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注文したものを食べ終わり、食後の飲み物を茜たちは楽しんでいた。
“cafe MAKI”の全メニューを食べたというのにあかりの体型に変化したような所は見られず、ある意味で怪奇現象が起きているのだが、そのことを気にするような人間はいなかった。
まぁ、気にするような人間はいなくても、戦慄している九十九神はいたのだが。
「あんだけ食べたもんはどこに消えたんや・・・・・・?!」
「あー、まぁ、気にしない方がいいんじゃないか?あまり気にしすぎているとハゲるぞ?」
「もしもそれでハゲるんやったら原因はあかりやね・・・・・・」
自身の頭の上であかりを見ながら戦慄しているついなに竜は苦笑しながら答える。
あかりが大量に食べることと、それだけ食べても体型がまったく変化しないことは竜や茜たちの中ではもはや当たり前の認識だったため、ついなほどの衝撃はもう感じないのだ。
「そんで?茜たちは何時までいるんだ?」
「うん?もうちょいのんびりしたいなぁとは思っとるんやけど・・・・・・。なんかあったんか?」
「え、でもお客さんとかは待ってないよね?」
近くのテーブルを片付けたついでに竜は茜たちに何時まで店にいるのかを尋ねた。
あかりの注文した料理を作る時間と、食べる時間で茜たちが店に来てからそこそこに時間は経っており、店の外はやや赤色に染まってきている。
竜の言葉に茜たちは不思議そうに首をかしげながらもう少し店でのんびりしていたいと答える。
「ああ、別にテーブルを空けてほしいとかではないんだよ」
「そうなんか?・・・・・・・・・・・・はっ!まさかうちらがここにいるのが邪魔になったんか?!」
「そうなの、竜くん?!」
「そんな、邪魔になったらポイだなんて・・・・・・。あんまりですよ?!」
「ええと・・・・・・」
葵の言葉に竜は手をヒラヒラと横に振りながら答える。
竜の言葉に茜は少しだけ首をかしげ、なにかに気がついたかのように目を見開いた。
さらに茜の言葉を聞いて葵、あかりも続くように声を上げる。
そんな3人の様子にゆかりは困ったような表情を浮かべて竜を見ていた。
「おう、昼ドラみてーなドロドロ展開にしようとすんな。そうじゃなくて、たんに最近は暗くなってくるのが早くなってきたから大丈夫なのか気になったんだよ」
「えへへ。すまんすまん」
「ああ、なるほど。そういうことですか。たしかに外の景色を見るとけっこう暗くなり始めていますね」
茜たちがドラマのような展開に持っていこうとしていることに竜は茜の頭に軽くツッコミを入れ、いつまで店にいるのかを聞いた理由を答えた。
竜にツッコミという名のチョップを受け、茜は嬉しそうにニヘラと頬を緩ませる。
茜にとって竜からのツッコミもじゃれあいの1つなため、こういったことも嬉しく感じるのだ。
竜の言葉にゆかりはうなずき、店の外の景色を見た。
それに続くように茜たちも店の外を見る。
「暗くなってから帰るのだと危ないだろうからな。そのことが気になってたんだよ」
「なるほどなぁ。んー、どないしよか?」
「ボクとしてはもう満足してるよ」
「私も今のところは小腹も満たせたので満足ですね」
「竜くんの言うようにあまり暗くなってから帰るのは怖いですしね」
外の様子を見た茜は葵たちの方を見て声をかける。
茜の言葉に葵は飲み終わったコップをテーブルに置きながら答えた。
同じようにあかりもお腹を軽く叩きながら答える。
「ところで、竜くんはまだバイトなんですよね?竜くんこそ暗い道を歩くことになって危ないのでは?」
「まぁな。でもゆかりとかよりは安全だろ」
夜道を歩く男性と女性。
そのどちらの方が危険度が高いかと聞かれればほぼ間違いなく女性と答えるだろう。
茜、葵、ゆかり、あかりのことは心配しているのに自分の危機管理に関してはとことんにまで軽視する。
自分の帰り道も危ないはずなのに軽く笑って答える竜に、ゆかりたちはややジットリとした視線を向けるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ