・
もう何度目かも分からないほどに来ている弦巻家のリビング。
そこで竜は晩御飯を御馳走になっていた。
ここまでお世話になっているのであれば、もはや家族といっても過言ではないのかもしれないほどに竜は弦巻家で晩御飯を食べていた。
「ふむふむ。うちが作っとるのとは違う料理やね。うちが得意なんは和食やから勉強になるわぁ」
料理に触ってしまわないように気をつけながらついなは竜が食べているテーブルに立つ。
そして興味深そうにテーブルに並べられている料理を見ていった。
弦巻家では和食と洋食、そのどちらもを食べているのだが、気持ち洋食の方が比率的には多い。
まぁ、今日の弦巻家の晩御飯は野菜たっぷりのアヒージョや、パエリアなどのスペイン料理なのだが。
「アヒージョってけっこう手間がかかりそうなんだがな」
「んー、でも慣れればそんなでもないよ?」
「そうね。お野菜や海老なんかの海産系を食べやすい大きさに切ってニンニクとオリーブオイルで煮込むだけだからそれほど手間もないわね。それに多めに切った具材を使ってパエリアも作っているわけだし」
アヒージョのオリーブオイルにフランスパンを浸しながら竜は呟く。
竜の言葉にマキはパエリアを取り分けながら答えた。
マキの言葉に同意するようにマキの母親も微笑みながら簡単に料理の手順を説明した。
「へぇ、見た目のイメージよりも作りやすい方なのか」
マキとマキの母親の言葉に竜は少しだけ驚いた表情を浮かべる。
正直、竜のアヒージョに対するイメージは油を大量に使って野菜などを焦げないように素揚げしているようなものという認識だったため、以外と簡単な作り方なことが驚きだったのだ。
そして、竜は弦巻家の晩御飯に舌鼓を打ちながら晩御飯を食べ進めていくのだった。
◇ ◇ ◇
「ふぅ・・・・・・、ちょっと食べすぎたかも・・・・・・」
「あはは、そんなになるまで食べてくれたのなら嬉しいな。はい、お茶」
「ふふふ、ここまで食べてくれたのなら私もマキちゃんも作った甲斐があるというものだわ」
「うんうん。自分の作った料理を美味しく食べてもらえるっていうのは料理人じゃなくても嬉しいことだからね」
ふくれたお腹をさする竜の姿にマキたちは笑みをこぼす。
作った料理を美味しそうに食べてもらえるというのは料理人だけではなく料理をする人間であれば誰もが嬉しくなること。
それが分かっているからこそ料理を作ったマキとマキの母親だけでなくマキの父親も嬉しそうに竜のことを見て笑みを浮かべていた。
3人から見られていることに気がついた竜はマキからもらったお茶を口に運びながら気恥ずかしさを誤魔化すように目線を泳がせる。
「そういえば、けっこう暗くなってきているけど帰り道は大丈夫かい?なんだったら家まで送るけど?」
「あ、そうだね。その方が安全だもん!」
「え、でも良いんですか?」
ふと思い出したようにマキの父親が竜に尋ねる。
すでに時間も遅く、外もけっこう暗くなってしまっていた。
夕方とはとても言えないような暗さで、もはや夜と言えるほどに外は暗い。
父親の言葉にマキはナイスアイデアだと手を叩く。
マキとマキの父親の言葉に竜は2人の顔をキョロキョロと見ながら確認をとる。
「問題ないさ。それにいつもバイトを頑張ってくれているからね。これくらいはしないと」
「そういうことそういうこと!」
「えっと、ありがとうございます・・・・・・」
「ふふふ、私たちも竜くんが安全に家に帰れるのかが心配なのよ。だから、こういうときはどんどん頼ってちょうだいね?」
晩御飯を御馳走になったのに家にまで送ってもらう。
そのことに竜は申し訳なさとありがたさを感じながらお礼を言う。
そんな竜の姿に微笑みながらマキの母親は言うのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ