしげる。
竜の言葉にアイ先生はグシャグシャと自分の髪を掻き回し、ため息を吐いた。
竜とアイ先生のやりとりにクラスメイトたちは不思議そうに竜とアイ先生を見る。
「まぁ、私には見えていないんだがな。とりあえず、私とイタコは同級生だったと言えば伝わるか?」
「あー・・・・・・。もしかしてイタコ先生のときにも?」
「んー、そういえばイタコのときにも
「まぁ、その時と今の内装は変わっとるけんね」
竜の机に置かれているルーズリーフを指差しながらアイ先生は言う。
アイ先生の言葉に、竜はアイ先生が何を言いたいのかを理解し、ひめとみことを見た。
竜とアイ先生の言葉を聞きながらひめとみことは懐かしむように教室を見回しながら呟く。
ひめとみことがイタコ先生に会うために教室に来たのがいつのことなのかは不明だが、学生のときのことなのでそれほど昔ということでもない。
ついでにいうなら、竜たちがいる今の教室の内装はけっこう最近新しくなったので、それでひめとみことはこの教室に来たことがあることに気づくのが遅れたのだろう。
「そういうことだ。・・・・・・あのときはイタコが大変そうでな。一応、今の先生たちは理解があるからな、職員室で連絡をしておくよ」
「えっと、ありがとうございます・・・・・・?」
懐かしむようにアイ先生は言う。
いったいイタコ先生のときに何があったのか。
そのことが気になりつつも竜はアイ先生にお礼を言うのだった。
なお、竜とアイ先生がなんのことを話しているのかが分からないクラスメイトたちは一様に頭の中を?マークで埋め尽くしていたりするのだが、気にしなくてもいいだろう。
◇ ◇ ◇
授業が終わり、アイ先生は早足で保健室に向かう。
教室でも言っていたように、イタコ先生とアイ先生は同級生で親しい友人関係にあり、竜がひめとみことに気に入られているのかの念のための確認をしに向かっていた。
「おい、イタコ。ちと聞きたいことがあるんだが」
「あら、アイちゃん。どうかしましたの?」
ノックもせずに保健室の扉を開けてアイ先生はイタコ先生に声をかける。
いきなり扉を開けたアイ先生の姿にイタコ先生は驚くことなく尋ねる。
普通であればいきなり扉を開ければ驚くのだろうが、この学校でノックをせずに保健室の扉を開けるのはアイ先生しか今のところおらず、そのためノックをせずに扉を開けた時点でイタコ先生はアイ先生が来たのだと理解しているのだ。
「ちゃんづけは止めろ。お前がちゃんづけで呼んでいるせいで生徒の中にも私をちゃんづけで呼ぶ奴がいるんだ。まぁ、今はそんなことを言いに来たんじゃない。公住は“あの子たち”に気に入られているのか?」
「アイちゃんはアイちゃんですから止めるのは無理ですわ。ええ、公住くんは“あの子たち”に気に入られておりますわね」
アイ先生の言葉をさらりと流しながらイタコ先生はうなずく。
イタコ先生がうなずいたことにアイ先生は頭痛でもするかのように頭を押さえる。
「イタコぉ・・・・・・。そういうことはきちんと連絡してくれ。“あの子たち”に何かあったらこの学校だけじゃなくて太宰府天満宮にも影響が出るんだぞ?」
「それは分かっていますわ。でも、公住くんならきっと大丈夫だと思いましたの」
イタコ先生の答えにアイ先生は疲れたように苦言を言う。
そんなアイ先生にイタコ先生はにこりと微笑むのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ