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ひめとみことが体を洗っているのを見ないようにしながら竜はお湯に浸かる。
お湯に浸かるという行為はただ温まるためだけのものではなく、体をリラックスさせる効果もあるのだ。
「ふぅ・・・・・・」
お湯に浸かりながら竜は一息をつく。
ひめとみことがお風呂に入ってきたことで少しばかり慌ただしくはなったものの、それでもお湯に浸かることで竜はリラックスすることができた。
「あひゃひゃひゃ!みことみこと!あわあわったい!」
「ちょ、そんなに動いたら泡が飛ぶっちゃけど?!」
想像以上に泡がたったことに、ひめは楽しそうに笑いながら腕を振るう。
ひめが腕を振るたびに泡が軽く飛び、それをみことは注意した。
さいわいなことにひめが腕を振るう高さが低かったお陰か、浴槽の方に泡が飛んでくることはなかった。
「こーら。ちゃっちゃと体を洗わないと風邪ひくんじゃないか?」
「あう。えへへへ。はーい」
ペチリと軽くひめの頭を叩き、竜はひめが腕を振るのを止める。
竜に頭を叩かれたひめは一瞬だけキョトンとしたものの、嬉しそうに元気よく返事をして体を洗うのを再開する。
そんな竜とひめのやり取りをみことはジッと見ていた。
「・・・・・・えいえい」
「みこと?なにしとう?」
ひめが体を洗うのを再開するのとほぼ同時にみことがソッと泡のついた腕を振り始める。
いきなりのみことの行動にひめは体を洗いながら不思議そうに首をかしげる。
腕を振りながらみことは竜の方を見るのだが、竜は目を閉じてお湯に浸かっており、静かに腕を振っているみことに気づいていなかった。
竜が見ていないことに気づいたみことはどことなくしょんぼりとした雰囲気を出しながら腕を振るのを止める。
「どしたん?」
「・・・・・・なんでもなか」
どこか気落ちしているみことの様子にひめが声をかけるが、みことは首を横に振って理由を答えようとしなかった。
そんなみことにひめは首をかしげるが、みことが答えたくないのであれば仕方がないと納得し、体を洗うのだった。
ひめとみことの2人が体を洗い、全身が泡に包まれる。
もともと、竜の背中を自分たちの体を使って洗おうとしていたため、それ相応の量のボディーソープが出されており、それらすべてが泡立ってしまえばこうなるのは当然ともいえた。
「なんか、泡のキグルミみたいになってるな?」
「あわあわ怪獣ったいね!」
「その場合、水に触ったら一瞬で消えそうっちゃね」
ひめとみことの体がかなりの量の泡に包まれていることに気がついた竜は少しだけ驚き混じりの声で呟く。
竜の言葉にひめは楽しそうに腕を上に振り上げて、まるで怪獣のようなポーズをとった。
ひめは怪獣と言っているが、2人の頭から生えている角と、泡だらけでモコモコとした姿に見える今の状態は、怪獣というよりも羊のように見える。
「ほれ、流すぞ」
「うん!」
「はい」
風呂桶を使ってお湯をすくい、竜は2人に一言声をかける。
量の言葉にひめはうなずきながらお湯を待ち、みことは自分の胸などを隠しながら竜を見た。
そして、竜によってお湯をかけられ、2人の体から泡が流れ落ちていった。
「ふー、めっちゃサッパリしたっちゃね!」
「うん。ボクたちの体は基本的には汚れないけどこういうのもたまには良さそうったい」
自分の体に泡が残っていないかを確認し、ひめとみことは楽しそうに会話をする。
みことの言っている通り、ひめとみことは基本的によっぽどのことがなければ汚れるということは起こり得ない。
そのため、これまでお風呂というものは数える程度しか入ったことがなかったのだ。
さっぱりした様子の2人に竜は思わず笑みを浮かべるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ