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竜たち全員の歯磨きが終わってから、そのままスムーズに寝ることができたかと言えばそれは否と言える。
まず最初に、敷かれている布団の上でひめがゴロゴロと転がり始め、存分に転がったかと思えばいきなり枕投げを始めたのだ。
寝るまでおしゃべりをしたいと言っていたのにいきなり枕投げを始めたひめに竜はひめの投げる枕を避けながらひめを捕獲することになった。
次に、枕を投げ始めたひめを捕獲してからみことも真似をするように竜に枕を軽く投げてきたので、ひめと同じようにみことも捕獲することになった。
そして、最後に誰がどこで寝るのかで竜以外の3人が一歩も引かない事態になった。
これらのことが起きたために竜が眠れるようになった頃にはかなりの疲労感が蓄積されていた。
ちなみに、誰がどこで寝るかの最終的な行方は、互いに主張を言い合っているひめとついなが寝落ちしたところを、みことがちゃっかりと竜のとなりをかっさらっていくという結末となっていた。
「・・・・・・まぁ、最終的に静かに寝たから、ヨシ!」
「やけくそったいね・・・・・・」
寝落ちしたついなとひめをそれぞれ布団に寝かせた竜は疲労からかどこかで見たことのあるようなポーズを取りながらついなとひめが寝ていることをそれぞれ指差し確認しながら言う。
そんな竜の様子にみことは申し訳なさそうにしながら呟いた。
少しふざけたことで落ち着いたのか、竜はそのまま自分が寝る布団に横になる。
「ふぅ・・・・・・」
「うちのひめが騒いでスミマセン・・・・・・」
横になって短く息を吐いた竜に、同じように横になったみことが竜のとなりで謝る。
みことの言葉に竜はてをヒラヒラと振って応えた。
「そんで?いきなり泊まることになったわけだが・・・・・・、楽しめたか?」
「それはもちろん。むしろいきなり泊まるなんて言ってしまって・・・・・・」
みことの方に顔を向け、竜は楽しかったかどうかを尋ねる。
いきなりひめとみことが泊まることになったために、もてなしたりする準備などはまったくと言っていいほどできておらず、2人が楽しめたのかどうかが竜は気になっていたのだ。
竜の言葉にみことはしっかりとうなずき、少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべる。
竜も言っているように、ひめとみことが泊まると言ったのは本当にいきなりのことで、落ち着いてきたいまになってみことは申し訳なさを感じ始めていた。
そんなみことの表情を見て、竜は手を持ち上げてみことの頭の上に軽く乗せる。
「りょ、竜さん・・・・・・?」
「いいんだよ。こんな風に関われるのがいままでイタコ先生たちだけだったんだろ?なら、思う存分甘えてくれ。俺にはそんくらいしかできないしな」
竜に頭を撫でられ、みことは困惑した様子で竜を見る。
サラサラとしたみことの髪の毛はとても撫で心地がよく、竜の表情は自然と柔らかいものになっていた。
「ありがとう・・・・・・、ございます・・・・・・」
気恥ずかしさからか、みことは顔を赤くしながらお礼を言った。
恥ずかしそうにしているみことの様子がとても可愛く、竜は思わずニヤニヤとした笑みを浮かべてしまう。
竜が自分の様子を見て笑みを浮かべていることに気がついたみことは顔を隠すように布団の中に頭まで潜り込んでしまった。
「くくくっ・・・・・・。おやすみ」
「・・・・・・おやすみなさい、です」
布団の中に完全に潜り込んでしまったみことの姿に竜は声を可能な限り殺して笑う。
そんな竜の笑い声が聞こえたのかみことは布団越しに竜のことをポカポカと叩く。
そして、竜はみことから与えられるそこまで強くない衝撃を受けながら目を閉じるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ