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ゆかりたちから向けられるジットリとした視線を顔を逸らすことによって竜は無視する。
竜からすれば男の自分よりも女性である茜、葵、ゆかり、あかりを優先して危険から遠ざけたいのだが、それはゆかりたちも似たような考えなため、この話はどこまでいっても平行線なのだ。
まぁ、ゆかりたちが竜のことを心配するのは竜が前日に霊に襲われたということも関係しているのだが。
「はぁ・・・・・・、やはり竜くんも危ないですよね」
「せやね」
「でも、ボクたちは幽霊とかに対抗する手段はないよ?」
自分たちの視線を無視する竜にゆかりはため息を吐く。
ゆかりの言葉に茜も同意するが、2人の言葉に葵が疑問を投げ掛けた。
ゆかりたちは霊のことを基本的に見ることはできず、それらに対抗する手段を持たない。
そういった点で考えるとゆかりたちが竜と一緒に帰ったところでそれほど意味があるようには思えなかった。
葵の言葉にゆかりたちはどうしたものかと考え始める。
「つーても俺の方は守ってくれてるのがいるから。そこまで不安はないんだがな」
「うちのことやな!」
「わ、いなちゃん。ずっとそこにいたの?」
竜の言葉についなは元気よくテーブルに着地して胸を張る。
どうやら着地をすると同時に見えるようになったらしく、ゆかりたちは驚いた表情を浮かべた。
「ご主人のことはうちがちゃんと守るから安心してや!」
「ふむ・・・・・・。まぁ、いなさんがいるのであれば大丈夫、なんですかね?」
「でも昨日は中庭の子たちに守ってもらったんよな?」
「そういえばそうですよね」
「ああ、あのときは家で晩御飯の準備をしていてもらったからな」
ついなの言葉にゆかりは首をかしげながら考える。
と、ここで茜が昨日の竜が霊に襲われたときに助けたのはついなではなかったことを指摘する。
茜の言葉にあかりもそのことを思い出したのか、竜とついなを交互に見る。
そんな茜の疑問に竜はヒラヒラと手を振りながら答えた。
「ま、そんなわけだから俺のことは心配いらないよ」
「・・・・・・そのようですね」
「まぁ、今回は納得したるわ」
「それでも竜くんが危ないことに変わりはないんだから気をつけてね?」
「なんでしたら私の護衛の人を残していきましょうか?」
竜の言葉にゆかりたちは渋々といった様子で納得をする。
それでも心配なことには変わりはないので、気をつけるように声をかけた。
それと同時にあかりが手を叩くと数人の黒服を着た人間があかりの背後に現れる。
「いや、普通に気まずいからやめてくれ?」
「そうですか。あ、もう大丈夫ですよ」
いきなり黒服を着た人間が現れたことにより、店にいた他のお客さんたちから驚きの声が聞こえてくるが、すでに慣れている竜たちに驚いた様子はない。
あかりの呼び出した黒服の人たちを見て竜は頬を掻きながらあかりの申し出を断る。
竜の言葉にあかりはうなずき、黒服の人たちに解散するように指示を出す。
あかりの指示を聞き、黒服の人たちは解散していった。
「んじゃ、今日のところはこれで帰ろかー」
「そうですね」
そして、ゆかりたちは注文した料理の代金を払って帰っていった。
外の明るさもやや赤く染まっている程度で、このくらいであればゆかりたちが家につくまでに真っ暗になることはないだろう。
「ご来店ありがとうございましたー」
「また来てねー」
帰っていく茜たちに向かって忙しくて話すことのできなかったマキが手を振る。
「さ、これでなんの心配もなくなったよね。これならうちで晩御飯を食べていけるでしょ?」
「おう、そうだな・・・・・・」
ゆかりたちを見送ったマキはクルリと竜の方を向いて言う。
竜を晩御飯に誘うことを諦めていなかったマキの言葉に竜は苦笑するのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ