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すべての授業が終わり、竜はバイトをするために“cafe MAKI”に向かって歩く。
当然ながらマキも一緒で、どことなく嬉しそうに見えた。
「茜ちゃんたちは制服から着替えたら来るっていってたね」
「そうだな。もう日が暮れるのも早くなってきてるから平日に来ない方がいいと思うんだがなぁ・・・・・・」
制服から普段着に着替えるために走って帰っていった茜たちの姿を思いだし、マキは呟く。
マキの言葉に竜はうなずき、少しだけ困ったような声音で答えた。
茜たちの住んでいる“清花荘”から“cafe MAKI”までの距離はなかなかに離れており、制服から普段着に着替えてから来るとなればそこまで長く“cafe MAKI”にいられないだろう。
日が暮れて暗くなってしまえば帰り道でなにかが起きてしまうかもしれない、そのことを竜は心配していた。
「心配ならお父さんに送ってもらおうか?そうなると逆にうちで待っててもらうことになっちゃうけど」
「俺的にはそっちの方が安心できるんだがな。でも、それは迷惑になるんじゃないか?」
日が暮れて帰り道が暗くなるのが心配なのであれば車で送ってもらえばいいのではないか。
心配そうにしている竜にマキは案を挙げる。
マキの提案は竜からしてみれば助かるのだが、それはマキの父親に迷惑になるのではないか竜は気になった。
「大丈夫大丈夫。たまにゆかりんを送っていくこともあるからね。なんだかんだで慣れてるから気にしなくてもいいよ」
「そう、なのか?・・・・・・まぁ、茜たちにどうするかを聞いてみてからだな。それで送ってもらいたいってことになったら頼むよ」
送ってもらうことが迷惑になるのではないかと心配する竜にマキはヒラヒラと手を振りながら答える。
マキからすれば話し込んだりして帰るのが遅い時間になってしまったゆかりのことを父親に頼んで家まで送ってもらうことが何回かあったので、そこまで気にしなくていいと思っているのだ。
マキの言葉に竜は首をかしげながらどうするのかを決めた。
マキの父親に送ってもらうにしても、自分が一緒に歩いて送っていくにしても茜たちにどうするかを聞いてから判断すればいいだろう。
「あ、そうだ。今日ももちろん晩御飯を食べていくよね?」
「んー、でも茜たちを送るのなら晩御飯を食べている時間はないんじゃないか?」
“cafe MAKI”でのバイトの日は基本的に竜はマキの家で晩御飯をごちそうになっているので、今日も晩御飯を食べていくかの確認をマキはする。
マキの言葉に竜は少し考え、茜たちを送るのであれば晩御飯をマキの家で食べることはできないのではないかと聞き返した。
マキの父親が茜たちを送っていく場合、この場合はマキの父親だけが晩御飯を食べるタイミングがズレてしまい、基本的に家族全員で晩御飯を食べるという弦巻家の決まりを守ることができなくなってしまう。
竜が歩いて茜たちを送っていく場合、こちらの場合でも結局は茜たちと一緒に竜が帰るため、弦巻家で晩御飯を食べるというタイミングがなくなるのだ。
竜の言葉にマキは驚いた表情になり、思わず竜のことをじっと見てしまう。
「え?」
「え?」
驚くマキの言葉に竜も思わず首をかしげる。
どうやらマキの中では竜が自分の家で晩御飯を食べていくのはほぼ確定事項のような考えだったらしく、本気で驚いた様子だった。
「いや、俺が送っていく場合は普通に食べられないし、マキのお父さんが送っていく場合も全員がそろってないから晩御飯を食べられないだろ?」
「あ、あー・・・・・・、大丈夫。お父さんとはお母さんが一緒に晩御飯を食べるから。だから食べていっても大丈夫だよ」
竜の言葉にマキは竜がどういった考えをしているのかを理解する。
そして、にっこりと笑みを浮かべながらもう一度晩御飯に誘うのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ